時の娘 |
うはあ、恐れ入りました。こんな推理小説読んだの初めて。というか、これを推理小説と呼んでしまっていいのだろうか? かといって歴史小説というのともまた違う。視点はあくまでも刑事のものなのですよね。「誰が得をするのか」で歴史を新たに読み解くというか。
ここに登場する数多くの歴史書というのはおそらく実在のものだと思うのですが、それらすべてに目を通し、必要な箇所を上手に抜粋して散りばめる技術は神技です。50歳を過ぎた作者が1951年に書いただなんて信じられません。
これまで知らず読まずで損したような気も一瞬したのですが、考えてみたらイギリスの歴史やシェイクスピアに興味をもって、あれこれ読んだり見たりしたあとだからこそ楽しめたわけで、タイミングぴったりの読書だったと思います。
原題:The Daughter of Time
作者:ジョセフィン・テイ
訳者:小泉喜美子
出版社:ハヤカワ文庫
ISBN:4150727015