2018年 01月 19日
ねこの学校(1~5) |
韓国の小学三年生、ミンジュンの家から猫のボドルがいなくなりました。年老いた猫は死期が近づくと姿を消すものだとお父さんは言いましたが、ある日、ミンジュンの家に残った若猫モリー宛てにボドルからの手紙が届きます。「ねこの学校」に入学して、楽しく魔法の授業をうけているというのです・・・。
こんな書き出しだったので、てっきり人間の子供と猫の友情物語だと思っていたら、1巻では途中から人間の話はいっさい出てこなくなり、猫の魔法学校での出来事だけになりました。
おまけにびっくり、まるっきりハリー・ポッター。猫のホグワーツに猫のダンブルドア先生、猫のハリー、ロン、ハーマイオニー……。猫のヴォルデモートみたいなのもいます。
うーむ、大丈夫だろうかと不安になったものの、とりあえず読み続けました。
2巻目に入ると、また人間のミンジュンたちが登場。しかも、読者には何の説明もないまま、ミンジュンが郵便局に入っていって窓口のおばさんにセナ(おばさんの娘)の命が危ないと言い出します。何か読み落としていたかと、あわてて1巻に戻ってみたけど、何も書いてない。仕方がないのでそのまま2巻を読み続けていたら、後になってから事情が説明されました。
いやあ、これは無理だわ。大人向けの小説で起こったことの順序を逆に書くことはあるけれど、まだ本を読みなれない子供には理解できないと思う。ここで挫折しちゃう子が多いんじゃないかな。
この手法はこれっきり出てこなかったので安心したけど、今度は逆に書かなくてもいいことまで逐一書くようになっちゃって、幼児絵本じゃないんだから、そこまで書いたら興ざめだろう、読者の想像力を信じないのかと不愉快になってきました。
巻が進むにつれて話はどんどん広がっていきます。ハリポタの亜流で終わってはいけないと考えたのかもしれません。自閉症児の問題だけでなく、絶滅危惧種の問題やゴミ問題などの環境破壊に触れ、遺伝子操作を弾劾しつつ、イザナギ・イザナミやオルフェのような神話をからめ、放浪の戦士や、竜や、火の鳥や、朝鮮人参の精(!)や、伝説の木を散りばめます。いやもう盛り沢山すぎてわけわかんない。
そして、5巻目までくると、校長先生がこんなことを!
ハリー・ポッターを読むにはまだ幼すぎる児童向けの本なのでしょうか。そのわりにはけっこう難しい言葉も出てくるんですけどね。そういう難しい言葉と、幼稚な文体がなじんでいないので、大人の目で読むと違和感を感じます。ひょっとしてこれってゲーム文体なのかな? 危険が迫ると必要なアイテムが現れるというのもゲームのお約束ですよね。
続きを書く気まんまんのエンディングもとってつけた感が大きくてすっきりしませんでした。
猫が主人公なので最後まで読んだけど、人間だったらムリだったな。
ねこの学校 (1) 水晶どうくつの秘密
ねこの学校 (2) 魔法のおくりもの
ねこの学校 (3) ほんとうになった予言
ねこの学校 (4) わたしはそなたの瞳のなかにいよう
ねこの学校 (5) たましいの丘
作者:キム ジンギョン
イラスト:キム ジェホン
訳者:ホンカズミ
出版社:岩崎書店
ISBN:4265076017、4265076025、4265076033、4265076041、426507605X
こんな書き出しだったので、てっきり人間の子供と猫の友情物語だと思っていたら、1巻では途中から人間の話はいっさい出てこなくなり、猫の魔法学校での出来事だけになりました。
おまけにびっくり、まるっきりハリー・ポッター。猫のホグワーツに猫のダンブルドア先生、猫のハリー、ロン、ハーマイオニー……。猫のヴォルデモートみたいなのもいます。
うーむ、大丈夫だろうかと不安になったものの、とりあえず読み続けました。
2巻目に入ると、また人間のミンジュンたちが登場。しかも、読者には何の説明もないまま、ミンジュンが郵便局に入っていって窓口のおばさんにセナ(おばさんの娘)の命が危ないと言い出します。何か読み落としていたかと、あわてて1巻に戻ってみたけど、何も書いてない。仕方がないのでそのまま2巻を読み続けていたら、後になってから事情が説明されました。
いやあ、これは無理だわ。大人向けの小説で起こったことの順序を逆に書くことはあるけれど、まだ本を読みなれない子供には理解できないと思う。ここで挫折しちゃう子が多いんじゃないかな。
この手法はこれっきり出てこなかったので安心したけど、今度は逆に書かなくてもいいことまで逐一書くようになっちゃって、幼児絵本じゃないんだから、そこまで書いたら興ざめだろう、読者の想像力を信じないのかと不愉快になってきました。
巻が進むにつれて話はどんどん広がっていきます。ハリポタの亜流で終わってはいけないと考えたのかもしれません。自閉症児の問題だけでなく、絶滅危惧種の問題やゴミ問題などの環境破壊に触れ、遺伝子操作を弾劾しつつ、イザナギ・イザナミやオルフェのような神話をからめ、放浪の戦士や、竜や、火の鳥や、朝鮮人参の精(!)や、伝説の木を散りばめます。いやもう盛り沢山すぎてわけわかんない。
そして、5巻目までくると、校長先生がこんなことを!
「母親であるモリーが赤んぼうを愛する心、ミンジュンやセナが、モリーと赤んぼうをまもりたいとねがう心。どんなすばらしい水晶魔法も、けっきょくはそういう気持ちをまもるためのものなんだ。水晶魔法の危機をこくふくする力も、そういうふつうの心からでてくるんだろう。」ヴォルデモートの死の呪文からハリーを守った母リリーの愛みたいに?と突っ込みそうになりました。そして、最後の決戦で現れた悪の権化アボビスは、まさにヴォルデモートです。
ハリー・ポッターを読むにはまだ幼すぎる児童向けの本なのでしょうか。そのわりにはけっこう難しい言葉も出てくるんですけどね。そういう難しい言葉と、幼稚な文体がなじんでいないので、大人の目で読むと違和感を感じます。ひょっとしてこれってゲーム文体なのかな? 危険が迫ると必要なアイテムが現れるというのもゲームのお約束ですよね。
続きを書く気まんまんのエンディングもとってつけた感が大きくてすっきりしませんでした。
猫が主人公なので最後まで読んだけど、人間だったらムリだったな。
ねこの学校 (1) 水晶どうくつの秘密
ねこの学校 (2) 魔法のおくりもの
ねこの学校 (3) ほんとうになった予言
ねこの学校 (4) わたしはそなたの瞳のなかにいよう
ねこの学校 (5) たましいの丘
作者:キム ジンギョン
イラスト:キム ジェホン
訳者:ホンカズミ
出版社:岩崎書店
ISBN:4265076017、4265076025、4265076033、4265076041、426507605X
by timeturner
| 2018-01-19 19:00
| 和書
|
Comments(0)