2015年 10月 06日
岸辺のヤービ |
ある晴れた夏の日、マッドガイド・ウォーターの岸辺にボートを浮かべて本を読んでいた「わたし」は、ふわふわの毛のハリネズミのようなクーイ族の男の子ヤービと出会った。ミルクキャンディーをあげたお礼にヤービが聞かせてくれたお話とは・・・。
大事にちょっとずつ読んでいたのに終わっちゃった……。これを読んでいる間はいつも、心はマッドガイド・ウォーター(という名の三日月湖)のほとりに飛んでいました。これを日本人の作家が書いたというのが不思議な気がします。ケネス・グレアムとかアリソン・アトリーとかイギリスの童話作家が書いたものを読んでいるような気になるのです。とはいえ、翻訳くささはまったくなくて(当たり前)、するするとスポンジに水がしみこむように美しい日本語が胸の奥に入りこんできます。ですます調をこんなにさりげなく書ける人は少ないよなあ。ふつうはどうしても大人が子どもに「語ってきかせる」上から目線を感じてしまい、ちょっとむかつくんですよね。
梨木さんのことだから単なる動物ファンタジーではないだろうなと予想していましたが、やはりそうで、環境問題、食物連鎖の問題が底を流れていますが、それが全面に出すぎてファンタジーの楽しみを奪うような愚は冒していません。教育しようというのではなく、こういうところに住んでいる人ならだれでも考えるように思える展開です。
小沢さかえさんの挿絵がすごく、すごく、いい。表紙の水彩画っぽいカラーイラストも素敵ですし(トビラと真ん中へんにも一枚ずつカラー口絵が挿入されています)、ペンで丁寧に描かれた本文の挿絵はまるで見て描いたかのようにヤービたちの姿を見せてくれています。これがあるからお話がリアルに感じられるんですよね。
これ、シリーズとして続くようなので、すごく楽しみ。
岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)
作者:梨木香歩
イラスト:小沢さかえ
出版社:福音館書店
ISBN:4834081974
大事にちょっとずつ読んでいたのに終わっちゃった……。これを読んでいる間はいつも、心はマッドガイド・ウォーター(という名の三日月湖)のほとりに飛んでいました。これを日本人の作家が書いたというのが不思議な気がします。ケネス・グレアムとかアリソン・アトリーとかイギリスの童話作家が書いたものを読んでいるような気になるのです。とはいえ、翻訳くささはまったくなくて(当たり前)、するするとスポンジに水がしみこむように美しい日本語が胸の奥に入りこんできます。ですます調をこんなにさりげなく書ける人は少ないよなあ。ふつうはどうしても大人が子どもに「語ってきかせる」上から目線を感じてしまい、ちょっとむかつくんですよね。
梨木さんのことだから単なる動物ファンタジーではないだろうなと予想していましたが、やはりそうで、環境問題、食物連鎖の問題が底を流れていますが、それが全面に出すぎてファンタジーの楽しみを奪うような愚は冒していません。教育しようというのではなく、こういうところに住んでいる人ならだれでも考えるように思える展開です。
小沢さかえさんの挿絵がすごく、すごく、いい。表紙の水彩画っぽいカラーイラストも素敵ですし(トビラと真ん中へんにも一枚ずつカラー口絵が挿入されています)、ペンで丁寧に描かれた本文の挿絵はまるで見て描いたかのようにヤービたちの姿を見せてくれています。これがあるからお話がリアルに感じられるんですよね。
これ、シリーズとして続くようなので、すごく楽しみ。
岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)
作者:梨木香歩
イラスト:小沢さかえ
出版社:福音館書店
ISBN:4834081974
by timeturner
| 2015-10-06 19:37
| 和書
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