2016年 02月 27日
八丁堀同心殺人事件 |
与力同心組屋敷がある八丁堀で、立て続けに同心が殺された。しかもかなりの技をもつ者の仕業らしい。南町奉行・根岸肥前守は部下の坂巻、栗田に心当たりを探らせるがなかなかしっぽはつかめない。その一方で、人面の木やらへっついの幽霊やらと『耳袋秘帖』向きの奇譚も次々に根岸の耳に入ってくる・・・。
1巻目の『赤鬼奉行根岸肥前 』の次に4巻目の『深川芸者殺人事件』を読んでしまいましたが、やっとまともな順番で2巻目を読めました。
殺人事件とその犯人の捜査を主軸として、そのまわりに当時の江戸で起こった(と噂される)怪異な出来事をちりばめて、変化をつけています。どんな怪異な話にもよく調べればちゃんと合理的な説明がつくというスタンスは変わりませんが、それによって根岸の推理力をひけらかすのではなく人情味を強調しているところがこの作家の持ち味ですね。主軸の殺人事件も解決のつけかたが実にしみじみとしたもので感動しました。
緑の狐
河童殺し
人面の木
へっついの幽霊
鬼の書
河童の銭
ここではまだ坂巻と栗田の仲はしっくりいっていません。というか、イケメンの坂巻に栗田のほうが勝手にライバル意識を燃やしている感じ。4巻では新婚になっていた栗田と雪之ですが、この巻ではほんの少しだけ近づけたかなという程度なので、次巻でかなりの進展があるのでしょうね。
北町奉行・小田切直年の家来の重田貞一という男が隠密同心のような役目で出てくるのですが、これが別の名を十返舎一九だというんですよね。えーっ、ほんと?と思ってWikipediaを見たら、十返舎一九は駿河国で町奉行の同心の子として生まれ、江戸で武家奉公をしたり、大坂町奉行・小田切直年に勤仕したが浪人し、浄瑠璃作者となったそうなので、大阪の縁を江戸につないで創作したのでしょう。
「河童の銭」は文春文庫に移行した際に付け加えられた描き下ろし短編で、根岸と五郎蔵の若い頃を描いた心にしみるいい話です。
八丁堀同心殺人事件―耳袋秘帖 (文春文庫)
作者:風野真知雄
出版社:文藝春秋
ISBN:4167779080
1巻目の『赤鬼奉行根岸肥前 』の次に4巻目の『深川芸者殺人事件』を読んでしまいましたが、やっとまともな順番で2巻目を読めました。
殺人事件とその犯人の捜査を主軸として、そのまわりに当時の江戸で起こった(と噂される)怪異な出来事をちりばめて、変化をつけています。どんな怪異な話にもよく調べればちゃんと合理的な説明がつくというスタンスは変わりませんが、それによって根岸の推理力をひけらかすのではなく人情味を強調しているところがこの作家の持ち味ですね。主軸の殺人事件も解決のつけかたが実にしみじみとしたもので感動しました。
緑の狐
河童殺し
人面の木
へっついの幽霊
鬼の書
河童の銭
ここではまだ坂巻と栗田の仲はしっくりいっていません。というか、イケメンの坂巻に栗田のほうが勝手にライバル意識を燃やしている感じ。4巻では新婚になっていた栗田と雪之ですが、この巻ではほんの少しだけ近づけたかなという程度なので、次巻でかなりの進展があるのでしょうね。
北町奉行・小田切直年の家来の重田貞一という男が隠密同心のような役目で出てくるのですが、これが別の名を十返舎一九だというんですよね。えーっ、ほんと?と思ってWikipediaを見たら、十返舎一九は駿河国で町奉行の同心の子として生まれ、江戸で武家奉公をしたり、大坂町奉行・小田切直年に勤仕したが浪人し、浄瑠璃作者となったそうなので、大阪の縁を江戸につないで創作したのでしょう。
「河童の銭」は文春文庫に移行した際に付け加えられた描き下ろし短編で、根岸と五郎蔵の若い頃を描いた心にしみるいい話です。
八丁堀同心殺人事件―耳袋秘帖 (文春文庫)
作者:風野真知雄
出版社:文藝春秋
ISBN:4167779080
by timeturner
| 2016-02-27 18:54
| 和書
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