2017年 04月 30日
小暮写眞館(上・下) |
家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれた。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の口と態度の悪い女事務員に見せると「幽霊(そのひと)」は泣いていると・・・。
おひょー。今度は心霊写真ですよー。と言っても、ドイルが信じてしまった妖精写真みたいなインチキではなく。恨みを持った幽霊が写ってるというのでもなく、生きている人間の強い気持ちが像となって現れる念写。まあ、それだって本当にあるのかと訊かれたら「う~ん」と言うしかないんだけど。でも、こんなふうだったらいいな、面白いなと作者が楽しんで書いていることが伝わってきて、小説読みとしてはなんの文句もない。
年の離れた出来のいい弟ピカ、頭がよすぎてぶっとんでる親友テンコ、 色黒のスポーツ女子コゲパン、赤ん坊みたいな笑顔を見せる不動産屋と、口も態度も悪い女事務員など、主人公・英一を囲む人々のキャラもカラフルで楽しい。
超常現象や謎解きの興味だけで引っ張っていくのではなく、親子関係、イジメ、大企業による搾取、心の病など、現代社会につきものの問題を鋭い視点で見据えて話にからませているので、とてもリアルで地に足のついたものを読んでいるという気になる。
この手のYA小説はたいていロマンスを全面に出し過ぎて、おばさんはげんなりしてしまうことが多いんだけど、そのあたりも程よく控えめでいい感じ。若者はリビドーだけで生きてるわけじゃないんだもんね。
クモテツ(三雲高校鉄道研究会)部員の作った《お勧めの鉄道スポット》ファイルがすごく魅力的で、番外編として講談社で出してくれないものかと本気で思った。
それにしても、この終わらせ方の絶妙さはどうよ。改めてカバー絵をしみじみと見入ってしまった。宮部みゆきって、ほんと、天才だ。
小暮写眞館(上) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:4062776731
小暮写眞館(下) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:406277674X
おひょー。今度は心霊写真ですよー。と言っても、ドイルが信じてしまった妖精写真みたいなインチキではなく。恨みを持った幽霊が写ってるというのでもなく、生きている人間の強い気持ちが像となって現れる念写。まあ、それだって本当にあるのかと訊かれたら「う~ん」と言うしかないんだけど。でも、こんなふうだったらいいな、面白いなと作者が楽しんで書いていることが伝わってきて、小説読みとしてはなんの文句もない。
年の離れた出来のいい弟ピカ、頭がよすぎてぶっとんでる親友テンコ、 色黒のスポーツ女子コゲパン、赤ん坊みたいな笑顔を見せる不動産屋と、口も態度も悪い女事務員など、主人公・英一を囲む人々のキャラもカラフルで楽しい。
超常現象や謎解きの興味だけで引っ張っていくのではなく、親子関係、イジメ、大企業による搾取、心の病など、現代社会につきものの問題を鋭い視点で見据えて話にからませているので、とてもリアルで地に足のついたものを読んでいるという気になる。
この手のYA小説はたいていロマンスを全面に出し過ぎて、おばさんはげんなりしてしまうことが多いんだけど、そのあたりも程よく控えめでいい感じ。若者はリビドーだけで生きてるわけじゃないんだもんね。
クモテツ(三雲高校鉄道研究会)部員の作った《お勧めの鉄道スポット》ファイルがすごく魅力的で、番外編として講談社で出してくれないものかと本気で思った。
それにしても、この終わらせ方の絶妙さはどうよ。改めてカバー絵をしみじみと見入ってしまった。宮部みゆきって、ほんと、天才だ。
小暮写眞館(上) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:4062776731
小暮写眞館(下) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:406277674X
by timeturner
| 2017-04-30 19:00
| 和書
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