2016年 09月 06日
《妻はくノ一》シリーズ 1~10 |
最初に風野真知雄の名前を教えられたとき、このシリーズを勧められたのですが、近所の図書館に蔵書がなかったこともあり、別のシリーズから手をつけてしまっていました。が、このたび、大人買いした友人のおかげで続けて読むことができました。
妻は、くノ一
平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった。そうとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。「妻は、くノ一」シリーズ第1弾。
まずは主な登場人物の紹介ということで、それほど大きな事件は起こりませんが、それでも約250頁という薄さにも関わらず謎解きの要素もあり、ちょっと笑わせる部分もあり(ここ大事)、最後のほうではかなりスケールの大きな話になりそうな予感もあって、これからが楽しみです。
前半は平戸が舞台なので土地勘が働きませんでしたが、後半からは江戸に移ったので、ふむふむ、あのあたりか、なんて思いながら楽しんで読めました。何よりも私好みだったのは、くの一という職業(?)のせいもあり、織江が耐えてしのぶ女では全くないところ。強いし。いかにもドラマ向きだよねえ、と思って調べたら、NHKでドラマ化されていました。織江役は瀧本美織が演じたそうです。と言われても顔が浮かびませんが。
妻は、くノ一 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931018
星影の女
友人の千右衛門に連れられ、元平戸藩主、松浦静山に会った雙星彦馬は静山の大胆不適な発言に仰天。神田妻恋坂の裏長屋に居を定め、寺子屋で子供たちを教える合間に織江を探す彦馬だったが、一方の織江は上司の命で静山の屋敷に潜入する準備をしていた・・・。《妻はくノ一》シリーズ第2弾。
うわあ、いきなりガツンと来たね。ここまで思い切ったことをするなんて、かっこいい(結果を見ると、そう思うことが少し後ろめたいけど)。彦馬と織江のすれ違いばかりではなく、いろいろな事件を投入して読者に頭を使わせているところもさすが。
なによりも魅力なのは、敵・味方、善・悪、正・邪という分け方で登場人物たちを簡単に色分けしていないところだな。どっちにころぶかわからない不安定さが面白さにつながっている。
ところで、中身とはまるで関係ないのですが、登場する小悪党の中に三味線の巧い男がいて、若い娘がきゃあきゃあ言ってもてたという話が出てくるのですが、その男の弾きっぷりというのが「のけぞって三味線を弾いたりする。これがある種の若い娘には、なんとも格好のいいものに映るらしい」と書かれています。これって、ひょっとして今時のロック・ギタリストをおちょくってる?
星影の女 妻は、くノ一 2 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931026
身も心も
松浦静山に気に入られ、たびたび呼び出されるようになった雙星彦馬。相変わらず暇をみつけては妻の織江を探す日々だったが、まさかその織江が静山の屋敷に住みこんでいるとは知るよりもなかった。一方、織江の上司の川村の心に次第に疑いが頭をもたげてくる・・・。《妻はくノ一》シリーズ第3弾。
まだ3話目だからこれからさらに発展していくのだとは思うけど、あいつの正体もいまいちわからないし、こいつの動向も不気味だしで、読むほうとしては気が抜けない。のんき一辺倒の彦馬に対して気苦労ばかりの織江が気の毒。
身も心も 妻は、くノ一 3 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931034
風の囁き
ついに静山の密貿易と野心の証拠をつかんだ織江だったが、それを桜田門に持ち帰れば静山ばかりか彦馬にも破滅が訪れてしまう。一方で織江の上司・川村や江戸城の中奥番をつとめる冷酷非情な鳥居耀蔵は、それぞれに静山の動向を探っていた・・・。《妻はくノ一》シリーズ第4弾。
うひょお、どうしちゃったんだろう。ハラハラ度が増すのに比例するかのようにお笑い度がアップしてる。何度も声を出して笑ってしまったではないか。似た者母娘の微妙な葛藤にじんわり。
風の囁き 妻は、くノ一 4 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931042
月光値千両
静山の屋敷から失踪した織江は、母の勧めもあって、抜け忍になることを決意した。だがそのためには、どこまでも追ってくるはずの川村を始末しなくてはならない。雅江と織江は《化け物屋敷》に川村をおびきよせたが・・・。《妻はくノ一》シリーズ第5弾。
