2016年 01月 05日
憑神 |
幕末の江戸。貧乏御家人の次男に生まれた別所彦四郎は、文武に秀でていたため格上の家に婿に入ったが、跡継ぎをつくった途端に追い出され、兄夫婦のいる実家で肩身の狭い部屋住みの暮らしに甘んじていた。ある晩、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!
いやあ、さすが上手ですねえ。幕末ファンタジーとでもいうのか、ありがちな幕末時代小説とは一味もふた味も違う仕上がりです。貧乏神につきまとわれる貧乏侍を面白おかしく描いたコメディかと思って大笑いしながら読んでいると、ところどころに親子や夫婦の情を描いてほろっとさせるところがあり、かと思うと武士道について、人の生きる道について考えさせる場面もありと、ふくらみのある内容です。
武士道にはあまり共感できないし、特に好きなわけでもない私ですが、江戸を立派に終わらせることで次にくる明治に大義名分を与え、ひいては平和をもたらすというもっていきかたは、なかなか賢いと思いました。100%納得できるものでもありませんが。
でもまあ、そういった主義主張とは関係なく、面白く楽しく読めるエンタメ時代小説だと思います。
憑神 (新潮文庫)
作者:浅田次郎
出版社:新潮社
ISBN:410101924X
いやあ、さすが上手ですねえ。幕末ファンタジーとでもいうのか、ありがちな幕末時代小説とは一味もふた味も違う仕上がりです。貧乏神につきまとわれる貧乏侍を面白おかしく描いたコメディかと思って大笑いしながら読んでいると、ところどころに親子や夫婦の情を描いてほろっとさせるところがあり、かと思うと武士道について、人の生きる道について考えさせる場面もありと、ふくらみのある内容です。
武士道にはあまり共感できないし、特に好きなわけでもない私ですが、江戸を立派に終わらせることで次にくる明治に大義名分を与え、ひいては平和をもたらすというもっていきかたは、なかなか賢いと思いました。100%納得できるものでもありませんが。
でもまあ、そういった主義主張とは関係なく、面白く楽しく読めるエンタメ時代小説だと思います。
憑神 (新潮文庫)
作者:浅田次郎
出版社:新潮社
ISBN:410101924X
by timeturner
| 2016-01-05 17:43
| 和書
|
Comments(0)