2016年 11月 29日
彼女のためにぼくができること |
デブで弱虫のエリックと酷い火傷の跡がある強気なサラ・バーンズは、かばい合い支え合う親友同士だった。高校生になって水泳部に入ったエリックにはサラ以外の友人ができ、世界も広がったが、彼女との友情のために痩せない決心をする。だが、それだけではすまない事情がいろいろと起こってきて・・・。
ひゃあ、びっくり、こんなにヘヴィーな内容とは思ってもいなかった。コンプレックスをもつ者同士のユーモラスでほのぼのした話だろうと勝手に予想して読み始めたので茫然としてしまいました。
現代アメリカの青少年をとり巻く、考えられる限りの問題が提起され、読者に考えることを要求してきます。中絶、信仰、差別、家庭内暴力、離婚……。
エリックもサラも頭がよく理解力もありますが、なんといっても経験の浅いティーンエイジャーです。それなのに、子供には解決不能の問題がつぎつぎに襲いかかってくるので、うわあ、もういい加減に勘弁してあげてよ、と作者にすがりつきたくなることも。
そんな混沌の中でも(白鯨のような巨体で波を立てながらプールを泳ぐように)がむしゃらに前に進もうとするエリックの姿にじんときます。単なる「いい子」じゃないし、ましてや「強い子」でもない。優等生のチームメイトに親友のエルビーと組んで意地悪をしたりするし、副校長やサラの父親に脅されると死ぬほど震え上がってしまう。それでも親友のために立ち上がる。そこがいいんですよね。
生徒たちを真摯に指導するレムリー先生や、女性の聖職者を支持したり、同性愛者の権利を主張するエルビーの父親である牧師、雑誌記者として働きながらエリックを育てたシングルマザーの母親など、かっこいい大人もたくさん出てきます。
母親の恋人の意表をついた行動で突破口が開けたあたりはちょっと無理があるなあと思うけど、まあ、どうしようもなかったのかもしれませんね。ただ、彼を正当化しようとする論調にはアメリカらしい独善の臭いがしてましたけど。
彼女のためにぼくができること (YA Step!)
原題:Staying Fat for Sarah Byrnes
作者:クリス・クラッチャー
訳者:西田 登
出版社:あかね書房
ISBN:425106674X
ひゃあ、びっくり、こんなにヘヴィーな内容とは思ってもいなかった。コンプレックスをもつ者同士のユーモラスでほのぼのした話だろうと勝手に予想して読み始めたので茫然としてしまいました。
現代アメリカの青少年をとり巻く、考えられる限りの問題が提起され、読者に考えることを要求してきます。中絶、信仰、差別、家庭内暴力、離婚……。
エリックもサラも頭がよく理解力もありますが、なんといっても経験の浅いティーンエイジャーです。それなのに、子供には解決不能の問題がつぎつぎに襲いかかってくるので、うわあ、もういい加減に勘弁してあげてよ、と作者にすがりつきたくなることも。
そんな混沌の中でも(白鯨のような巨体で波を立てながらプールを泳ぐように)がむしゃらに前に進もうとするエリックの姿にじんときます。単なる「いい子」じゃないし、ましてや「強い子」でもない。優等生のチームメイトに親友のエルビーと組んで意地悪をしたりするし、副校長やサラの父親に脅されると死ぬほど震え上がってしまう。それでも親友のために立ち上がる。そこがいいんですよね。
生徒たちを真摯に指導するレムリー先生や、女性の聖職者を支持したり、同性愛者の権利を主張するエルビーの父親である牧師、雑誌記者として働きながらエリックを育てたシングルマザーの母親など、かっこいい大人もたくさん出てきます。
母親の恋人の意表をついた行動で突破口が開けたあたりはちょっと無理があるなあと思うけど、まあ、どうしようもなかったのかもしれませんね。ただ、彼を正当化しようとする論調にはアメリカらしい独善の臭いがしてましたけど。
彼女のためにぼくができること (YA Step!)
原題:Staying Fat for Sarah Byrnes
作者:クリス・クラッチャー
訳者:西田 登
出版社:あかね書房
ISBN:425106674X
by timeturner
| 2016-11-29 19:00
| 和書
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