2017年 08月 30日
ねこのおうち |
ひかり公園で産み落とされた6匹のねこたち。ねことその家族が奏でる命の物語。『野性時代』『文藝』掲載の短編をまとめて単行本化したもの。
柳美里さんだから、ただかわいいだけの話じゃないだろうなと思っていましたが、実に読み応えのある小説でした。
血統書つきのチンチラが野良のキジトラとの間に産んだ3匹の仔猫がそもそもの始まり。母親そっくりの真っ白な子とキジ柄だけど長毛の子は人にあげることになったものの、短毛のキジトラはどうせ貰い手がつかないだろうからと公園に捨てられてしまいます。このあたりの描写がもう鬼畜を絵に描いたようなひどさで、ペットショップでブランド猫を買う人の中にはこういう人もいるんだろうなあとぞっとしました。
生まれたばかりでまだ目も明かない弱々しい仔猫を捨てるなんて、どうしてできるんだろう。しかも、自分で捨てにいくんじゃなくて、夫に捨てに行かせるというのがもうね。死ね!ばか女!
ニーコのおうち
スワンのおうち
アルミとサンタのおうち
ゲンゴロウとラテとニーコのおうち
このあと、ニーコが産んだ6匹の仔猫たちはそれぞれの道を歩くことになるのですが、仔猫主体ではなく、その仔猫に関わる人たち、登校拒否で引きこもりの姉をもつ少女、虐待されているという噂のある母親と二人暮らしの少年、老猫3匹と暮らしながら公園の猫たちもこっそり保護する町内会長の老人、両親の離婚・再婚でこの世のどこにも居場所をみつけられない青年、末期癌の妻に寄り添うまだ若い夫。
さまざまな人々のさまざまな生き方の中に、猫たちがするりと入りこみ、かけがえのない存在になっていきます。
公園から猫を追い出したり、毒団子をまいたりする無理解な猫嫌いたち、飼い猫を保健所に持ち込む人たちと殺処分される猫たちなど、保護猫の譲渡、野良猫の避妊・去勢手術など、猫をめぐる問題の数々にも触れています。いやあ、こうやって羅列していくと、すごく盛り沢山ですね。
ハッピーな話ばかりではなく、どちらかというと悲しい話のほうが多いけれど(それが現実だから)、そこに猫がいるだけで少し救われるような気がします。最後のほうに出てきた、老人ホーム、老犬ホーム、老猫ホームを合体した施設には私も将来入りたい。もっとも、これだって決して単純な薔薇色には描いていないところが柳さんらしいんですけどね。
日本画の屏風絵のような雰囲気のあるカバーもすてきです。
ねこのおうち
作者:柳 美里
出版社:河出書房新社
ISBN:4309024726
柳美里さんだから、ただかわいいだけの話じゃないだろうなと思っていましたが、実に読み応えのある小説でした。
血統書つきのチンチラが野良のキジトラとの間に産んだ3匹の仔猫がそもそもの始まり。母親そっくりの真っ白な子とキジ柄だけど長毛の子は人にあげることになったものの、短毛のキジトラはどうせ貰い手がつかないだろうからと公園に捨てられてしまいます。このあたりの描写がもう鬼畜を絵に描いたようなひどさで、ペットショップでブランド猫を買う人の中にはこういう人もいるんだろうなあとぞっとしました。
生まれたばかりでまだ目も明かない弱々しい仔猫を捨てるなんて、どうしてできるんだろう。しかも、自分で捨てにいくんじゃなくて、夫に捨てに行かせるというのがもうね。死ね!ばか女!
ニーコのおうち
スワンのおうち
アルミとサンタのおうち
ゲンゴロウとラテとニーコのおうち
このあと、ニーコが産んだ6匹の仔猫たちはそれぞれの道を歩くことになるのですが、仔猫主体ではなく、その仔猫に関わる人たち、登校拒否で引きこもりの姉をもつ少女、虐待されているという噂のある母親と二人暮らしの少年、老猫3匹と暮らしながら公園の猫たちもこっそり保護する町内会長の老人、両親の離婚・再婚でこの世のどこにも居場所をみつけられない青年、末期癌の妻に寄り添うまだ若い夫。
さまざまな人々のさまざまな生き方の中に、猫たちがするりと入りこみ、かけがえのない存在になっていきます。
公園から猫を追い出したり、毒団子をまいたりする無理解な猫嫌いたち、飼い猫を保健所に持ち込む人たちと殺処分される猫たちなど、保護猫の譲渡、野良猫の避妊・去勢手術など、猫をめぐる問題の数々にも触れています。いやあ、こうやって羅列していくと、すごく盛り沢山ですね。
ハッピーな話ばかりではなく、どちらかというと悲しい話のほうが多いけれど(それが現実だから)、そこに猫がいるだけで少し救われるような気がします。最後のほうに出てきた、老人ホーム、老犬ホーム、老猫ホームを合体した施設には私も将来入りたい。もっとも、これだって決して単純な薔薇色には描いていないところが柳さんらしいんですけどね。
日本画の屏風絵のような雰囲気のあるカバーもすてきです。
ねこのおうち
作者:柳 美里
出版社:河出書房新社
ISBN:4309024726
by timeturner
| 2017-08-30 19:00
| 和書
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