2015年 10月 17日
おまえさん(上・下) |
痒み止めの妙薬「王疹膏」で名を売っていた生薬屋・瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の同心・平四郎は、将来有望な若手同心の間島信之輔と組んで調べ始めた。検分にやってきた信之輔の大叔父であり、変わり者の老人・源右衛門は、その斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する・・・。
いやもう、大満足です。信之輔、源右衛門といった新キャラクターも面白いし、あのおでこちゃんの実の母親が顔を出したり、弓之介の将来について本人もまわりもあれこれ思いめぐらしたり、お徳さんの元気ぶりは相変わらずだったり、なつかしい面々も少しずつ顔を出したりと、事件以外の部分でもサーヴィスたっぷり。シリーズのファンにはとにかく楽しい三作目でした。
【上巻】
おまえさん(一~十八)
【下巻】
おまえさん(十九~二十一)
残り柿
転び神
磯の鮑
犬おどし
上巻も下巻も600ページ強というボリュームですが、これがもう《みっしり》してるのなんのって。むだな改行や会話で水増ししてるわけではないし、どうでもいいようなことをだらだら書いているわけでもない。どこを読んでもちゃんと意味がある。伏線になっていたり、状況をくっきり描写していたり、人物像を浮かび上がらせたり。だから、長くてもまったく飽きず、いらだちもせず、楽しく読んでいける。
いくつかのサイドストーリーが同時進行して、それぞれが本筋とからみあいながらつかず離れずに進み、最後にはどのサイドストーリーにもちゃんと落ち着き先ができている。いやはやまいりました。
上巻で夜鷹の死体が川からあげられる場面があるんですが、そこの表現なんてうなっちゃいます。
おまえさん(上) (講談社文庫)
おまえさん(下) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:4062770725、4062770733
いやもう、大満足です。信之輔、源右衛門といった新キャラクターも面白いし、あのおでこちゃんの実の母親が顔を出したり、弓之介の将来について本人もまわりもあれこれ思いめぐらしたり、お徳さんの元気ぶりは相変わらずだったり、なつかしい面々も少しずつ顔を出したりと、事件以外の部分でもサーヴィスたっぷり。シリーズのファンにはとにかく楽しい三作目でした。
【上巻】
おまえさん(一~十八)
【下巻】
おまえさん(十九~二十一)
残り柿
転び神
磯の鮑
犬おどし
上巻も下巻も600ページ強というボリュームですが、これがもう《みっしり》してるのなんのって。むだな改行や会話で水増ししてるわけではないし、どうでもいいようなことをだらだら書いているわけでもない。どこを読んでもちゃんと意味がある。伏線になっていたり、状況をくっきり描写していたり、人物像を浮かび上がらせたり。だから、長くてもまったく飽きず、いらだちもせず、楽しく読んでいける。
いくつかのサイドストーリーが同時進行して、それぞれが本筋とからみあいながらつかず離れずに進み、最後にはどのサイドストーリーにもちゃんと落ち着き先ができている。いやはやまいりました。
上巻で夜鷹の死体が川からあげられる場面があるんですが、そこの表現なんてうなっちゃいます。
女の裸足の指先が、ちょっぴり筵からはみ出していた。殺されようとする刹那、驚きで縮み上がったのだろう。足の指が反って、そのまま硬くなっている。まるで、飴細工の切れっ端が泥に落ちているようだ。飴細工をしているところを見たことがある人なら納得するでしょうが、ほんとにぴったりすぎる比喩なんですよ。でも、ふつうの人は思いつかないです、こんなこと。もっとも、これが現代小説だったら「誰でも知っているわけじゃない飴細工なんか持ちだしてこられても……」と困惑するかもしれませんが、江戸時代の話が好きな人が読んでいるわけですからね。
おまえさん(上) (講談社文庫)
おまえさん(下) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:4062770725、4062770733
by timeturner
| 2015-10-17 17:13
| 和書
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