2017年 09月 27日
Time Travelling with a Hamster |
アル・チョーダリーは12歳。母親、母親の再婚相手スティーヴ、義理の姉カーリー、ハムスターのアラン・シアラーと暮らしている。父親は4年前に突然死した。スティーヴは悪い人間ではないが趣味がまったく合わないし、ゴス・ガールの姉とは会話も成り立たない。アルの唯一の楽しみは亡き父の父、バイロンおじいちゃんと会うことだけだった。そんなある日、12歳の誕生日に、亡くなった父親がアルに宛てた手紙を受け取る・・・。
タイム・トラベルと聞いて気になったのですが、たくさんの賞にノミネートされていたのですぐに翻訳が出るだろうと待っていました。ところが、出ないのよね。最近はよほど大きな賞をとるか、複数受賞したものでないとだめなのかしら。そんなところにKindle版が値下がりしてるのをみつけたので買ってしまいました。
『ワンダー WONDER』や『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time』のファンにお勧めのタイムトラベルファンタジーとアマゾンの紹介に書かれていたので、主人公がなんらかの障害を抱えているのかと思ったら、そういうわけではなく、身体の大きさや喧嘩の強さはいまいちだけれど、天才肌だった父親の血をひいてなかなかかしこい子です。
名前からわかるようにチョーダリー家はインド系で、バイロンおじいちゃんは見聞きした出来事をひとつ残らず記憶し、必要なときにそっくりとりだすことができるインド古来の記憶術の持ち主です。そのほかにもインド系イギリス人の暮らし方や物の考え方、宗教観などについても書かれていて、へええっと思わされました。作者の写真を見た感じではインド系とは思えないので、調べて書いたんですね。インド人は理数系、IT系に強いという印象があるから、それで選んだのかも。
死んだ父親の手紙にあった依頼を達成すべく、アルは父親手づくりのタイムマシンで1984年にタイムトラベルするのですが、なにしろ12歳の子供ですから、ひとりでいればすぐに大人から質疑応答されるし、1984年にもいじめっ子はいます。今の世の中では誰もが便利に使っている携帯電話やラップトップといったものはありません。唯一の味方であるアラン・シアラーは役に立つより足手まといになる。
そもそも、わざわざハムスターを連れていく理由が説明不足で、最後になってようやく「そうか、ハムスターをこう使いたかったのか!」とわかったという。
まあ、そんなこんなで、今の子供たちにとっては「えーっ、昔はそんなだったの?!」という興味や驚きもあり、大人の私より数倍楽しめそうです。イギリス南東部の46の小学校児童が選ぶAwesome Book Awardを受賞したのも、そのあたりが支持されたからじゃないかな。
タイムトラベル理論については、それなりに辻褄を合わせてあって、なるほど、そういうこともあるかなと(文系人間の私は)思うのですが、あのエンディングには「うそっ!」と驚きました。まあ、読後感がいいからかまわないとは思うけど、純粋なSFファンが読むとどう感じるのか、聞いてみたい気がします。
Time Travelling with a Hamster
作者:Ross Welford
出版社:HarperCollinsChildren’sBooks
ISBN:Kindle版
タイム・トラベルと聞いて気になったのですが、たくさんの賞にノミネートされていたのですぐに翻訳が出るだろうと待っていました。ところが、出ないのよね。最近はよほど大きな賞をとるか、複数受賞したものでないとだめなのかしら。そんなところにKindle版が値下がりしてるのをみつけたので買ってしまいました。
『ワンダー WONDER』や『The Curious Incident of the Dog in the Night-Time』のファンにお勧めのタイムトラベルファンタジーとアマゾンの紹介に書かれていたので、主人公がなんらかの障害を抱えているのかと思ったら、そういうわけではなく、身体の大きさや喧嘩の強さはいまいちだけれど、天才肌だった父親の血をひいてなかなかかしこい子です。
名前からわかるようにチョーダリー家はインド系で、バイロンおじいちゃんは見聞きした出来事をひとつ残らず記憶し、必要なときにそっくりとりだすことができるインド古来の記憶術の持ち主です。そのほかにもインド系イギリス人の暮らし方や物の考え方、宗教観などについても書かれていて、へええっと思わされました。作者の写真を見た感じではインド系とは思えないので、調べて書いたんですね。インド人は理数系、IT系に強いという印象があるから、それで選んだのかも。
死んだ父親の手紙にあった依頼を達成すべく、アルは父親手づくりのタイムマシンで1984年にタイムトラベルするのですが、なにしろ12歳の子供ですから、ひとりでいればすぐに大人から質疑応答されるし、1984年にもいじめっ子はいます。今の世の中では誰もが便利に使っている携帯電話やラップトップといったものはありません。唯一の味方であるアラン・シアラーは役に立つより足手まといになる。
そもそも、わざわざハムスターを連れていく理由が説明不足で、最後になってようやく「そうか、ハムスターをこう使いたかったのか!」とわかったという。
まあ、そんなこんなで、今の子供たちにとっては「えーっ、昔はそんなだったの?!」という興味や驚きもあり、大人の私より数倍楽しめそうです。イギリス南東部の46の小学校児童が選ぶAwesome Book Awardを受賞したのも、そのあたりが支持されたからじゃないかな。
タイムトラベル理論については、それなりに辻褄を合わせてあって、なるほど、そういうこともあるかなと(文系人間の私は)思うのですが、あのエンディングには「うそっ!」と驚きました。まあ、読後感がいいからかまわないとは思うけど、純粋なSFファンが読むとどう感じるのか、聞いてみたい気がします。
Time Travelling with a Hamster
作者:Ross Welford
出版社:HarperCollinsChildren’sBooks
ISBN:Kindle版
by timeturner
| 2017-09-27 19:00
| 洋書
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