2006年 11月 12日
The Historian |
本屋で見かけて面白そうだなと思い、図書館で検索したらなんと150人以上も予約待ちだった。最近ベストセラーとかに興味ないから知らなかったんですが世界中でベストセラーになってたんですね。2巻に分かれているので、最初の巻を借りられても次の巻がなかなか来なくて苦しむのはいやだなあと思い、珍しく蔵書にあった原書(こっちは5人待ちだし1冊で完結)を借りました。
本当は日本語で読みたかったなあ。なにしろ地名や歴史上の人物がよくわからない。英語読みだと私が歴史で習った発音とは違うからいちいち辞書引いて「なんだこれだったのか」ってことが何度も。でも、アマゾンの一般人の評価を見ると翻訳の評判がいまいちですね。読みづらくて頭に入ってこないって。でも、『ダ・ヴィンチ・コード』みたいにスラスラ読める内容じゃないから、翻訳のせいばかりでもないんじゃないかな。(公式サイトで「立ち読み」したけどわかりにくい訳なんかじゃありませんでした。単にこの手の話が苦手な読者だったんでしょう)
この本がデビュー作である作者は10年かけてこれを書いたそうですが、さもありなんと思います。どの章を読んでも細部まできっちり調べたと思われる歴史的事実の裏づけがあり、その中にちゃんとラストへとつながる伏線が織り込まれている。ところどころ「あれ、これはどうなったんだっけ?」とか「よく考えるとこれは変じゃない?」と思える部分もあるんですが、これだけ入り組んだ話でこれだけきっちり納得できる形で終わっていれば文句を言う気にはなれません。
ホラー嫌いの私はふだんヴァンパイア物なんて読まないんですが、これは歴史学者の物の考え方とか歴史そのものの面白さがメインになっているのでなんの抵抗もなく読めました。とはいえ、ビザンチン文化やオスマン帝国の時代についての知識はほとんどないに等しいので、読んでいる途中で何度も本を置いてインターネットで歴史や地理を調べなくてはなりませんでした。まあ、そういう興味をかきたててくれるだけ面白い内容だったということなんですが。
800ページ以上もある長い話ですが、各章が短く、語り手が折に触れて変わって、その変わり具合がまた謎解きに重要な意味を持っていたりするので、まったく飽きずに読み進めました。ただ英語だとどうしたって日本語みたいに速くは読めないから、ものすごくもどかしく感じたけど。
ルーマニア、ハンガリー、ブルガリアといった東ヨーロッパの国々を初め、イスタンブールやフランス、アムステルダム、オックスフォードなどさまざまな土地が出てきます。特に話の展開に関係ないところもあるんですが、その描写が素晴らしい。行ったことがある所(オックスフォード、フランス、アムステルダムくらいだけど)は思い出しながら、そうでない所はいつか行きたいなあと憧れながら読みました。
すでにソニーが映画化権を取得済みだそうですが、キャスティングはどうなるのかしら。読んでいるときの私の頭の中では父親ポールはレイフ・ファインズでした。「ナイロビの蜂」の“妻を探し回る夫”の印象が強いせいかも。でもポールはアメリカ人だからなあ。
邦題:ヒストリアン
作者:Elizabeth Kostova
出版社:Back Bay Books
ISBN:0316057886
本当は日本語で読みたかったなあ。なにしろ地名や歴史上の人物がよくわからない。英語読みだと私が歴史で習った発音とは違うからいちいち辞書引いて「なんだこれだったのか」ってことが何度も。でも、アマゾンの一般人の評価を見ると翻訳の評判がいまいちですね。読みづらくて頭に入ってこないって。でも、『ダ・ヴィンチ・コード』みたいにスラスラ読める内容じゃないから、翻訳のせいばかりでもないんじゃないかな。(公式サイトで「立ち読み」したけどわかりにくい訳なんかじゃありませんでした。単にこの手の話が苦手な読者だったんでしょう)
この本がデビュー作である作者は10年かけてこれを書いたそうですが、さもありなんと思います。どの章を読んでも細部まできっちり調べたと思われる歴史的事実の裏づけがあり、その中にちゃんとラストへとつながる伏線が織り込まれている。ところどころ「あれ、これはどうなったんだっけ?」とか「よく考えるとこれは変じゃない?」と思える部分もあるんですが、これだけ入り組んだ話でこれだけきっちり納得できる形で終わっていれば文句を言う気にはなれません。
ホラー嫌いの私はふだんヴァンパイア物なんて読まないんですが、これは歴史学者の物の考え方とか歴史そのものの面白さがメインになっているのでなんの抵抗もなく読めました。とはいえ、ビザンチン文化やオスマン帝国の時代についての知識はほとんどないに等しいので、読んでいる途中で何度も本を置いてインターネットで歴史や地理を調べなくてはなりませんでした。まあ、そういう興味をかきたててくれるだけ面白い内容だったということなんですが。
800ページ以上もある長い話ですが、各章が短く、語り手が折に触れて変わって、その変わり具合がまた謎解きに重要な意味を持っていたりするので、まったく飽きずに読み進めました。ただ英語だとどうしたって日本語みたいに速くは読めないから、ものすごくもどかしく感じたけど。
ルーマニア、ハンガリー、ブルガリアといった東ヨーロッパの国々を初め、イスタンブールやフランス、アムステルダム、オックスフォードなどさまざまな土地が出てきます。特に話の展開に関係ないところもあるんですが、その描写が素晴らしい。行ったことがある所(オックスフォード、フランス、アムステルダムくらいだけど)は思い出しながら、そうでない所はいつか行きたいなあと憧れながら読みました。
すでにソニーが映画化権を取得済みだそうですが、キャスティングはどうなるのかしら。読んでいるときの私の頭の中では父親ポールはレイフ・ファインズでした。「ナイロビの蜂」の“妻を探し回る夫”の印象が強いせいかも。でもポールはアメリカ人だからなあ。
作者:Elizabeth Kostova
出版社:Back Bay Books
ISBN:0316057886
by timeturner
| 2006-11-12 20:58
| 洋書
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