2010年 04月 16日
ヴェネツィアの宿 |
戦中戦後の日本でヴィクトリア朝英国のような寄宿制ミッションスクールで過ごした日々、ヨーロッパを豪遊した経験のある自分勝手な父と、家風の違う家に嫁いで苦労した母の思い出、そして留学先のフランスやイタリアで出会った人々の記憶・・・。現在と過去、日本とヨーロッパが不思議な時間・空間軸で混ざり合うエッセイ集。
須賀さんの本には熱烈なファンが多くて、前にそうしたひとりである友人に勧められて『コルシア書店の仲間たち』を読んだことがあるのですが、そのときはあまりピンときませんでした。この本も初めのうちは何も期待せずに読み始めたのですが、あらあれ、これは違うぞ、と途中から思いました。いや、もしかしたら読み手である私のほうが変わったのかな。
どの話もさらっと書かれているのに心の奥のほうまで滲みてくるような読後感があります。きっぱりしているのに美しい文章もいい。聖心と思われる昔のミッションスクールの描写からは先日読んだ『五月の霜』を思い出しました。それにしても戦中・戦後の日本でこんなふうに英語で教育を行っていた学校があったなんて驚きです。こんな教育を受けていたら、卒業時にはちゃんと身についていますよね。ちょっとうらやましい。
ヴェネツィアの宿 (文春文庫)
作者:須賀敦子
出版社:文芸春秋
ISBN:416757702X
須賀さんの本には熱烈なファンが多くて、前にそうしたひとりである友人に勧められて『コルシア書店の仲間たち』を読んだことがあるのですが、そのときはあまりピンときませんでした。この本も初めのうちは何も期待せずに読み始めたのですが、あらあれ、これは違うぞ、と途中から思いました。いや、もしかしたら読み手である私のほうが変わったのかな。
どの話もさらっと書かれているのに心の奥のほうまで滲みてくるような読後感があります。きっぱりしているのに美しい文章もいい。聖心と思われる昔のミッションスクールの描写からは先日読んだ『五月の霜』を思い出しました。それにしても戦中・戦後の日本でこんなふうに英語で教育を行っていた学校があったなんて驚きです。こんな教育を受けていたら、卒業時にはちゃんと身についていますよね。ちょっとうらやましい。
ヴェネツィアの宿 (文春文庫)
作者:須賀敦子
出版社:文芸春秋
ISBN:416757702X
by timeturner
| 2010-04-16 19:46
| 和書
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