いやもう、怒涛の展開でした。やっぱりくノ一はかっこいいなあ。アクションばりばりの回ですよ。おまけに剣術はさっぱりの彦馬まで柔術を習ってそれなりに立ち回りもできるようになったから、動きのある場面がかなり出てきました。
このシリーズではヒーローとヒロインである彦馬と織江がずっと別行動で、どちらかの話に移るたびに場面転換するわけですが、彦馬の側にくると謎解きはあるものの、のんびり弛緩したお笑い含みの雰囲気になり、織江の側にくると切羽詰まった息を殺して読むような雰囲気になるのが実に巧いなあと思います。おかげで長く続くシリーズ物でもだれることなく読み続けられる。それにしても、織江の出生の秘密には驚きました。なるほど、そう来たか。
【誤植メモ】 p.25 7行目 二つぶ下げ⇒二つぶら下げ
月光値千両 妻は、くノ一 5 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931050
宵闇迫れば
川村の罠を逃れた織江は根岸の里に潜んでいたが、母を亡くしたショックから酒に溺れていた。そんな織江を捕らえるために凄腕の下忍が地方から呼び戻され・・・。《妻はくノ一》シリーズ第6弾。
えーっ、えーっ、えーっ!? まさかそういうことだったとは! でもまあ、考えてみればそうだよなあ。私も彦馬と同じくらい鈍いのかも。途中までは不気味さが勝っていた鳥居耀蔵、なんだかどんどんお笑い担当のサイコパスみたいになってきてるんですけど。
宵闇迫れば 妻は、くノ一 6 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931069
美姫の夢
逃亡中の織江を狙う刺客がまた現れた。今度は怪しげな呪術の使い手だ。そのうえ静山の娘である静湖姫がどうやら彦馬に惹かれているようす。一方、彦馬はそんなことも知らず、相変わらず原田の捜査を手伝ったり、静山にけしかけられて奇談の謎を解いたりしていた・・・。《妻はくノ一》シリーズ第7弾。
タイトルの美姫ってこういうことだったのか。なんかややこしくなりそうだなあ。今回は小粒の謎が多くて、全体としてはあまり動いていないような気がした。呪術はちょっと怖かったけど。《ぷるぷる》の技、面白すぎる。
美姫の夢 妻は、くノ一 7 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931077
胸の振子
神田明神近くの大通りの外れにいつのまにかできた庶民的な飲み屋「浜路」。気のおけない女将の魅力につられて、原田、西海屋、彦馬はもちろん鳥居耀蔵までが常連となってしまった。だが、織江はこの店の怖ろしい招待に気がつき・・・。《妻はくノ一》シリーズ第8弾。
静山の芝居っ気がどんどんエスカレートしているようで、大丈夫か、このおじさん?と思ってしまうことが何度かあった。面白いけどね。今回はミケ猫にゃん太の活躍に注目。
胸の振子 妻は、くノ一 8 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931085
国境の南
自分がいれば彦馬にまで危害が及ぶと危惧した織江は、彦馬を忘れるための心術を自分にかけ始めた。一方、彦馬は静山からいよいよ国外に船で出よとの指令が・・・。《妻はくノ一》シリーズ第9弾。
大詰めに向かっていろいろ収束させなくてはならないことが多いので、作者が気もそぞろになったのか、大筋の周囲を肉付けしているいつもの小さな謎は、いずれも少し気の抜けた感じだったな。
あと一冊で終わるかと思うと、わくわくすると共に寂しさもひしひしと。川村も鳥居も最初のほうは悪いなりにクールな雰囲気もあったのに、いまやなりふり構わなくなってみっともないったらない。しつこい男は最悪だよね。それにしても雁二郎なあ……。
国境の南 妻は、くノ一 9 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931093
濤の彼方
江戸を発った彦馬は静山とともに幽霊船で長崎へと向かった。おそらく織江が現れるはずと御庭番の頭領・川村も、将軍付きの四天王も後を追う。そして、海の向こうの国をめざして出航直前の長崎で、最後の戦いが始まる・・・。《妻はくノ一》シリーズ完結編。
おお、こう来るか、こんなものを用意していたか、ここまでやってくれるかと作者を拝みたくなる感動の最終回でした。しかし、四天王は貧乏くじ引いたよなあ。鳥居耀蔵は実在の人物だから、あれ以上いじるわけにはいかなかったんでしょうね。あの人、78まで生きたんだ。「憎まれっ子世にはばかる」ってほんとだなあ。
最後の横浜の章は大サービスで、小説としてはないほうが引き締まったと思うけど、シリーズのファンとしては満足です。
濤の彼方 妻は、くノ一 10 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931131
