2017年 12月 05日
カランポーのオオカミ王 |
十九世紀末、開拓時代のアメリカからはオオカミが姿を消しつつあった。そんな中で、カランポー地方で「王」と呼ばれ、恐れられた一匹のオオカミ「ロボ」。たくさんの人がロボを捕殺しようとやってきたが、頭のいいロボと彼が率いる群れのオオカミたちは一頭たりとも捕まらなかった。博物学者で画家のシートンは、すぐれたオオカミ・ハンターとしての名前にかけてロボに挑み・・・。ボローニャ・ラガッツィ賞(ノンフィクション部門)最優秀賞受賞。
絵本でこれほど泣かされるとは思いませんでした。ふつうは最後にほろっと涙を流す程度なのに、三分の二くらいのところでわあわあ泣いてしまった。
泣きながら「シートンめ! 許さん(激怒)!」とか「オオカミにもファム・ファタールっているんだなあ(嘆息)」とかいろんな感情に揺さぶられていたんですが、そこで終わらせないのが巧い。
この経験の後、すっかり考え方をかえたシートンの生き方と、彼があとの時代に残した功績をも描くことでいやな後味を吹き払います。激怒していた私も、「まあ、若いうちは馬鹿なことをしてしまうものだし、その経験がいい結果を生んで自分の子孫が救われたと思えばロボも浮かばれるか」なんて思ったりもしました。
作者は『シャクルトンの大漂流』でヒットを飛ばした人ですが、テーマの選び方、その処理の仕方が巧いですねえ。
カランポーのオオカミ王
原題:The Wolves of Currumpaw
作・絵:ウィリアム・グリル
訳者:千葉茂樹
出版社:岩波書店
ISBN:4001112647
絵本でこれほど泣かされるとは思いませんでした。ふつうは最後にほろっと涙を流す程度なのに、三分の二くらいのところでわあわあ泣いてしまった。
泣きながら「シートンめ! 許さん(激怒)!」とか「オオカミにもファム・ファタールっているんだなあ(嘆息)」とかいろんな感情に揺さぶられていたんですが、そこで終わらせないのが巧い。
この経験の後、すっかり考え方をかえたシートンの生き方と、彼があとの時代に残した功績をも描くことでいやな後味を吹き払います。激怒していた私も、「まあ、若いうちは馬鹿なことをしてしまうものだし、その経験がいい結果を生んで自分の子孫が救われたと思えばロボも浮かばれるか」なんて思ったりもしました。
作者は『シャクルトンの大漂流』でヒットを飛ばした人ですが、テーマの選び方、その処理の仕方が巧いですねえ。
カランポーのオオカミ王
原題:The Wolves of Currumpaw
作・絵:ウィリアム・グリル
訳者:千葉茂樹
出版社:岩波書店
ISBN:4001112647
by timeturner
| 2017-12-05 19:00
| 和書
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