2016年 12月 24日
クリスマスに捧げるミステリー |
クリスマス・ストーリーを愛したディケンズにならい、キリスト降誕の日に他者への善意、慈善の心の大切さを見つめなおそうというクリスマス精神をミステリーと合体させた8編を収録。
ミステリーのアンソロジーのはずなんだけど、あちらではクリスマスというとどうしても幽霊や精霊を思い出すのか、ミステリーというよりファンタジーやゴースト・ストーリーに近いものもありました。で、読んでてやっぱりそっちのほうがクリスマスらしくて楽しめるんですよね。
「聖夜に死す」はファンタジー+トイ・ストーリーみたいな話で、シャーロック・ホームズとアイリーン・アドラーが出てきちゃったりするとんでも設定だけど楽しいです。「シヴァーズ嬢の招待状」は人情話風のゴースト・ストーリーで後味がいい。
聖夜の警官/トマス・L・アドコック(酒匂真理子訳)
小列車強盗/パトリシア・モイーズ(宮脇孝雄訳)
刑事の休日/ジョン・ディクスン・カー(深町眞理子訳)
ミス・クリンドルとサンタ/マルカム・グレイ(酒匂真理子訳)
ランポールとクリスマスの精神/ジョン・モーティマー(宮脇孝雄訳)
聖夜に死す/ジェイムズ・パウエル(木戸淳子訳)
シヴァーズ嬢の招待状/ピーター・ラヴゼイ(深町眞理子訳)
メグレ警視のクリスマス/ジョルジュ・シムノン(長島良三訳)
「小列車強盗」は、おそらくあの古典名作映画「大列車強盗」からタイトルをいただいたのでしょうが、中身はあんなスケールの大きなものではなく、まさに「小」列車強盗。空の上から俯瞰するかのような大きな視点から少しずつロンドンの小市民の世界に入っていくあたりの展開が上手です。小憎らしい悪ガキたちが事件のカギになるところもクリスマスらしくて(そうか?)楽しい。
「ミス・クリンドルとサンタ」は小さな村を舞台に老嬢ミス・クリンドルが活躍する話で、やっぱりクリスマスのミステリーにはこういうのがいちばんしっくりくる。ミス・クリンドルってこの話だけではなく、これまでにも活躍してきたみたいな書き方をされているんですが、ミス・マープルみたいな有名人なのかしら。翻訳は出ていないみたいですね。
「ランポールとクリスマスの精神」はこの本より先日読んだ『ワイン通の復讐』に収録したほうがよかったんじゃないかと思える内容。
いちばん長い「メグレ警視のクリスマス」がいちばんミステリーっぽかったかな。メグレ警視物はあまり読んだ記憶がないのですが、ふだんはこんなに安楽椅子探偵っぽい捜査ではないのでしょうか。子供のいない老夫婦の切なさもこめられていていい話でした。ルーマー・ゴッデンの『クリスマスの女の子』(『クリスマス人形のねがい』というタイトルで絵本にもなっている)を思い出した。ただ、古い訳なのか会話がすごく不自然で読みにくかったです。
クリスマスに捧げるミステリー (光文社文庫)
原題:8 Chrisutmas Stories
編者:各務三郎
出版社:光文社
ISBN:4334760848
ミステリーのアンソロジーのはずなんだけど、あちらではクリスマスというとどうしても幽霊や精霊を思い出すのか、ミステリーというよりファンタジーやゴースト・ストーリーに近いものもありました。で、読んでてやっぱりそっちのほうがクリスマスらしくて楽しめるんですよね。
「聖夜に死す」はファンタジー+トイ・ストーリーみたいな話で、シャーロック・ホームズとアイリーン・アドラーが出てきちゃったりするとんでも設定だけど楽しいです。「シヴァーズ嬢の招待状」は人情話風のゴースト・ストーリーで後味がいい。
聖夜の警官/トマス・L・アドコック(酒匂真理子訳)
小列車強盗/パトリシア・モイーズ(宮脇孝雄訳)
刑事の休日/ジョン・ディクスン・カー(深町眞理子訳)
ミス・クリンドルとサンタ/マルカム・グレイ(酒匂真理子訳)
ランポールとクリスマスの精神/ジョン・モーティマー(宮脇孝雄訳)
聖夜に死す/ジェイムズ・パウエル(木戸淳子訳)
シヴァーズ嬢の招待状/ピーター・ラヴゼイ(深町眞理子訳)
メグレ警視のクリスマス/ジョルジュ・シムノン(長島良三訳)
「小列車強盗」は、おそらくあの古典名作映画「大列車強盗」からタイトルをいただいたのでしょうが、中身はあんなスケールの大きなものではなく、まさに「小」列車強盗。空の上から俯瞰するかのような大きな視点から少しずつロンドンの小市民の世界に入っていくあたりの展開が上手です。小憎らしい悪ガキたちが事件のカギになるところもクリスマスらしくて(そうか?)楽しい。
「ミス・クリンドルとサンタ」は小さな村を舞台に老嬢ミス・クリンドルが活躍する話で、やっぱりクリスマスのミステリーにはこういうのがいちばんしっくりくる。ミス・クリンドルってこの話だけではなく、これまでにも活躍してきたみたいな書き方をされているんですが、ミス・マープルみたいな有名人なのかしら。翻訳は出ていないみたいですね。
「ランポールとクリスマスの精神」はこの本より先日読んだ『ワイン通の復讐』に収録したほうがよかったんじゃないかと思える内容。
いちばん長い「メグレ警視のクリスマス」がいちばんミステリーっぽかったかな。メグレ警視物はあまり読んだ記憶がないのですが、ふだんはこんなに安楽椅子探偵っぽい捜査ではないのでしょうか。子供のいない老夫婦の切なさもこめられていていい話でした。ルーマー・ゴッデンの『クリスマスの女の子』(『クリスマス人形のねがい』というタイトルで絵本にもなっている)を思い出した。ただ、古い訳なのか会話がすごく不自然で読みにくかったです。
クリスマスに捧げるミステリー (光文社文庫)
原題:8 Chrisutmas Stories
編者:各務三郎
出版社:光文社
ISBN:4334760848
by timeturner
| 2016-12-24 19:00
| 和書
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