妻は、くノ一
平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった。そうとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。「妻は、くノ一」シリーズ第1弾。
まずは主な登場人物の紹介ということで、それほど大きな事件は起こりませんが、それでも約250頁という薄さにも関わらず謎解きの要素もあり、ちょっと笑わせる部分もあり(ここ大事)、最後のほうではかなりスケールの大きな話になりそうな予感もあって、これからが楽しみです。
前半は平戸が舞台なので土地勘が働きませんでしたが、後半からは江戸に移ったので、ふむふむ、あのあたりか、なんて思いながら楽しんで読めました。何よりも私好みだったのは、くの一という職業(?)のせいもあり、織江が耐えてしのぶ女では全くないところ。強いし。いかにもドラマ向きだよねえ、と思って調べたら、NHKでドラマ化されていました。織江役は瀧本美織が演じたそうです。と言われても顔が浮かびませんが。
妻は、くノ一 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931018
星影の女
友人の千右衛門に連れられ、元平戸藩主、松浦静山に会った雙星彦馬は静山の大胆不適な発言に仰天。神田妻恋坂の裏長屋に居を定め、寺子屋で子供たちを教える合間に織江を探す彦馬だったが、一方の織江は上司の命で静山の屋敷に潜入する準備をしていた・・・。《妻はくノ一》シリーズ第2弾。
うわあ、いきなりガツンと来たね。ここまで思い切ったことをするなんて、かっこいい(結果を見ると、そう思うことが少し後ろめたいけど)。彦馬と織江のすれ違いばかりではなく、いろいろな事件を投入して読者に頭を使わせているところもさすが。
なによりも魅力なのは、敵・味方、善・悪、正・邪という分け方で登場人物たちを簡単に色分けしていないところだな。どっちにころぶかわからない不安定さが面白さにつながっている。
ところで、中身とはまるで関係ないのですが、登場する小悪党の中に三味線の巧い男がいて、若い娘がきゃあきゃあ言ってもてたという話が出てくるのですが、その男の弾きっぷりというのが「のけぞって三味線を弾いたりする。これがある種の若い娘には、なんとも格好のいいものに映るらしい」と書かれています。これって、ひょっとして今時のロック・ギタリストをおちょくってる?
星影の女 妻は、くノ一 2 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931026
身も心も
松浦静山に気に入られ、たびたび呼び出されるようになった雙星彦馬。相変わらず暇をみつけては妻の織江を探す日々だったが、まさかその織江が静山の屋敷に住みこんでいるとは知るよりもなかった。一方、織江の上司の川村の心に次第に疑いが頭をもたげてくる・・・。《妻はくノ一》シリーズ第3弾。
まだ3話目だからこれからさらに発展していくのだとは思うけど、あいつの正体もいまいちわからないし、こいつの動向も不気味だしで、読むほうとしては気が抜けない。のんき一辺倒の彦馬に対して気苦労ばかりの織江が気の毒。
身も心も 妻は、くノ一 3 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931034
風の囁き
ついに静山の密貿易と野心の証拠をつかんだ織江だったが、それを桜田門に持ち帰れば静山ばかりか彦馬にも破滅が訪れてしまう。一方で織江の上司・川村や江戸城の中奥番をつとめる冷酷非情な鳥居耀蔵は、それぞれに静山の動向を探っていた・・・。《妻はくノ一》シリーズ第4弾。
うひょお、どうしちゃったんだろう。ハラハラ度が増すのに比例するかのようにお笑い度がアップしてる。何度も声を出して笑ってしまったではないか。似た者母娘の微妙な葛藤にじんわり。
風の囁き 妻は、くノ一 4 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931042
月光値千両
静山の屋敷から失踪した織江は、母の勧めもあって、抜け忍になることを決意した。だがそのためには、どこまでも追ってくるはずの川村を始末しなくてはならない。雅江と織江は《化け物屋敷》に川村をおびきよせたが・・・。《妻はくノ一》シリーズ第5弾。
いやもう、怒涛の展開でした。やっぱりくノ一はかっこいいなあ。アクションばりばりの回ですよ。おまけに剣術はさっぱりの彦馬まで柔術を習ってそれなりに立ち回りもできるようになったから、動きのある場面がかなり出てきました。
