2007年 01月 10日
人生は、奇跡の詩 |
きのう予告編を見て面白そうだなあと調べたらすでに上映中で、もうすぐ終わりそうだったのであわてて見てきました。レディースデイだったしね(^^)。
ローマの大学で教えるアッティリオは高い評価を得ている詩人。伝記作家のヴィットリアをひと筋に思って追いかけ回しているのだが、彼女はどうしてかとても冷たい。そんな彼女が取材のために出向いたイラクで事故に遭い、意識不明になったという電話を受けたアッティリオは彼女を救うために駆けつける。時は2003年、イラク戦争の真っ只中だった・・・。
「ライフ・イズ・ビューティフル」でナチスの収容所というこの世で最も悲惨な場所を舞台に観客を大笑いさせ、最後に感動の涙を流させたベニーニは、ここでもイラク戦争という悲劇の場を借りてひとり芝居とも言えるようなキリキリ舞いで笑わせてくれました。そして最後にはお約束の感動。
でも、今回はどうもわかりにくかったなあ。夢のシーンが最初に出てくるのですが、それが夢だというのが最初のうちなかなかわからなかったし、アッティリオとヴィットリアの関係も最後の最後までよくわからなかった。私の読解力が足りないのかなあ。見た方、最初からわかってた?
それとイラク戦争というまだあまりにも生々しい題材を使ってこの手のお話を作るのは、いくらベニーニでもやはり手に負えない部分があったと思う。ナチスのようにすでに半世紀以上がたち、内側からも外側からもさまざまに語られ検証されたものを題材にするのと、実際に何があったのかまだよくわかっていない部分のあるイラク戦争を題材にするのとでは当然ながら消化の度合いが大幅に違ってきます。わからない分は幻想的なおとぎ噺、あるいはコメディにして処理しているのですが、そのあたりもちょっと浮いている。見る人によってはおふざけが過ぎると不愉快になる人もいるかも。
ジャン・レノはイラク人の詩人の役で、アラビア語を話しています。彼の哀しげな影のある演技がベニーニの喧しさをうまく中和していてよかったのですが、最後の「ぶらりん」はちょっとわからなかった。何に対する抗議あるいは絶望だったんだろう。ひょっとしたらセリフの中に理由が触れられていたのかもしれませんが、アッティリオの大騒ぎにまぎれてよく見えませんでした。
ちょっと辛口の評価になってしまいましたが、それでも大いに笑って楽しんだのは確かです。また、アッティリオが言葉の通じないイラク人の薬剤師兼詩人に一生懸命イタリア語で彼女を愛する気持ちを詩の形で訴えかけるシーンは、それまでとはうってかわって抑えたトーンなのですが、涙があふれて止まりませんでした。さすがの演技力。
イラクのシーンは、チュニジアのチュニス、トゥズール、ガフサ、ネフサで撮影されたそうです。私が行ったことのある唯一のアラブ圏で、しかもどの街にも行ったことがあるだけに見る前にわかっていればよかったと後悔。DVDになったらもう一度見ようっと。
アッティリオの大学の同僚でものすごく獰猛な美女を演じたエミリア・フォックスは「戦場のピアニスト」や「レジェンド・オブ・サンダー」に出ていた女優で、気の強そうな美人で印象的でした。でも、それより何より印象的だったのがアッティリオのふたりの娘たち。赤ちゃんや幼児は可愛く見えて当然ですが、ティーンエイジャーでこんなに可愛く見えた女の子たちって初めてかも。性格もよく描かれているせいかな。
トム・ウェイツは夢のシーンで出てきてピアノを弾きながら歌いますが、初めてベニーニと共演した「ダウン・バイ・ロー」の存在感に比べるとお飾りみたいな扱いでした。というか、お友達のトム・ウェイツを出すためにあの夢のシーンを加えたんじゃないのかなあ。
公式サイトはこちら。
原題:La Tigre e La Neve(2005)
上映時間:114 分
製作国:イタリア
監督:ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジャン・レノ、トム・ウェイツ、エミリア・フォックス、ジャンフランコ・ヴァレット、チアラ&アナ・ピーリほか。
ローマの大学で教えるアッティリオは高い評価を得ている詩人。伝記作家のヴィットリアをひと筋に思って追いかけ回しているのだが、彼女はどうしてかとても冷たい。そんな彼女が取材のために出向いたイラクで事故に遭い、意識不明になったという電話を受けたアッティリオは彼女を救うために駆けつける。時は2003年、イラク戦争の真っ只中だった・・・。
「ライフ・イズ・ビューティフル」でナチスの収容所というこの世で最も悲惨な場所を舞台に観客を大笑いさせ、最後に感動の涙を流させたベニーニは、ここでもイラク戦争という悲劇の場を借りてひとり芝居とも言えるようなキリキリ舞いで笑わせてくれました。そして最後にはお約束の感動。
でも、今回はどうもわかりにくかったなあ。夢のシーンが最初に出てくるのですが、それが夢だというのが最初のうちなかなかわからなかったし、アッティリオとヴィットリアの関係も最後の最後までよくわからなかった。私の読解力が足りないのかなあ。見た方、最初からわかってた?
