2010年 03月 07日
わが教え子、ヒトラー |
1944年12月、連合軍の攻撃を受け劣勢に回っていたドイツの宣伝相ゲッベルスは、新年に行われるヒトラーの演説でもう一度国民の士気を高めようと大がかりな計画を立ち上げた。廃墟は映画のセットで隠し、派手なパレードと総統の熱い演説に熱狂する国民の姿をプロパガンダ映画に仕上げようというのだ。映画を成功させるためにはかつての覇気を失ったヒトラー自身を再教育しなくてはならない。そのためにユダヤ人の名俳優グリュンバウム教授がザクセンハウゼンの収容所から呼び出された・・・。
「善き人のためのソナタ」の名優ウルリッヒ・ミューエが教授役で、当然涙と感動の作品かと思っていたのですが、なんとコメディだった。こういうテーマで笑っちゃっていいんだろうかと思いつつ、しかも演じている人たちはみんなシリアスなので後ろめたかくなりながらも吹き出してしまうシーンがたくさん。犬とか枕とか敬礼とかたまりませんでした。でも、最終的には心からは笑えないのよねえ。なんというのかなあ、笑うことでヒットラーという怪物を自分たちと同じ卑小で滑稽な人間に引き降ろすのはいいんだけど、それで妙に同情してしまってはいけないような気もしてくる。見ている間じゅう自分がふたつに引き裂かれる感じ。だから見終わったときの気分が妙に中ぶらりんで、面白かったんだかどうかわからなくなってしまう。でも、それが監督の狙いなのかな。劇中の教授もそういうジレンマに陥っていました。
実話を元にしていると予告編の中にありましたが、本当にこんなことあったのかなあ。エンドクレジットで町のドイツ人にヒットラーと教授の名前を言って何者か答えさせるインタビューが挿入されているんですが、その最後に10歳くらいの女の子がグリュンバウム教授は「ひい、ひい、ひいじいちゃん!」と言ってた。
ウルリッヒ・ミューエは相変わらずいい味出していましたが、この人、2007年に胃がんで亡くなっていたんですね。知らなかったのでショック。これからもたくさんいい作品を見せてくれると思っていたのに残念です。
原題:Mein Fuhrer - Die Wirklich Wahrste Wahrheit Uber Adolf Hitler(2007)
上映時間:95 分
製作国:ドイツ
監督:ダニー・レヴィ
出演:ウルリッヒ・ミューエ、ヘルゲ・シュナイダー、シルヴェスター・グロート、アドリアーナ・アルタラス、フシュテファン・クルト、ウルリッヒ・ノエテン、ウド・クロシュヴァルトほか。
「善き人のためのソナタ」の名優ウルリッヒ・ミューエが教授役で、当然涙と感動の作品かと思っていたのですが、なんとコメディだった。こういうテーマで笑っちゃっていいんだろうかと思いつつ、しかも演じている人たちはみんなシリアスなので後ろめたかくなりながらも吹き出してしまうシーンがたくさん。犬とか枕とか敬礼とかたまりませんでした。でも、最終的には心からは笑えないのよねえ。なんというのかなあ、笑うことでヒットラーという怪物を自分たちと同じ卑小で滑稽な人間に引き降ろすのはいいんだけど、それで妙に同情してしまってはいけないような気もしてくる。見ている間じゅう自分がふたつに引き裂かれる感じ。だから見終わったときの気分が妙に中ぶらりんで、面白かったんだかどうかわからなくなってしまう。でも、それが監督の狙いなのかな。劇中の教授もそういうジレンマに陥っていました。
実話を元にしていると予告編の中にありましたが、本当にこんなことあったのかなあ。エンドクレジットで町のドイツ人にヒットラーと教授の名前を言って何者か答えさせるインタビューが挿入されているんですが、その最後に10歳くらいの女の子がグリュンバウム教授は「ひい、ひい、ひいじいちゃん!」と言ってた。
ウルリッヒ・ミューエは相変わらずいい味出していましたが、この人、2007年に胃がんで亡くなっていたんですね。知らなかったのでショック。これからもたくさんいい作品を見せてくれると思っていたのに残念です。
原題:Mein Fuhrer - Die Wirklich Wahrste Wahrheit Uber Adolf Hitler(2007)
上映時間:95 分
製作国:ドイツ
監督:ダニー・レヴィ
出演:ウルリッヒ・ミューエ、ヘルゲ・シュナイダー、シルヴェスター・グロート、アドリアーナ・アルタラス、フシュテファン・クルト、ウルリッヒ・ノエテン、ウド・クロシュヴァルトほか。
by timeturner
| 2010-03-07 22:18
| 映画
|
Comments(2)
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by
Sarah
at 2010-03-08 01:30
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そうなんです。ミューエ、"善き人の・・・"の後、けっこうすぐに亡くなっちゃったんですよね。残念です。娘のアンナ・マリア・ミューエも女優ですが、全然似てなくて親子と知ってびっくりしました。アンナ・マリア・ミューエの出ている"青い棘"という映画も雰囲気があって好きです。ダニエル・ブリュールやアウグスト・ディールという若手のいい俳優が出ている退廃系の話です。
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by
shoh
at 2010-03-08 20:10
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いくら名優とはいえ、あのお父さんに顔がそっくりでは可愛そうな気もするので、全然似てなくてよかったじゃないですか(^^;)。「青い棘」面白そうですね。イギリスから戻ったら見てみようと思います(今は予習で必死)。