2017年 06月 16日
オリーブの海 |
マーサ・ボイルは12歳。夏休みのある日、海辺の祖母の家に行く前日に、ひとりの女性がマーサを訪ねてきた。何週間か前に交通事故で死んだ同級生オリーブの母親だと言い、オリーブが遺した日記の1ページを渡して去った。ほとんど口をきいたこともないオリーブからのメッセージにマーサは戸惑う・・・。ニューベリー賞オナー受賞作。
いいなあ。訳者あとがきに「きらきら光る貝がらがたくさんつまった宝石箱みたいな作品」と書いてありますが、まさにそういう印象。
心の中がきらきら感でいっぱいになったかと思うと、あっと言う間に消えてしまう。家族なんか大嫌いだと思ったすぐあとに、ひとりひとりが愛おしくてたまらなくなる。それまではなんとも思っていなかった男の子と目があったとたんに、頭の中がふわふわしてくる。
大人への入口にさしかかった女の子の自分でも説明がつかないような感情を丁寧にやさしく描いていて、そんな時代は半世紀以上前にすんでしまった読者にも甘酸っぱい記憶をよみがえらせてくれます。
マーサほど感受性は強くなかったし、素直でもなかったのが残念だけど、でも、こういう時期は与えられていたんだなあとじんわりしました。もっと大切に生きればよかったという後悔もちょっぴり。そういう意味から言えば、いま12歳の女の子はこれを読んでいまの自分をもっと好きになってほしいなと思う。
表面的には思春期の女の子のきらきら輝く日々を描いてはいるけれど、それを引き立たせるかのように、マーサの祖母ゴッビイの老いと近づきつつある死や、12歳の若さで死んだ同級生オリーブの果されなかった夢を影のように配しているのも巧いと思う。ケヴィン・ヘンクスは絵本しか読んだことがなかったんですが、作家としても一流なんですね。ほかの作品も読んでみよう。
オリーブの海
原題:Olive's Ocean
作者:ケヴィン・ヘンクス
訳者:代田亜香子
出版社:白水社
ISBN:4560027285
いいなあ。訳者あとがきに「きらきら光る貝がらがたくさんつまった宝石箱みたいな作品」と書いてありますが、まさにそういう印象。
心の中がきらきら感でいっぱいになったかと思うと、あっと言う間に消えてしまう。家族なんか大嫌いだと思ったすぐあとに、ひとりひとりが愛おしくてたまらなくなる。それまではなんとも思っていなかった男の子と目があったとたんに、頭の中がふわふわしてくる。
大人への入口にさしかかった女の子の自分でも説明がつかないような感情を丁寧にやさしく描いていて、そんな時代は半世紀以上前にすんでしまった読者にも甘酸っぱい記憶をよみがえらせてくれます。
マーサほど感受性は強くなかったし、素直でもなかったのが残念だけど、でも、こういう時期は与えられていたんだなあとじんわりしました。もっと大切に生きればよかったという後悔もちょっぴり。そういう意味から言えば、いま12歳の女の子はこれを読んでいまの自分をもっと好きになってほしいなと思う。
表面的には思春期の女の子のきらきら輝く日々を描いてはいるけれど、それを引き立たせるかのように、マーサの祖母ゴッビイの老いと近づきつつある死や、12歳の若さで死んだ同級生オリーブの果されなかった夢を影のように配しているのも巧いと思う。ケヴィン・ヘンクスは絵本しか読んだことがなかったんですが、作家としても一流なんですね。ほかの作品も読んでみよう。
オリーブの海
原題:Olive's Ocean
作者:ケヴィン・ヘンクス
訳者:代田亜香子
出版社:白水社
ISBN:4560027285
by timeturner
| 2017-06-16 19:00
| 和書
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