それとイラク戦争というまだあまりにも生々しい題材を使ってこの手のお話を作るのは、いくらベニーニでもやはり手に負えない部分があったと思う。ナチスのようにすでに半世紀以上がたち、内側からも外側からもさまざまに語られ検証されたものを題材にするのと、実際に何があったのかまだよくわかっていない部分のあるイラク戦争を題材にするのとでは当然ながら消化の度合いが大幅に違ってきます。わからない分は幻想的なおとぎ噺、あるいはコメディにして処理しているのですが、そのあたりもちょっと浮いている。見る人によってはおふざけが過ぎると不愉快になる人もいるかも。
ジャン・レノはイラク人の詩人の役で、アラビア語を話しています。彼の哀しげな影のある演技がベニーニの喧しさをうまく中和していてよかったのですが、最後の「ぶらりん」はちょっとわからなかった。何に対する抗議あるいは絶望だったんだろう。ひょっとしたらセリフの中に理由が触れられていたのかもしれませんが、アッティリオの大騒ぎにまぎれてよく見えませんでした。
ちょっと辛口の評価になってしまいましたが、それでも大いに笑って楽しんだのは確かです。また、アッティリオが言葉の通じないイラク人の薬剤師兼詩人に一生懸命イタリア語で彼女を愛する気持ちを詩の形で訴えかけるシーンは、それまでとはうってかわって抑えたトーンなのですが、涙があふれて止まりませんでした。さすがの演技力。
イラクのシーンは、チュニジアのチュニス、トゥズール、ガフサ、ネフサで撮影されたそうです。私が行ったことのある唯一のアラブ圏で、しかもどの街にも行ったことがあるだけに見る前にわかっていればよかったと後悔。DVDになったらもう一度見ようっと。
アッティリオの大学の同僚でものすごく獰猛な美女を演じたエミリア・フォックスは「戦場のピアニスト」や「レジェンド・オブ・サンダー」に出ていた女優で、気の強そうな美人で印象的でした。でも、それより何より印象的だったのがアッティリオのふたりの娘たち。赤ちゃんや幼児は可愛く見えて当然ですが、ティーンエイジャーでこんなに可愛く見えた女の子たちって初めてかも。性格もよく描かれているせいかな。
トム・ウェイツは夢のシーンで出てきてピアノを弾きながら歌いますが、初めてベニーニと共演した「ダウン・バイ・ロー」の存在感に比べるとお飾りみたいな扱いでした。というか、お友達のトム・ウェイツを出すためにあの夢のシーンを加えたんじゃないのかなあ。
公式サイトはこちら。
原題:La Tigre e La Neve(2005)
上映時間:114 分
製作国:イタリア
監督:ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジャン・レノ、トム・ウェイツ、エミリア・フォックス、ジャンフランコ・ヴァレット、チアラ&アナ・ピーリほか。
by timeturner
| 2007-01-10 23:53
| 映画
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