2010年 08月 31日
北極星号の船長 |
氷に閉ざされた北極海に停泊する捕鯨船に乗り込んだ船医の不可思議な体験を描く表題作、高空飛行の限界に挑むパイロットが目撃した恐怖に満ちた上空世界、骨董品が呼びさます過去の恐怖、他人の心に侵入し、心も体も自在に操る力をもつ女につきまとわれた男の必死の抵抗など全12編。収録作品は以下の通り。
そうしたこととは無関係に、ここに収められている怪奇小説はどれも面白い。あるものはちゃんと科学的な説明が付与され、あるものは不可思議なままにされていますが、お話としてよく書けているので読者としてはどちらでもかまわないという気分。ドイルは若い頃、船医として捕鯨船や客船に乗り込んだことがあり、「北極星号の船長」にはそうした自身の経験が盛り込まれていて説得力があります。一方、怪異な生き物たちが棲む上空の描写はまるで宮崎 駿の描く世界のようで、恐ろしいけれど美しい。
ホームズ物のように論理的な解決を必ず用意する必要がないだけ、イマジネーションが羽ばたくままに書いた趣があって、私にはこういう作品集のほうが楽しめたりするかも。
北極星号の船長 <ドイル傑作集2> (創元推理文庫)
作者:コナン・ドイル
編者:北原尚彦、西崎 憲
出版社:東京創元社
ISBN:4488101119
大空の恐怖これもシャーロック・ホームズ物ではなく、怪奇小説集です。コナン・ドイルは生涯を通じて心霊術など超自然的なものに対する傾倒でも知られ、いかにも怪しい妖精写真(のちに偽者と判明)を本物だと擁護したことは有名です。医者であり、ホームズという論理そのもののようなキャラクターを生み出した人間が同時に降霊会に出席し、嬉々として心霊現象を語るというのは理解しがたいものがありますが、ヴィクトリア朝という背景もまた少しは関係しているのかもしれませんね。
北極星号の船長
樽工場の怪
青の洞窟の恐怖
革の漏斗
銀の斧
ヴェールの向こう
深き淵より
いかにしてそれは起こったか
火あそび
ジョン・バリントン・カウルズ
寄生体
そうしたこととは無関係に、ここに収められている怪奇小説はどれも面白い。あるものはちゃんと科学的な説明が付与され、あるものは不可思議なままにされていますが、お話としてよく書けているので読者としてはどちらでもかまわないという気分。ドイルは若い頃、船医として捕鯨船や客船に乗り込んだことがあり、「北極星号の船長」にはそうした自身の経験が盛り込まれていて説得力があります。一方、怪異な生き物たちが棲む上空の描写はまるで宮崎 駿の描く世界のようで、恐ろしいけれど美しい。
ホームズ物のように論理的な解決を必ず用意する必要がないだけ、イマジネーションが羽ばたくままに書いた趣があって、私にはこういう作品集のほうが楽しめたりするかも。
北極星号の船長 <ドイル傑作集2> (創元推理文庫)
作者:コナン・ドイル
編者:北原尚彦、西崎 憲
出版社:東京創元社
ISBN:4488101119
by timeturner
| 2010-08-31 22:55
| 和書
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