2010年 01月 27日
牛の鈴音 |
農夫のチェ爺さん(79歳)は不自由な足をひきずりながらずっと働き続け、9人の子供たちを育て上げた。彼と一緒に30年も働いてきた牛は40歳。牛の寿命は15年くらいだからもうよぼよぼだ。それでも毎日チェ爺さんと農地で働く。隣近所の農家はすべて機械化しているが、頑固なお爺さんは手と足と牛だけで耕す。牛が食べる草が毒になるから農薬も科学肥料も使わない。長年連れ添ってきたお婆さんは毎日愚痴と小言を繰り返すが無口なお爺さんは表情も変えず、態度も変えない・・・。
3年を超える月日をかけて作られたドキュメンタリーで、韓国では口コミで大評判となり、累計約300万人を動員(日本での「ロード・オブ・ザ・リング」の動員数より多い)という驚異的な記録を達成した作品なんだそうです。
きょうは兵庫県加西市主催の試写会に行ってきました。はじめに加西市の中川市長の挨拶があり、続いて菅原文太さん(映画のタイトルの題字を書いた)の講演があったのですが、顔がふっくらして髪は白くなっていたもののさすが俳優、美老人になっていました。俳優業は半ば廃業して山梨県北杜市で農業を始めているそうですが、その経験から行政と農協が農民から主導権を奪っているという話がメインでした。さすがに加西市長が隣りにずっと立っていたので行政批判はそれほどではありませんでしたが、農協はけちょんけちょんでしたね。面白かった。
それほど大きくない部屋で50人くらいは坐っていたんですが、その半数はマスコミ関係者で菅原さんが出てきたとたんにカメラのフラッシュがすごい勢いで焚かれ、講演が終わって菅原さんが帰ったらマスコミ関係者のほとんどは映画を見ずに帰ってしまいました。なんだかなあ。
映画はとてもよかったです。ドキュメンタリーですがナレーションはなく、お爺さんが無口なので画面から聞こえてくるのはお婆さんの愚痴と文句、牛の鳴き声、鳥や蛙の声、そして牛がつけている鈴の音だけです。何百年も前から変わっていないような自然の中で足の悪いお爺さんとヨボヨボの牛がの~んびり動くだけの映像なのになぜかとっても気持ちよくて飽きずに見てしまいました。韓国映画というと情念がどろどろしていたり、ストーリーが作りこまれすぎていたり、という偏見を抱いていた私は拍子抜けしてしまいました。控えめなユーモアとペーソスがとてもいいです。韓国では盛大に涙する人が多かったようですが、そんなふうにガンガン泣くような映画とは思わないなあ。国民性の違いでしょうか。
体調が悪く医者からも安静にするよう言われているお爺さんにお婆さんが「仕事は休みなさい」と言うと、「休むのは死んでからでいいよ」と答えるお爺さん。自分の怠惰な生活を思って心が痛んだのですが、同時になぜか"I'll sleep when I'm dead"という歌が頭に浮かんできてしまった。まったくもう。
公式サイトはこちら。
原題:ハングルなので表記できません(2008)
上映時間:78 分
製作国:韓国
監督:イ・チュンニョル
3年を超える月日をかけて作られたドキュメンタリーで、韓国では口コミで大評判となり、累計約300万人を動員(日本での「ロード・オブ・ザ・リング」の動員数より多い)という驚異的な記録を達成した作品なんだそうです。
きょうは兵庫県加西市主催の試写会に行ってきました。はじめに加西市の中川市長の挨拶があり、続いて菅原文太さん(映画のタイトルの題字を書いた)の講演があったのですが、顔がふっくらして髪は白くなっていたもののさすが俳優、美老人になっていました。俳優業は半ば廃業して山梨県北杜市で農業を始めているそうですが、その経験から行政と農協が農民から主導権を奪っているという話がメインでした。さすがに加西市長が隣りにずっと立っていたので行政批判はそれほどではありませんでしたが、農協はけちょんけちょんでしたね。面白かった。
それほど大きくない部屋で50人くらいは坐っていたんですが、その半数はマスコミ関係者で菅原さんが出てきたとたんにカメラのフラッシュがすごい勢いで焚かれ、講演が終わって菅原さんが帰ったらマスコミ関係者のほとんどは映画を見ずに帰ってしまいました。なんだかなあ。
映画はとてもよかったです。ドキュメンタリーですがナレーションはなく、お爺さんが無口なので画面から聞こえてくるのはお婆さんの愚痴と文句、牛の鳴き声、鳥や蛙の声、そして牛がつけている鈴の音だけです。何百年も前から変わっていないような自然の中で足の悪いお爺さんとヨボヨボの牛がの~んびり動くだけの映像なのになぜかとっても気持ちよくて飽きずに見てしまいました。韓国映画というと情念がどろどろしていたり、ストーリーが作りこまれすぎていたり、という偏見を抱いていた私は拍子抜けしてしまいました。控えめなユーモアとペーソスがとてもいいです。韓国では盛大に涙する人が多かったようですが、そんなふうにガンガン泣くような映画とは思わないなあ。国民性の違いでしょうか。
体調が悪く医者からも安静にするよう言われているお爺さんにお婆さんが「仕事は休みなさい」と言うと、「休むのは死んでからでいいよ」と答えるお爺さん。自分の怠惰な生活を思って心が痛んだのですが、同時になぜか"I'll sleep when I'm dead"という歌が頭に浮かんできてしまった。まったくもう。
公式サイトはこちら。
原題:ハングルなので表記できません(2008)
上映時間:78 分
製作国:韓国
監督:イ・チュンニョル
by timeturner
| 2010-01-27 22:13
| 映画
|
Comments(0)