2009年 02月 26日
エマ |
19世紀初めの南イングランド、美しい田園地帯の由緒ある邸で愛情あふれる(時にあふれ過ぎる)父と暮らすエマは、若く美しく才気煥発な娘だったが自分に自信がありすぎるのと思い込みの激しさが玉に瑕。年下の友人ハリエットに素晴らしい結婚相手をみつけようとするのだが、どうも思ったようには物事が進まず、ついには自らの人生までも思いがけない方向に流されていきそうに・・・。
オースティン自らが「わたしのほかには、だれもが、あまり好きにはなれそうにない女主人公」と言っていたそうですが、確かに読んでてこれほどイライラする主人公もいません。狭い世界から外に出たことのない21歳の小娘のくせに、偉そうな口をきき、自分の思い込みで他人を不幸に陥れ、多少は反省をするもののすぐまた次のおせっかいに走ります。
おまけにこの時代の常で階級意識にこりかたまっているので、その差別的な考え方をまるで良識であるかのようにとうとうと述べるあたりでは首をしめてやりたくなりますが、これはまあ当時の物の考え方としては正当だったわけで腹を立てても仕方がないのですよね。
でも、そうしたことがあってなお面白いのよねえ。いやもう参りました。けっこう厚めの本だったけど読み始めたら一気でした。波乱万丈のストーリーというわけではなく、田舎の村で起こるちょっとした人間模様なわけですが、登場人物の描き方が秀逸で読んでいる間脳内で映画を見ているような気分でした。上にあげたような階級社会のあれこれも読んでいるうちに「そういうものだったのだろうなあ」となじんでいき、それを100パーセント良いものとは思っていない(らしい)オースティンの皮肉も感じられるようになります。
お世辞だらけの会話が続く中でチクッと刺すような皮肉やくすっと笑わせるユーモアがさりげなく散りばめられているのも飽きさせない要素なのかも。
これも映画化されているのですよね。しかも何回も。ナイトリー役が素敵だといいなあ。
エマ (中公文庫)
原題:Emma
作者:ジェイン オースティン
訳者:阿部知二
出版社:中央公論新社
ISBN:4122046432
オースティン自らが「わたしのほかには、だれもが、あまり好きにはなれそうにない女主人公」と言っていたそうですが、確かに読んでてこれほどイライラする主人公もいません。狭い世界から外に出たことのない21歳の小娘のくせに、偉そうな口をきき、自分の思い込みで他人を不幸に陥れ、多少は反省をするもののすぐまた次のおせっかいに走ります。
おまけにこの時代の常で階級意識にこりかたまっているので、その差別的な考え方をまるで良識であるかのようにとうとうと述べるあたりでは首をしめてやりたくなりますが、これはまあ当時の物の考え方としては正当だったわけで腹を立てても仕方がないのですよね。
でも、そうしたことがあってなお面白いのよねえ。いやもう参りました。けっこう厚めの本だったけど読み始めたら一気でした。波乱万丈のストーリーというわけではなく、田舎の村で起こるちょっとした人間模様なわけですが、登場人物の描き方が秀逸で読んでいる間脳内で映画を見ているような気分でした。上にあげたような階級社会のあれこれも読んでいるうちに「そういうものだったのだろうなあ」となじんでいき、それを100パーセント良いものとは思っていない(らしい)オースティンの皮肉も感じられるようになります。
お世辞だらけの会話が続く中でチクッと刺すような皮肉やくすっと笑わせるユーモアがさりげなく散りばめられているのも飽きさせない要素なのかも。
これも映画化されているのですよね。しかも何回も。ナイトリー役が素敵だといいなあ。
エマ (中公文庫)
原題:Emma
作者:ジェイン オースティン
訳者:阿部知二
出版社:中央公論新社
ISBN:4122046432
by timeturner
| 2009-02-26 17:38
| 和書
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