2006年 08月 15日
リトル・ソルジャー |
部族抗争が泥沼化しているアフリカのラサイで両親と妹をユスル族に惨殺され、自らも怪我を負いながらも生き残ったキブ族の少年カニンダは、ユスル族への恨みと自分だけ生き残ったことへの罪悪感にかられて反乱軍の少年兵士となる。が、心ならずも国連軍に保護され、ロンドンの敬虔なキリスト教信者の家庭に里子として連れてこられた。そこで彼は地元の不良少年たちの抗争に巻き込まれ、されにユスル族の少年が同じ中学に転校してくる。
ここのところ図書館の児童書コーナー探索を楽しんでいるんですが、きょうみつけたのがこれ。「灰色」なんて漢字にもルビがふってあることを除けば、大人でも十分に楽しめる内容です。作者はティーンエイジャー向けの小説を多く書いている人のようで、説教臭くはなく、それでいて色々と考えさせる問題を提示してくれます。
先日見た「ホテル・ルワンダ」を思わせるような部族抗争の実態は私みたいな部外者にはとうていはかりしれないものなんでしょうが、それを貧困と無知の結果と軽々しく判断してはいけないんだな、と思わされました。この本に出てくる不良少年たちの抗争もそうだし、大人の世界にだってヤクザ同士の抗争、はたまた国同士の戦争が現に行われているんですから。
これはもう人間の性でどうしようもないのかと絶望にかられそうになりますが、作者はちゃんとそれにも答えを用意してくれています。こういう本を中学生の頃に読むのはとてもいいと思うけれど、今の中学生ってそもそも本を読むのかしら?
リトル・ソルジャー (ポプラ・ウイング・ブックス)
原題:Little Soldier
作者:バーナード・アシュリー
訳者:さくまゆみこ
出版社:ポプラ社
ここのところ図書館の児童書コーナー探索を楽しんでいるんですが、きょうみつけたのがこれ。「灰色」なんて漢字にもルビがふってあることを除けば、大人でも十分に楽しめる内容です。作者はティーンエイジャー向けの小説を多く書いている人のようで、説教臭くはなく、それでいて色々と考えさせる問題を提示してくれます。
先日見た「ホテル・ルワンダ」を思わせるような部族抗争の実態は私みたいな部外者にはとうていはかりしれないものなんでしょうが、それを貧困と無知の結果と軽々しく判断してはいけないんだな、と思わされました。この本に出てくる不良少年たちの抗争もそうだし、大人の世界にだってヤクザ同士の抗争、はたまた国同士の戦争が現に行われているんですから。
これはもう人間の性でどうしようもないのかと絶望にかられそうになりますが、作者はちゃんとそれにも答えを用意してくれています。こういう本を中学生の頃に読むのはとてもいいと思うけれど、今の中学生ってそもそも本を読むのかしら?
リトル・ソルジャー (ポプラ・ウイング・ブックス)
原題:Little Soldier
作者:バーナード・アシュリー
訳者:さくまゆみこ
出版社:ポプラ社
by timeturner
| 2006-08-15 23:23
| 和書
|
Comments(3)
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さやか
at 2006-08-16 16:29
x
わたしも最近、児童書がおもしろくなっています。子ども向けの本って、直球勝負でギミックがないからお話のおもしろさがダイレクトに伝わってくるんですよね。
わたしのお気に入りはリチャード・ペックとアレックス・シアラーです。とくに、ふつうの人のたくましさを描くリチャード・ペックはおすすめです。もし見かけたらぜひ!
わたしのお気に入りはリチャード・ペックとアレックス・シアラーです。とくに、ふつうの人のたくましさを描くリチャード・ペックはおすすめです。もし見かけたらぜひ!
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shoh
at 2006-08-16 21:01
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子供は面白くない本を「何かの役に立つかも」なんて無理して読んだりしないですからね。かなり惹きつけるものがないと読んでくれないから作者も必死ですよね。
お勧めありがとうございます。リチャード・ペック、どの本もリクエストできるみたいですが、どれから読むのがお勧めですか?
アレックス・シアラーはたくさんありすぎて迷いますが、近所の図書館に『スノードーム』があるので次に行ったときに読んでみます。
お勧めありがとうございます。リチャード・ペック、どの本もリクエストできるみたいですが、どれから読むのがお勧めですか?
アレックス・シアラーはたくさんありすぎて迷いますが、近所の図書館に『スノードーム』があるので次に行ったときに読んでみます。
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さやか
at 2006-08-17 10:50
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ペックを読むなら、まずは『シカゴよりこわい町』がおすすめ。似たようなタイトルの『シカゴより好きな町』は、それの続編です。日本での最新刊の『ミシシッピがくれたもの』はかなりトーンがちがいますが、これまた傑作なのです。
シアラーは最近人気で、次々と出ていますね。わたしも読むのが追いつきませんが、いまのところのナンバー1は『『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』かな。12歳の少女とおばあさんのからだが入れ替わってしまう、ちょっと怖いお話です。
あと、子ども向けというよりは大人向けの童話ですが、マイケル・ホーイの〈ネズミの時計屋さんハーマックスの恋と冒険〉シリーズも楽しいです。2作目までのレビューがこちらで読めます。
http://www.litrans.net/whodunit/mag/html/0312.htm#TIME
ついでに訳者の雨沢さんのインタビューはこちら。
http://www.litrans.net/whodunit/int/amez.htm
シアラーは最近人気で、次々と出ていますね。わたしも読むのが追いつきませんが、いまのところのナンバー1は『『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』かな。12歳の少女とおばあさんのからだが入れ替わってしまう、ちょっと怖いお話です。
あと、子ども向けというよりは大人向けの童話ですが、マイケル・ホーイの〈ネズミの時計屋さんハーマックスの恋と冒険〉シリーズも楽しいです。2作目までのレビューがこちらで読めます。
http://www.litrans.net/whodunit/mag/html/0312.htm#TIME
ついでに訳者の雨沢さんのインタビューはこちら。
http://www.litrans.net/whodunit/int/amez.htm