2015年 10月 25日
絵本の翻訳ってどうやるの? ~プロにお話きいてみよう~ |
いたばし国際絵本翻訳大賞を主催している板橋区の氷川図書館で《翻訳大賞特別記念企画》と冠して表題の講座を無料で開催していたので行ってきました。氷川図書館は都営三田線の「板橋区役所前」から徒歩7分。地図で見るとやたら遠くてこみいった場所にあるように見えましたが、方向音痴の私にしては珍しく迷わずたどりつけました。
講師は翻訳家の三辺律子さんで、前に朝日カルチャーセンターの絵本翻訳講座を2期ばかり受講したことがあるので内容がかぶるかなあと思っていたのですが、そこは経験豊富なベテラン翻訳家ですので、YA、児童文学、絵本いろいろ取り混ぜて興味深いお話をたくさんうかがえました。
中でも今日いちばん大きくとりあげられていたのは役割語。英語にはない日本語だけの表現で、主語をどう訳すか、終助詞をどう訳すかでバラエティに富んだキャラクターを造形でき、それが翻訳の面白さにつながるという趣旨でした。確かに、新しい課題を訳し始めるときには主要な登場人物の「I」をどう訳すか、話し方をどうするかが最初に考えることで、そのために本には書かれていないその人物の背景をいろいろ想像したりします。私は調べものが好きなので、話のバックになっている年代や土地、民族の特徴などいろいろ調べて決めるのですが、ここがいちばん楽しいと言っても過言ではありません。というか、調べものに力を注ぎすぎて、最終的な訳文でポカミスをするってことが多いです。
ほかに、児童文学や絵本を訳すポイントとしては、
・主語を省くと日本語っぽくなる(ただし、子供は主人公に同化できないと物語に入っていきにくいので気をつけること)
・子どもはやはりオノマトペが好き。読み聞かせるほうも楽しい。英語にはオノマトペが少ないので原文ではあまり使われていないが、適当な単語があったとしたらどう書いただろうと考えて使うとよい。(ただし、必要なところだけ)
・子ども向きの話の場合は、正確な逐語訳より作者の意図を理解してもらえる訳にする
・絵本は声を出して読み聞かせることを考慮し、文字数やページをめくるタイミング、リズム感などを大切にする
たとえばきょうだい、友人同士がファーストネームで呼び合う習慣など、日本にはなじまない文化風習が出てきた場合、そういう異文化を理解させることも必要ではあるのだけれど、違和感を感じてせっかく入り込んでいた物語世界からいったん出てしまうこともある。それを避けるためには、違和感を感じさせそうな部分は別の言葉に言い換えたり、削除したりすることもあるそうです。
お話の中に出てきたいくつかの本も面白そうなので、また読書リストが増えました。とりあえずブックリストに入れたのは以下のもの。
『ヴァーチャル日本語役割語の謎』(金水敏)
『嵐にいななく』(L.S.マシューズ作/三辺律子訳)
《バーティミアス》シリーズ(ジョナサン・ストラウド/金原瑞人訳)
『少年キム』(キプリング/三辺律子訳)
あと、本ではないけれど映画「テッド」も観なくては。
講師は翻訳家の三辺律子さんで、前に朝日カルチャーセンターの絵本翻訳講座を2期ばかり受講したことがあるので内容がかぶるかなあと思っていたのですが、そこは経験豊富なベテラン翻訳家ですので、YA、児童文学、絵本いろいろ取り混ぜて興味深いお話をたくさんうかがえました。
中でも今日いちばん大きくとりあげられていたのは役割語。英語にはない日本語だけの表現で、主語をどう訳すか、終助詞をどう訳すかでバラエティに富んだキャラクターを造形でき、それが翻訳の面白さにつながるという趣旨でした。確かに、新しい課題を訳し始めるときには主要な登場人物の「I」をどう訳すか、話し方をどうするかが最初に考えることで、そのために本には書かれていないその人物の背景をいろいろ想像したりします。私は調べものが好きなので、話のバックになっている年代や土地、民族の特徴などいろいろ調べて決めるのですが、ここがいちばん楽しいと言っても過言ではありません。というか、調べものに力を注ぎすぎて、最終的な訳文でポカミスをするってことが多いです。
作者が登場人物のジェンダーや年齢をあえてはっきりさせずに書いている作品を二つ紹介して、そういうときにどう訳すか苦労されたお話も面白かった。『フィッシュ』(あれ、感想書いてなかった)のことはクラスでも話が出て、その後本を読んでみて「なるほど」と感心したのですが、『嵐にいななく』でリベンジされた話は初めて聞いて「へええ!」と思いました。『葉桜の季節に君を想うということ』を思い出させます。
ほかに、児童文学や絵本を訳すポイントとしては、
・主語を省くと日本語っぽくなる(ただし、子供は主人公に同化できないと物語に入っていきにくいので気をつけること)
・子どもはやはりオノマトペが好き。読み聞かせるほうも楽しい。英語にはオノマトペが少ないので原文ではあまり使われていないが、適当な単語があったとしたらどう書いただろうと考えて使うとよい。(ただし、必要なところだけ)
・子ども向きの話の場合は、正確な逐語訳より作者の意図を理解してもらえる訳にする
・絵本は声を出して読み聞かせることを考慮し、文字数やページをめくるタイミング、リズム感などを大切にする
たとえばきょうだい、友人同士がファーストネームで呼び合う習慣など、日本にはなじまない文化風習が出てきた場合、そういう異文化を理解させることも必要ではあるのだけれど、違和感を感じてせっかく入り込んでいた物語世界からいったん出てしまうこともある。それを避けるためには、違和感を感じさせそうな部分は別の言葉に言い換えたり、削除したりすることもあるそうです。
お話の中に出てきたいくつかの本も面白そうなので、また読書リストが増えました。とりあえずブックリストに入れたのは以下のもの。
『ヴァーチャル日本語役割語の謎』(金水敏)
『嵐にいななく』(L.S.マシューズ作/三辺律子訳)
《バーティミアス》シリーズ(ジョナサン・ストラウド/金原瑞人訳)
『少年キム』(キプリング/三辺律子訳)
あと、本ではないけれど映画「テッド」も観なくては。
by timeturner
| 2015-10-25 18:51
| 学習
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