2008年 09月 09日
光の谷間 |
放浪の天才釣り師ノアは、旅の途中で出会った老人の言葉にひかれて「光の谷間」と呼ばれる村にやってきた。その村の小さな湖には巨大なバスが棲み、釣ろうと試みる人間に不敵に挑みかかるのだという・・・。ノアはそこでバスだけではなく、多くの人々に出会い、彼らの人生を変えていく。
ひさしぶりに物語の世界にどっぷり浸ってしまいました。静かに始まり静かに終わる話の中にはたとえ死がからんでいてもハラハラしたりドキドキさせたりする要素はまったくないのに、なぜか一度読み始めると麻薬のようにふけってしまう吸引力があります。言葉のひとつひとつが美しい自然と調和して生きる喜びを伝えてくる。ナチュラリストではまったくない私なのに素直に共感してしまいました。
戦争の話、特にノアが第二次世界大戦中に派兵されたダッハウの強制収容所の話なども出てくるのですが、その描き方がこれみよがしに悲惨さをちらつかせるようなものではない。少し知恵遅れだけれど神がかり的な釣りの才能に恵まれたノアという青年の無垢な魂を通して描かれているからかもしれません。
いやあ、こんな作品があったなんてまったく知りませんでした。作者はこれの前の『白い犬とワルツを』というベストセラーで有名になった人のようですね。それもぜひ読んでみなくては。まだまだ(私にとっては)未知の素晴らしい作品がたくさんあるんだろうなあ。
光の谷間
原題:The Valley of Light
作者:テリー・ケイ
訳者:村松潔
出版社:バジリコ株式会社
ISBN:4901784455
ひさしぶりに物語の世界にどっぷり浸ってしまいました。静かに始まり静かに終わる話の中にはたとえ死がからんでいてもハラハラしたりドキドキさせたりする要素はまったくないのに、なぜか一度読み始めると麻薬のようにふけってしまう吸引力があります。言葉のひとつひとつが美しい自然と調和して生きる喜びを伝えてくる。ナチュラリストではまったくない私なのに素直に共感してしまいました。
戦争の話、特にノアが第二次世界大戦中に派兵されたダッハウの強制収容所の話なども出てくるのですが、その描き方がこれみよがしに悲惨さをちらつかせるようなものではない。少し知恵遅れだけれど神がかり的な釣りの才能に恵まれたノアという青年の無垢な魂を通して描かれているからかもしれません。
いやあ、こんな作品があったなんてまったく知りませんでした。作者はこれの前の『白い犬とワルツを』というベストセラーで有名になった人のようですね。それもぜひ読んでみなくては。まだまだ(私にとっては)未知の素晴らしい作品がたくさんあるんだろうなあ。
光の谷間
原題:The Valley of Light
作者:テリー・ケイ
訳者:村松潔
出版社:バジリコ株式会社
ISBN:4901784455
by timeturner
| 2008-09-09 22:33
| 和書
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