2017年 01月 12日
プリティが多すぎる |
老舗の大手出版社にめでたく入社した佳孝は、週刊千石で二年間を使い走りとして働き、次は文芸担当にと思っていた。だが、異動で配属されたのは自社に存在することすら知らなかった女子中学生向けファッション誌「ピピン」編集部。編集長以外は全員女性という職場で、癖者揃いの先輩に囲まれた佳孝は果たして生き延びられるのか・・・。
『クローバー・レイン』に続き、出版界を舞台にした長編小説です。大崎さん自身は書店で働いた経験はあるものの、出版社勤務の経験はないはず。ということはこの前の作品もこれも、すべて取材によって書かれたわけですよね。すごい取材力!
昔、二、三年フリーランスでやっていたことがあって、若い女性向け雑誌の編集部に出入りしてました。撮影現場のノリは確かにここに書かれている通りでした。私は大袈裟に褒めたり喜んだりするのが苦手(恥ずかしい)な人間なので、そういう場に居合わせると物凄く無理をしなくてはならず、つらかったことを思い出しました。だから、佳孝の気持ちがよ~くわかる。
だけど、この本の中にも書かれているように、そういう世界が軽薄なのかというと、そんなことはないんですよね。「読者」といういちばん大切な目標に向かって、全員が一生懸命働いている。小学生や中学生の読者モデルであっても同じで、大人だから子供だからという違いはない。もちろん男も女もない。むしろ、そういう中でシラケている人間のほうが情けないやつなんだよなあ、と過去の自分を反省しながら読みました。
読者モデルの子たちをあまりにも美化しすぎている面もありますが、でも、こういう小説でダメな子たちの悪口を言っててもしょうがないものね。言いたいことはそこじゃない。
『クローバー・レイン』のときに、千石社は新潮社がモデルかなあと思いましたが、そうだとすると「ピピン」は「ニコラ」ですね。今度、どんな中身なのか見てみようっと。(私も佳孝同様、この本を読むまでこの世に女子中学生向けの雑誌があるなんて知りませんでした)
プリティが多すぎる (文春文庫 お 58-2)
作者:大崎 梢
出版社:文藝春秋
ISBN:4167902036
『クローバー・レイン』に続き、出版界を舞台にした長編小説です。大崎さん自身は書店で働いた経験はあるものの、出版社勤務の経験はないはず。ということはこの前の作品もこれも、すべて取材によって書かれたわけですよね。すごい取材力!
昔、二、三年フリーランスでやっていたことがあって、若い女性向け雑誌の編集部に出入りしてました。撮影現場のノリは確かにここに書かれている通りでした。私は大袈裟に褒めたり喜んだりするのが苦手(恥ずかしい)な人間なので、そういう場に居合わせると物凄く無理をしなくてはならず、つらかったことを思い出しました。だから、佳孝の気持ちがよ~くわかる。
だけど、この本の中にも書かれているように、そういう世界が軽薄なのかというと、そんなことはないんですよね。「読者」といういちばん大切な目標に向かって、全員が一生懸命働いている。小学生や中学生の読者モデルであっても同じで、大人だから子供だからという違いはない。もちろん男も女もない。むしろ、そういう中でシラケている人間のほうが情けないやつなんだよなあ、と過去の自分を反省しながら読みました。
読者モデルの子たちをあまりにも美化しすぎている面もありますが、でも、こういう小説でダメな子たちの悪口を言っててもしょうがないものね。言いたいことはそこじゃない。
『クローバー・レイン』のときに、千石社は新潮社がモデルかなあと思いましたが、そうだとすると「ピピン」は「ニコラ」ですね。今度、どんな中身なのか見てみようっと。(私も佳孝同様、この本を読むまでこの世に女子中学生向けの雑誌があるなんて知りませんでした)
プリティが多すぎる (文春文庫 お 58-2)
作者:大崎 梢
出版社:文藝春秋
ISBN:4167902036
by timeturner
| 2017-01-12 19:00
| 和書
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