2009年 10月 25日
Pride and Prejudice and Zombies |
ハートフォードの集会場ではネザフィールド館の新しい当主で独身のビングリー氏とその仲間を迎えて盛大な舞踏会が行われていた。ビングリーはベネット家の長女ジェーンにすっかり夢中だが、友人のダーシーはプライドが高く、皆と交わろうとしない。エリザベスと踊ったらというビングリーの勧めに「まあまあだが踊ってやるほどきれいじゃない」と答えたのを耳にした当のエリザベスはかっとなり、喉をかき切るために靴に仕込んだ短剣を出そうとしたが、まさにそのとき、ゾンビの集団が現れ、舞踏室は大混乱となった。ベネット氏の一声でフォーメーションを組み、ゾンビたちを見事に退治していくベネット家の娘たち。ダーシーはエリザベスの華麗な短剣さばきにみとれる・・・。
時代や場所の設定は原作と同じですが、こちらでは50年くらい前から謎の悪疫が流行して死者が甦り、ゾンビが跋扈する世界になっています。父親の教育方針(生き残れる人間に育てる)により、ベネット家の娘たち、特にエリザベスは、剣や銃はもちろんのこと、中国留学で東洋の格闘技までマスターした武術の達人となり・・・というとんでも設定。
オーストラリアにいる間、どこの書店でも目立つところに置かれていて、読みたい!と思いましたが、オーストラリアは本が高い(ペーパーバックが2,000円くらいする)ので、帰国してからアマゾンで新品同様の中古を買いました。
めちゃめちゃ楽しいです。作者名が連名になっているのも道理で、文章は80%が原文のまま。ところがそこにさりげなくゾンビや武闘派姉妹のエピソードがまぎれこむのでフイをつかれて大爆笑してしまいます。絶対に電車の中で読めない本。ほんの何ヶ所か「えっ?」と驚くような原作からの変更を加えているところもあるのですが、よく考えると大筋にはまったく影響しない部分なんですよね。作者、巧い! しかし、オースティンがこれを読んだらどう思うでしょう? 自分の書いたものを人に聞かせて楽しませるのが好きだった彼女のことだから、意外に気に入るかもなあ。
原作のエリザベスも当時の女性としてはしっかりしていましたが、ここでは文字通り強い。自分で自分の身を守ることができる女性です。現代人にはこのほうがすんなり読めるんじゃないでしょうか。
ホラーが苦手の私にとって唯一心配だったゾンビパートも、ユーモアにくるんであるので大丈夫でした。ときどき挿入される挿絵がちょっとグロなので、これだけはあまり見ないようにしてましたが。
出版元のQuirk Booksは、インディペンデント系の出版社で同様の変な本をたくさん出しています。オースティン関係ではほかに『Sense and Sensibility and Sea Monsters』というのも。
Pride and Prejudice and Zombies: The Classic Regency Romance-Now with Ultraviolent Zombie Mayhem (Quirk Classics)
邦題:高慢と偏見とゾンビ
作者:Seth Grahame-Smith(Jane Austen)
出版社:Quirk Books
ISBN:1594743347
時代や場所の設定は原作と同じですが、こちらでは50年くらい前から謎の悪疫が流行して死者が甦り、ゾンビが跋扈する世界になっています。父親の教育方針(生き残れる人間に育てる)により、ベネット家の娘たち、特にエリザベスは、剣や銃はもちろんのこと、中国留学で東洋の格闘技までマスターした武術の達人となり・・・というとんでも設定。
オーストラリアにいる間、どこの書店でも目立つところに置かれていて、読みたい!と思いましたが、オーストラリアは本が高い(ペーパーバックが2,000円くらいする)ので、帰国してからアマゾンで新品同様の中古を買いました。
めちゃめちゃ楽しいです。作者名が連名になっているのも道理で、文章は80%が原文のまま。ところがそこにさりげなくゾンビや武闘派姉妹のエピソードがまぎれこむのでフイをつかれて大爆笑してしまいます。絶対に電車の中で読めない本。ほんの何ヶ所か「えっ?」と驚くような原作からの変更を加えているところもあるのですが、よく考えると大筋にはまったく影響しない部分なんですよね。作者、巧い! しかし、オースティンがこれを読んだらどう思うでしょう? 自分の書いたものを人に聞かせて楽しませるのが好きだった彼女のことだから、意外に気に入るかもなあ。
原作のエリザベスも当時の女性としてはしっかりしていましたが、ここでは文字通り強い。自分で自分の身を守ることができる女性です。現代人にはこのほうがすんなり読めるんじゃないでしょうか。
ホラーが苦手の私にとって唯一心配だったゾンビパートも、ユーモアにくるんであるので大丈夫でした。ときどき挿入される挿絵がちょっとグロなので、これだけはあまり見ないようにしてましたが。
出版元のQuirk Booksは、インディペンデント系の出版社で同様の変な本をたくさん出しています。オースティン関係ではほかに『Sense and Sensibility and Sea Monsters』というのも。
Pride and Prejudice and Zombies: The Classic Regency Romance-Now with Ultraviolent Zombie Mayhem (Quirk Classics)
邦題:高慢と偏見とゾンビ
作者:Seth Grahame-Smith(Jane Austen)
出版社:Quirk Books
ISBN:1594743347
by timeturner
| 2009-10-25 10:57
| 洋書
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