2016年 12月 31日
閻魔裁き(一) 寺社奉行 脇坂閻魔見参! |
寛政三年、播州竜野藩主の脇坂淡路守安董は、数えで二十四歳という若さで幕府の要職である寺社奉行に抜擢された。寺社奉行の権限は広く、しかも坊主や神職という海千山千の連中を相手にしなければならない。家臣の鶴田風二郎とベテラン支配留役の亀山雷蔵を従え、若き閻魔が行く・・・。
風野真知雄さんの新シリーズで、今年の5月刊行ですが、もうすでに2巻も出ているようです。こういうのは最初に全部書いてしまって、そのあと読者の反響を見ながら少しずつ手を入れて出していくのかな?
根岸肥前守が活躍する《耳袋秘帖》シリーズと近い時期が背景になっているので、目付役や各奉行が集まる評定には当時勘定奉行の根岸もちらっと顔を見せ、自分の若い頃を見るような脇坂を慈父のような目で見ています。
腹心の部下がタイプの異なる二人というところも《耳袋秘帖》シリーズを踏襲。こういうところは時代劇ならではですね。同じ作家が同じようなパターンで書いても「またか」とは思わず、かえってうれしくなるのは不思議です。これが純文学作品だったら「この作家、もう創造力が枯れたのかな」と思われるところです。
それにこれまで読んできたものは町奉行の視点から描いたものがほとんどだったので、寺社奉行は縄張り意識が強く、融通のきかないいやな奴らという印象でしたが、今度はその寺社奉行側の話が読めるというのも楽しみ。
根岸肥前守も強くて頼りになる人でしたが、なにぶん老人なのであまり無茶はできない。その点脇坂はめちゃくちゃ元気なので、どんな無茶もできます。部下だけを歩かせるのでなく、自分も一緒になって江戸じゅうを駆け回り、捕物の際も先頭きってとびこんでいく。まあ、家臣から見れば心配でしょうがないでしょうが、読んでるほうが面白い。
この巻ではまだ少ししか出番がありませんが、松平定信がさしむけた美人くノ一も登場するようで、これまた楽しみです。脇坂の妻ゑい姫も17歳の若さとは思えない落ち着きと知恵をもっていて、これまた今後が楽しみなキャラです。
管轄が寺や神社なので、エピソードはオカルトちっくなものが多く、そういう点では《耳袋秘帖》の怪談シリーズに近い味わいかも。
閻魔裁き(一) 寺社奉行 脇坂閻魔見参! (ハルキ文庫 か 14-1 時代小説文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川春樹事務所
ISBN:4758439990
風野真知雄さんの新シリーズで、今年の5月刊行ですが、もうすでに2巻も出ているようです。こういうのは最初に全部書いてしまって、そのあと読者の反響を見ながら少しずつ手を入れて出していくのかな?
根岸肥前守が活躍する《耳袋秘帖》シリーズと近い時期が背景になっているので、目付役や各奉行が集まる評定には当時勘定奉行の根岸もちらっと顔を見せ、自分の若い頃を見るような脇坂を慈父のような目で見ています。
腹心の部下がタイプの異なる二人というところも《耳袋秘帖》シリーズを踏襲。こういうところは時代劇ならではですね。同じ作家が同じようなパターンで書いても「またか」とは思わず、かえってうれしくなるのは不思議です。これが純文学作品だったら「この作家、もう創造力が枯れたのかな」と思われるところです。
それにこれまで読んできたものは町奉行の視点から描いたものがほとんどだったので、寺社奉行は縄張り意識が強く、融通のきかないいやな奴らという印象でしたが、今度はその寺社奉行側の話が読めるというのも楽しみ。
根岸肥前守も強くて頼りになる人でしたが、なにぶん老人なのであまり無茶はできない。その点脇坂はめちゃくちゃ元気なので、どんな無茶もできます。部下だけを歩かせるのでなく、自分も一緒になって江戸じゅうを駆け回り、捕物の際も先頭きってとびこんでいく。まあ、家臣から見れば心配でしょうがないでしょうが、読んでるほうが面白い。
この巻ではまだ少ししか出番がありませんが、松平定信がさしむけた美人くノ一も登場するようで、これまた楽しみです。脇坂の妻ゑい姫も17歳の若さとは思えない落ち着きと知恵をもっていて、これまた今後が楽しみなキャラです。
管轄が寺や神社なので、エピソードはオカルトちっくなものが多く、そういう点では《耳袋秘帖》の怪談シリーズに近い味わいかも。
閻魔裁き(一) 寺社奉行 脇坂閻魔見参! (ハルキ文庫 か 14-1 時代小説文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川春樹事務所
ISBN:4758439990
by timeturner
| 2016-12-31 19:00
| 和書
|
Comments(0)