2016年 05月 09日
ブレイクの隣人 |
1792年のイギリス。お隣のフランスでは革命が起きたばかりで、その影響でイギリス国内も騒然としている頃、ドーセットシャーの田舎の村から椅子職人の一家がロンドンに出てきた。サーカスのアストリー親方に誘われたのだ。ランベスの貸屋に落ち着いた一家の息子ジェムと娘メイジーは、隣りの家に住むブレイクという男に興味をひかれる。近隣に住む土地っ子の少女マギーと親しくなったふたりは少しずつロンドンになじんでいったが・・・。
『Songs of Innocence 無垢の歌』『Songs of Experience 経験の歌』で知られる詩人・画家のウィリアム・ブレイクを軸に、彼が住んだランベスの光と影が交差する世界を描いた作品で、作者は『真珠の耳飾りの少女』『貴婦人と一角獣』のトレイシー・シュヴァリエ。といえば大体中身は想像つくんですが、今回はちょっとがっかりな内容でした。
期待が大きすぎたのかもしれません。なにしろ舞台が18世紀末のイギリス、しかもカンタベリー大司教のランベス宮があるランベスということで、これまで知らなかったロンドンを覗けると思ったし、「The Tyger」などブレイクの詩や絵にも前から興味があって、もっと深く知ることができる機会だと思い、発売前から楽しみにしていたので。
作者はテート・ギャラリーで開催されたウィリアム・ブレイク展に感銘を受け、彼の作品や関連資料を一年かけて読みこんで小説にしようとしたのだそうです。でも、おそらく彼の詩や絵ほどには彼の人生そのものには興味がもてなかったんだろうなあ。詩や絵にしても、フェルメールやあのタピストリーほどには入れ込んでなかったんでしょうね。集めた資料を継ぎはぎして、少年と少女の淡い恋をちょっとふりかけて器用にまとめた話で終わっている。
アストリーのサーカスや、ランベスの貧しい人々の暮らしぶり、それにフランス革命に刺激されて組織されたランベス協会(英国王に忠誠を誓い、フランス革命に反対するランベス住民の集まり)の存在など、それなりに時代の空気を描き出してはいるんですが、なんかどうも表面的でねえ、ぐっと中に引きこむような迫力がない。結局、最後まで「なんか物足りないなあ」と思いながら読み終えました。
ブレイクの隣人
原題:Burning Bright
作者:トレイシー・シュヴァリエ
訳者:野沢佳織
出版社:柏書房
ISBN:476014644X
『Songs of Innocence 無垢の歌』『Songs of Experience 経験の歌』で知られる詩人・画家のウィリアム・ブレイクを軸に、彼が住んだランベスの光と影が交差する世界を描いた作品で、作者は『真珠の耳飾りの少女』『貴婦人と一角獣』のトレイシー・シュヴァリエ。といえば大体中身は想像つくんですが、今回はちょっとがっかりな内容でした。
期待が大きすぎたのかもしれません。なにしろ舞台が18世紀末のイギリス、しかもカンタベリー大司教のランベス宮があるランベスということで、これまで知らなかったロンドンを覗けると思ったし、「The Tyger」などブレイクの詩や絵にも前から興味があって、もっと深く知ることができる機会だと思い、発売前から楽しみにしていたので。
作者はテート・ギャラリーで開催されたウィリアム・ブレイク展に感銘を受け、彼の作品や関連資料を一年かけて読みこんで小説にしようとしたのだそうです。でも、おそらく彼の詩や絵ほどには彼の人生そのものには興味がもてなかったんだろうなあ。詩や絵にしても、フェルメールやあのタピストリーほどには入れ込んでなかったんでしょうね。集めた資料を継ぎはぎして、少年と少女の淡い恋をちょっとふりかけて器用にまとめた話で終わっている。
アストリーのサーカスや、ランベスの貧しい人々の暮らしぶり、それにフランス革命に刺激されて組織されたランベス協会(英国王に忠誠を誓い、フランス革命に反対するランベス住民の集まり)の存在など、それなりに時代の空気を描き出してはいるんですが、なんかどうも表面的でねえ、ぐっと中に引きこむような迫力がない。結局、最後まで「なんか物足りないなあ」と思いながら読み終えました。
ブレイクの隣人
原題:Burning Bright
作者:トレイシー・シュヴァリエ
訳者:野沢佳織
出版社:柏書房
ISBN:476014644X
by timeturner
| 2016-05-09 20:25
| 和書
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