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ギャスケル短篇集

和書
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ギャスケルが書いた約40編の短篇の中から、読み物として面白く、愛、忍耐、自己犠牲など、ギャスケルの特質が顕著に現われた8編を収録。うち4編は本邦初訳。 イギリスの女流作家の中で、短篇小説を書いて商業ベースでの成功を収めたのは、ギャスケルが最初だと言われているのだそうです。長編ならだらだら書いているうちになんとなく読者を納得させることができるけれど、短篇となると冒頭から読者をひきこむ語りの巧さに加え、読み終えたときの満足感を導き出す巧みな構成が必要ですからね。
ジョン・ミドルトンの心 The Heart of John Middleton 婆やの話 The Old Nurse's Story 異父兄弟 The Half-Brothers 墓掘り男が見た英雄 The Sexton's Hero 家庭の苦労 Bessy's Troubles at Home ペン・モーファの泉 The Well of Pen-Morfa リジー・リー Lizzie Leigh 終わりよければ Right at Last
ここに収録されている8編は、確かに彼女の語りの巧さを堪能できるものばかり。「語り」と書きましたが、実際、一人称で書かれたものがほとんどです。ふつうだったら素人っぽく稚拙に見えがちなのですが、きっちり構成を練ってあるので、読み終えたときに「なるほど、こうまとめるのか!」と感心することがしばしば。 なにしろ副牧師の妻だった人なので、宗教的な話が多いし、説教臭い面もありますが、物語の面白さに引き込まれて気にならなくなります。ディケンズが「シェヘラザード」と呼んでいたそうですが、まさにそのものずばり。ヴィクトリア朝に生れたから物の考え方にもモラルの捕え方にも限界があったけれど、ギャスケルが現代に生れていたら、いまの時代が求めるベストセラーを次々に発表したことだろうなあと、ちょっと夢想してしまいました。 ギャスケル短篇集 (岩波文庫) 作者:エリザベス・ギャスケル 訳者:松岡光治 出版社:岩波書店 ISBN:4003226623
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