2009年 11月 09日
パリ・ロンドン放浪記 |
イートン校出身のエリック・アーサー・ブレア(オーウェルの本名)は19歳でビルマに渡り警察官として勤務するが、帝国主義の片棒を担ぐ仕事がいやになり5年で退職、イギリスに帰国した。最底辺生活者のルポを書こうと考えたオーウェルは1927年から3年間、パリとロンドンで自らに窮乏生活を課し、パリ貧民街やロンドンの浮浪者の世界に入っていく・・・。
潜入ルポルタージュじゃん、なんて軽く考えていたら大間違い。本気で大変です。下手すりゃマジに餓死しそうなまでに貧困に追い詰められていく様子はすさまじいものがあります。パリの安宿やロンドンの浮浪者宿泊施設の様子は、読むだけでその不潔さに身震いしてしまう。
パリはともかくロンドンならいざとなったら友人・家族・親類の援助も期待できるわけですから本物の浮浪者の困窮と比べるのは間違っているのかもしれませんが、でもやっぱり普通はここまでできないです。南京虫の巣窟みたいな宿に一晩泊まるだけだって無理だわ、私は。
本当はお金があるのに貧乏人の扮装をして必要なときだけ貧民窟をさまようのではなく、そこでボロ雑巾のようになるまで低賃金で働き、貧しい人たちと1本の煙草、1個のパンを分け合って生きたからこそ書ける内容です。上から目線じゃない。
かといって本当の浮浪者だったら当然そうなるような自己憐憫や他者に対する怒りもありません。どんな悲惨な状況にあっても他人の善意を信じ、笑い合える部分をみつけようとするスタンスがいい感じです。
浮浪者は1日にパン2切れとかで暮らさなくてはならないので当然栄養失調になり、そうなるともう何もする気が起きなくて、ただひたすらぼーっと過ごしてしまい、仕事もみつけられないし、だからまたまともな食事ができないという悪循環を繰り返すのだそうです。私はお金がなくて食べないわけじゃないけど、ひとり暮らしだと食べることに手を抜きがちではっと気づくと栄養失調気味になってるんですよね。そうすると本当に何をする気にもなれなくて、1日家でぼーっと無駄に過ごしてしまう。そっか、私は浮浪者と同じなんだ、と新鮮な発見がありました。(いや、そこは反省しないと)
パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)
原題:Down and Out in Paris and London
作者:ジョージ・オーウェル
訳者:小野寺 健
出版社:岩波文庫
ISBN:4003226224
潜入ルポルタージュじゃん、なんて軽く考えていたら大間違い。本気で大変です。下手すりゃマジに餓死しそうなまでに貧困に追い詰められていく様子はすさまじいものがあります。パリの安宿やロンドンの浮浪者宿泊施設の様子は、読むだけでその不潔さに身震いしてしまう。
パリはともかくロンドンならいざとなったら友人・家族・親類の援助も期待できるわけですから本物の浮浪者の困窮と比べるのは間違っているのかもしれませんが、でもやっぱり普通はここまでできないです。南京虫の巣窟みたいな宿に一晩泊まるだけだって無理だわ、私は。
本当はお金があるのに貧乏人の扮装をして必要なときだけ貧民窟をさまようのではなく、そこでボロ雑巾のようになるまで低賃金で働き、貧しい人たちと1本の煙草、1個のパンを分け合って生きたからこそ書ける内容です。上から目線じゃない。
かといって本当の浮浪者だったら当然そうなるような自己憐憫や他者に対する怒りもありません。どんな悲惨な状況にあっても他人の善意を信じ、笑い合える部分をみつけようとするスタンスがいい感じです。
浮浪者は1日にパン2切れとかで暮らさなくてはならないので当然栄養失調になり、そうなるともう何もする気が起きなくて、ただひたすらぼーっと過ごしてしまい、仕事もみつけられないし、だからまたまともな食事ができないという悪循環を繰り返すのだそうです。私はお金がなくて食べないわけじゃないけど、ひとり暮らしだと食べることに手を抜きがちではっと気づくと栄養失調気味になってるんですよね。そうすると本当に何をする気にもなれなくて、1日家でぼーっと無駄に過ごしてしまう。そっか、私は浮浪者と同じなんだ、と新鮮な発見がありました。(いや、そこは反省しないと)
パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫)
原題:Down and Out in Paris and London
作者:ジョージ・オーウェル
訳者:小野寺 健
出版社:岩波文庫
ISBN:4003226224
by timeturner
| 2009-11-09 20:24
| 和書
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