このシリーズではヒーローとヒロインである彦馬と織江がずっと別行動で、どちらかの話に移るたびに場面転換するわけですが、彦馬の側にくると謎解きはあるものの、のんびり弛緩したお笑い含みの雰囲気になり、織江の側にくると切羽詰まった息を殺して読むような雰囲気になるのが実に巧いなあと思います。おかげで長く続くシリーズ物でもだれることなく読み続けられる。それにしても、織江の出生の秘密には驚きました。なるほど、そう来たか。
【誤植メモ】 p.25 7行目 二つぶ下げ⇒二つぶら下げ
月光値千両 妻は、くノ一 5 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931050
宵闇迫れば
川村の罠を逃れた織江は根岸の里に潜んでいたが、母を亡くしたショックから酒に溺れていた。そんな織江を捕らえるために凄腕の下忍が地方から呼び戻され・・・。《妻はくノ一》シリーズ第6弾。
えーっ、えーっ、えーっ!? まさかそういうことだったとは! でもまあ、考えてみればそうだよなあ。私も彦馬と同じくらい鈍いのかも。途中までは不気味さが勝っていた鳥居耀蔵、なんだかどんどんお笑い担当のサイコパスみたいになってきてるんですけど。
宵闇迫れば 妻は、くノ一 6 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931069
美姫の夢
逃亡中の織江を狙う刺客がまた現れた。今度は怪しげな呪術の使い手だ。そのうえ静山の娘である静湖姫がどうやら彦馬に惹かれているようす。一方、彦馬はそんなことも知らず、相変わらず原田の捜査を手伝ったり、静山にけしかけられて奇談の謎を解いたりしていた・・・。《妻はくノ一》シリーズ第7弾。
タイトルの美姫ってこういうことだったのか。なんかややこしくなりそうだなあ。今回は小粒の謎が多くて、全体としてはあまり動いていないような気がした。呪術はちょっと怖かったけど。《ぷるぷる》の技、面白すぎる。
美姫の夢 妻は、くノ一 7 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931077
胸の振子
神田明神近くの大通りの外れにいつのまにかできた庶民的な飲み屋「浜路」。気のおけない女将の魅力につられて、原田、西海屋、彦馬はもちろん鳥居耀蔵までが常連となってしまった。だが、織江はこの店の怖ろしい招待に気がつき・・・。《妻はくノ一》シリーズ第8弾。
静山の芝居っ気がどんどんエスカレートしているようで、大丈夫か、このおじさん?と思ってしまうことが何度かあった。面白いけどね。今回はミケ猫にゃん太の活躍に注目。
胸の振子 妻は、くノ一 8 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931085
国境の南
自分がいれば彦馬にまで危害が及ぶと危惧した織江は、彦馬を忘れるための心術を自分にかけ始めた。一方、彦馬は静山からいよいよ国外に船で出よとの指令が・・・。《妻はくノ一》シリーズ第9弾。
大詰めに向かっていろいろ収束させなくてはならないことが多いので、作者が気もそぞろになったのか、大筋の周囲を肉付けしているいつもの小さな謎は、いずれも少し気の抜けた感じだったな。
あと一冊で終わるかと思うと、わくわくすると共に寂しさもひしひしと。川村も鳥居も最初のほうは悪いなりにクールな雰囲気もあったのに、いまやなりふり構わなくなってみっともないったらない。しつこい男は最悪だよね。それにしても雁二郎なあ……。
国境の南 妻は、くノ一 9 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931093
濤の彼方
江戸を発った彦馬は静山とともに幽霊船で長崎へと向かった。おそらく織江が現れるはずと御庭番の頭領・川村も、将軍付きの四天王も後を追う。そして、海の向こうの国をめざして出航直前の長崎で、最後の戦いが始まる・・・。《妻はくノ一》シリーズ完結編。
おお、こう来るか、こんなものを用意していたか、ここまでやってくれるかと作者を拝みたくなる感動の最終回でした。しかし、四天王は貧乏くじ引いたよなあ。鳥居耀蔵は実在の人物だから、あれ以上いじるわけにはいかなかったんでしょうね。あの人、78まで生きたんだ。「憎まれっ子世にはばかる」ってほんとだなあ。
最後の横浜の章は大サービスで、小説としてはないほうが引き締まったと思うけど、シリーズのファンとしては満足です。
濤の彼方 妻は、くノ一 10 (角川文庫)
作者:風野真知雄
出版社:角川グループパブリッシング
ISBN:4043931131
by timeturner
| 2016-09-06 19:22
| 和書
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