2007年 02月 18日
Alatriste |
苦労の末に入手したスペイン版限定2枚組DVDを見ました。ディスク1が本編、ディスク2が特典で、特典のほうは英語字幕がなくスペイン語音声のみなので、本当に「見る」だけですが。ボブ・アンダーソンのところだけ英語が聞こえて、なんだか異常にうれしかった。
1~3までの原作本をこれまでに読んでいますが、この映画はさらに先の5くらいまでの分も入れ込んだ脚本になっています。17世紀のスペインを舞台に、世界にその名を轟かせたスペイン歩兵連隊の古参兵士アラトリステと、彼が息子のように育て上げた戦友の遺児イニゴの物語です。信じられるものは己の剣と銃だけという生き方を貫くアンチヒーローの活躍を描く歴史アクション・アドベンチャー映画といったところ。
トロントで見たときはまだ原作の邦訳が1巻しか出ていなかったし、英語字幕が追い切れない部分もあったのですが、3巻まで読んで家でゆっくり見たらようやく完全に理解できました。トロントでは20分くらい短縮されていたのも理解の妨げとなったようです。今回見比べてみて、戦闘場面がカットされているのはまあ予想できるにしても、セリフのあるシーンもかなり削られていて、「これじゃ理解できるわけないよなあ」と思いました。長すぎる作品は映画祭向きではないとの判断にせよ、あの編集には疑問です。英語字幕が追いきれない私だけでなく、英語圏の人たちもわかってない様子だったもの。
ディスク2の特典にはメイキングやドキュメンタリーがかなり大量に収録されているのですが、これを見ると撮影したのに使われなかったシーンがさらに山のようにあって驚きました。「これも、これも、これも撮っていたのか!」という感じ。どうも元の脚本は5冊のメインイヴェントをすべて含んでいたようです。それって脚本じゃなくて原作のあらすじでは? これらは入れなくて正解だと思う。現状の本編だけでもエピソードが多すぎてわけがわからないのに、これ以上増やしたら頭がパンクしてしまう。ただ、マラテスタの情婦(妻?)のシーンはキャラがふくらむから入れてほしかったかも。
特典を見て、出来上がった映画が冗長なのも当然だと思った。スペインのラジー賞でワースト脚本賞にノミネートされたそうなのですが、すごく納得してしまった。
逆に「偉い」と思ったのは撮影と衣装。ベラスケスの時代にふさわしい重厚な雰囲気が画面から伝わってくるようだし、メイキングを見ていると特に若い俳優の演技が「え?」と思うほど未熟な場面があるのですが、それが最終的な映画ではアングルやらトーンやらでうまくごまかされている。
いちばん受けたのは、撮影の合間にヴィゴがノリエガさんと話しながら歩いているときに、何かにつまづいてヴィゴがひとりでおっとっととなってるとこ。で、そのあと「なんだ?」というふうに振り返って見るのも可愛かった。
ファンの間では日本での公開がないことを悲しむ声が多いけれど、私は公開しないほうがいいと思うなあ。真面目に一生懸命作られていて悪い映画ではないけれど、ヴィゴのファン以外には退屈でしょう。日本で公開されて大コケするよりは幻の名作のままでいたほうが賢明かと思う。
スペインの公式サイトはこちら。
原題:Alatriste(2006)
上映時間:147 分
製作国:スペイン
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ヴィゴ・モーテンセン、アリアドナ・ヒル、エレナ・アナヤ、エドゥアルド・ノリエガ、エンリコ・ロー・ヴェルソほか。
1~3までの原作本をこれまでに読んでいますが、この映画はさらに先の5くらいまでの分も入れ込んだ脚本になっています。17世紀のスペインを舞台に、世界にその名を轟かせたスペイン歩兵連隊の古参兵士アラトリステと、彼が息子のように育て上げた戦友の遺児イニゴの物語です。信じられるものは己の剣と銃だけという生き方を貫くアンチヒーローの活躍を描く歴史アクション・アドベンチャー映画といったところ。
トロントで見たときはまだ原作の邦訳が1巻しか出ていなかったし、英語字幕が追い切れない部分もあったのですが、3巻まで読んで家でゆっくり見たらようやく完全に理解できました。トロントでは20分くらい短縮されていたのも理解の妨げとなったようです。今回見比べてみて、戦闘場面がカットされているのはまあ予想できるにしても、セリフのあるシーンもかなり削られていて、「これじゃ理解できるわけないよなあ」と思いました。長すぎる作品は映画祭向きではないとの判断にせよ、あの編集には疑問です。英語字幕が追いきれない私だけでなく、英語圏の人たちもわかってない様子だったもの。
ディスク2の特典にはメイキングやドキュメンタリーがかなり大量に収録されているのですが、これを見ると撮影したのに使われなかったシーンがさらに山のようにあって驚きました。「これも、これも、これも撮っていたのか!」という感じ。どうも元の脚本は5冊のメインイヴェントをすべて含んでいたようです。それって脚本じゃなくて原作のあらすじでは? これらは入れなくて正解だと思う。現状の本編だけでもエピソードが多すぎてわけがわからないのに、これ以上増やしたら頭がパンクしてしまう。ただ、マラテスタの情婦(妻?)のシーンはキャラがふくらむから入れてほしかったかも。
特典を見て、出来上がった映画が冗長なのも当然だと思った。スペインのラジー賞でワースト脚本賞にノミネートされたそうなのですが、すごく納得してしまった。
逆に「偉い」と思ったのは撮影と衣装。ベラスケスの時代にふさわしい重厚な雰囲気が画面から伝わってくるようだし、メイキングを見ていると特に若い俳優の演技が「え?」と思うほど未熟な場面があるのですが、それが最終的な映画ではアングルやらトーンやらでうまくごまかされている。
いちばん受けたのは、撮影の合間にヴィゴがノリエガさんと話しながら歩いているときに、何かにつまづいてヴィゴがひとりでおっとっととなってるとこ。で、そのあと「なんだ?」というふうに振り返って見るのも可愛かった。
ファンの間では日本での公開がないことを悲しむ声が多いけれど、私は公開しないほうがいいと思うなあ。真面目に一生懸命作られていて悪い映画ではないけれど、ヴィゴのファン以外には退屈でしょう。日本で公開されて大コケするよりは幻の名作のままでいたほうが賢明かと思う。
スペインの公式サイトはこちら。
原題:Alatriste(2006)
上映時間:147 分
製作国:スペイン
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ヴィゴ・モーテンセン、アリアドナ・ヒル、エレナ・アナヤ、エドゥアルド・ノリエガ、エンリコ・ロー・ヴェルソほか。
by timeturner
| 2007-02-18 16:46
| 映画
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