2016年 02月 21日
レッド・ドラゴン号を探せ! |
前作の冒険から9年。それぞれに自分の人生を生きてきたジョン、ジャック、チャールズ、三人の守り手たちは奇妙な夢に導かれて再びアーキペラゴへ戻ることになった。待っていたのは子どもたちが消えてしまった世界だった・・・。『インディゴ・ドラゴン号の冒険』に続く《ドラゴンシップ》シリーズ2作目。
シリーズ二作目というのは一作目が壮大であるほど尻すぼみの危険が大きいので、少なからぬ不安を抱えて読み始めたのですが、まったくの杞憂に終わりました。前作ですっかりおなじみになったキャラクターたちはますます人間味と魅力を増していて、特にジャックの使い方が巧い。チャールズのユーモア感覚も好きだし、今の時代に書かれた物語ならではのフェミニズムを体現しているエイヴンの言動も気持ちがいい。
ストーリーにも前作とはまた違った要素を加えて、二番煎じではない内容になっています。もともとが古今東西のファンタジー、神話、お伽噺などを自由自在に組み合わせて創っているのですから、バリエーションをつけるのは容易と言えばそうなんですが、それって下手すると単なる借り物パスティーシュになってしまうわけで、そう思わせないだけの工夫をこらしているのが作者オーウェンの偉いところです。今回は時間SFの要素も少し入れ込んでいるので私の好みにより近いということもあるかもしれない。次巻へとつながる余韻を残しての終わり方なので、もう今から最後はどうなるのだろうとわくわくしています。
それにしても、コナン・ドイルの扱われ方はひどいよなあ。まあ、いろいろ問題行動があった人だから仕方がないのかもしれないけれど。
ところで、物語の要素の一部になっているギリシャ神話の魔女メーディアは文中では「若くも年よりでもないが、若さゆえの美しさと、経験を積んだ成熟とが理想的に同居している」と形容されていて、隣のページに作者による挿絵があるのですが、この挿絵の女性がピーター(池畑慎之介)にそっくりなのでちょっと笑いました。しかも、その挿絵の下にあるキャプションが「ハロー、坊や。調子はどう?」なんですよ。
レッド・ドラゴン号を探せ!―ドラゴンシップ・シリーズ〈2〉 (ドラゴンシップ・シリーズ 2)
原題:The Search for the Red Dragon
作・絵:ジェームズ・A・オーウェン
訳者:三辺律子
出版社:評論社
ISBN:4566024423
シリーズ二作目というのは一作目が壮大であるほど尻すぼみの危険が大きいので、少なからぬ不安を抱えて読み始めたのですが、まったくの杞憂に終わりました。前作ですっかりおなじみになったキャラクターたちはますます人間味と魅力を増していて、特にジャックの使い方が巧い。チャールズのユーモア感覚も好きだし、今の時代に書かれた物語ならではのフェミニズムを体現しているエイヴンの言動も気持ちがいい。
ストーリーにも前作とはまた違った要素を加えて、二番煎じではない内容になっています。もともとが古今東西のファンタジー、神話、お伽噺などを自由自在に組み合わせて創っているのですから、バリエーションをつけるのは容易と言えばそうなんですが、それって下手すると単なる借り物パスティーシュになってしまうわけで、そう思わせないだけの工夫をこらしているのが作者オーウェンの偉いところです。今回は時間SFの要素も少し入れ込んでいるので私の好みにより近いということもあるかもしれない。次巻へとつながる余韻を残しての終わり方なので、もう今から最後はどうなるのだろうとわくわくしています。
それにしても、コナン・ドイルの扱われ方はひどいよなあ。まあ、いろいろ問題行動があった人だから仕方がないのかもしれないけれど。
ところで、物語の要素の一部になっているギリシャ神話の魔女メーディアは文中では「若くも年よりでもないが、若さゆえの美しさと、経験を積んだ成熟とが理想的に同居している」と形容されていて、隣のページに作者による挿絵があるのですが、この挿絵の女性がピーター(池畑慎之介)にそっくりなのでちょっと笑いました。しかも、その挿絵の下にあるキャプションが「ハロー、坊や。調子はどう?」なんですよ。
レッド・ドラゴン号を探せ!―ドラゴンシップ・シリーズ〈2〉 (ドラゴンシップ・シリーズ 2)
原題:The Search for the Red Dragon
作・絵:ジェームズ・A・オーウェン
訳者:三辺律子
出版社:評論社
ISBN:4566024423
by timeturner
| 2016-02-21 17:26
| 和書
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