2006年 02月 02日
ウルフ・サーガ |
ささやき風谷の狼たちはワカの掟を守って幸せに暮らしていた。ワカの掟というのはこの世の万物にあまねく行き渡った教えで、どんな生き物も自分たちが生きるのに必要なだけの獲物しか殺さず、それぞれの存在を尊重して生きるというものだった。
だがある日、北の国から巨大狼ショーガル・カンとその配下の狼たちが侵入してきて、ワカの教えを捨て、狼だけが支配する世の中を目指して共に戦うのだと迫られる。どうしてもそれに従わなかった風谷の狼たちは追放され、仲良しのアオカケス、シャークをお供に自分たちを受け入れてくれる土地を探して放浪の旅に出る。
子供向けに書かれたお話ですが、『指輪物語』と同様、大人が読んでも十分に楽しめる内容です。自然と調和し、自然を愛して生きる動物たちに対して、自然を征服し支配しようとするショーガル・カンたちの群れは、まるで私たち人間の姿を見ているような気がしてきます。
作者はオーストリア人ですが、アメリカを訪れたときに先住民たちの文化や生き方にとても感銘を受け、彼らに関する本も何冊か出しているとあって、アメリカ先住民の民話や神話からの影響もあるようです。狼たちの名前はそこからとったと訳者あとがきに書かれていました。
狼の生態についてもかなり調べたようで、狼の群れの力関係、家族関係、愛情の示し方などまるで本物の狼がこの本を書いたかのように生き生きと描かれています。とても愛情豊かで頭がよく、それでいて子供のような無邪気さも失っていない彼らの話を読めば読むほど狼が好きになってしまいました(^.^)。ちっぽけなカケスとの友情もとても感動的。私に子供がいたら絶対に読ませたい本だな。
そして翻訳が素晴らしいです。翻訳くささが微塵もなく、とても美しい日本語なのですが、かといって瀬田訳の『指輪物語』のように子供には無理な読みにくさはありません。原文がそうなのでしょうが、短いてきぱきした文がつながっているにも関わらず、読んだときにイメージが頭の中に鮮やかに広がるんです。
ウルフ・サーガ〈上〉 (福音館文庫 物語)
ウルフ・サーガ〈下〉 (福音館文庫 物語)
原題:Wolfsaga
作者:ケーテ・レヒアイス
訳者:松沢あさか
刊行:福音館書店
だがある日、北の国から巨大狼ショーガル・カンとその配下の狼たちが侵入してきて、ワカの教えを捨て、狼だけが支配する世の中を目指して共に戦うのだと迫られる。どうしてもそれに従わなかった風谷の狼たちは追放され、仲良しのアオカケス、シャークをお供に自分たちを受け入れてくれる土地を探して放浪の旅に出る。
子供向けに書かれたお話ですが、『指輪物語』と同様、大人が読んでも十分に楽しめる内容です。自然と調和し、自然を愛して生きる動物たちに対して、自然を征服し支配しようとするショーガル・カンたちの群れは、まるで私たち人間の姿を見ているような気がしてきます。
作者はオーストリア人ですが、アメリカを訪れたときに先住民たちの文化や生き方にとても感銘を受け、彼らに関する本も何冊か出しているとあって、アメリカ先住民の民話や神話からの影響もあるようです。狼たちの名前はそこからとったと訳者あとがきに書かれていました。
狼の生態についてもかなり調べたようで、狼の群れの力関係、家族関係、愛情の示し方などまるで本物の狼がこの本を書いたかのように生き生きと描かれています。とても愛情豊かで頭がよく、それでいて子供のような無邪気さも失っていない彼らの話を読めば読むほど狼が好きになってしまいました(^.^)。ちっぽけなカケスとの友情もとても感動的。私に子供がいたら絶対に読ませたい本だな。
そして翻訳が素晴らしいです。翻訳くささが微塵もなく、とても美しい日本語なのですが、かといって瀬田訳の『指輪物語』のように子供には無理な読みにくさはありません。原文がそうなのでしょうが、短いてきぱきした文がつながっているにも関わらず、読んだときにイメージが頭の中に鮮やかに広がるんです。
ウルフ・サーガ〈上〉 (福音館文庫 物語)
ウルフ・サーガ〈下〉 (福音館文庫 物語)
原題:Wolfsaga
作者:ケーテ・レヒアイス
訳者:松沢あさか
刊行:福音館書店
by timeturner
| 2006-02-02 19:20
| 和書
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