2015年 07月 23日
僕は、そして僕たちはどう生きるか |
「コペル」と呼ばれる14歳の「僕」は、ある朝、染織家の叔父「ノボちゃん」の頼みで清浄ヨモギを採集するためにかつての親友「ユージン」の家を訪ねた。ユージンは誰にも理由を言わないままずっと学校に行かず、広い農家の家にひとりで暮らしていた。久しぶりに会ったコペルとユージンはユージンの従姉妹ショウコを交えて予想もしていなかったような一日を過ごすことになった・・・。
なんの予備知識もなく読んだのでびっくりしました。正面きってファシズムについて真面目に考える内容だったのです。これは中学生や高校生にぜひ読んでほしいなあ。もちろん大人も読んだほうがいいと思う。
初めのうちは、ちょっと青臭くて気恥ずかしいような気もしたのですが、そういう自分がこういう問題についてきちんと考えたことがあるのかと考えると、全然ない。その手の映画を観たり本を読んだりしたときに少しは考えたりしますが、すぐに面倒になって「あとでゆっくり考えよう」と言い訳をして逃げていたんですよね。その事実を改めて突きつけられた感じ。
そんなふうに、ひとりだとすぐに行き詰っていやになってしまうことでも、こうしてコペルやユージン、ショウコと一緒に考えればちっとも苦にならないのですよ。もちろん巧く書けてるからなんだけど。
コペルやユージン、ショウコたちの会話は、リアルでありながら気負ったところがなく素直に読めますし、とぼけたノボちゃんや、おおらかなオーストラリア人マーク、それに謎の隠者といった魅力ある脇役たちが、深刻になりすぎたり、中学生の世界だけでは話が袋小路に入りそうなときには舵をとってくれるので、実に面白く、退屈せずに読むことができます。
私、正直言って梨木さんのエッセイはあまりにもテーマというか主張が表面に出すぎていて苦手だったんですが、これは小説仕立てにして作者を後ろにひっこめているせいか、すんなり読めました。
僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫)
作者:梨木香歩
出版社:岩波書店
ISBN:4006022581
なんの予備知識もなく読んだのでびっくりしました。正面きってファシズムについて真面目に考える内容だったのです。これは中学生や高校生にぜひ読んでほしいなあ。もちろん大人も読んだほうがいいと思う。
初めのうちは、ちょっと青臭くて気恥ずかしいような気もしたのですが、そういう自分がこういう問題についてきちんと考えたことがあるのかと考えると、全然ない。その手の映画を観たり本を読んだりしたときに少しは考えたりしますが、すぐに面倒になって「あとでゆっくり考えよう」と言い訳をして逃げていたんですよね。その事実を改めて突きつけられた感じ。
そんなふうに、ひとりだとすぐに行き詰っていやになってしまうことでも、こうしてコペルやユージン、ショウコと一緒に考えればちっとも苦にならないのですよ。もちろん巧く書けてるからなんだけど。
コペルやユージン、ショウコたちの会話は、リアルでありながら気負ったところがなく素直に読めますし、とぼけたノボちゃんや、おおらかなオーストラリア人マーク、それに謎の隠者といった魅力ある脇役たちが、深刻になりすぎたり、中学生の世界だけでは話が袋小路に入りそうなときには舵をとってくれるので、実に面白く、退屈せずに読むことができます。
私、正直言って梨木さんのエッセイはあまりにもテーマというか主張が表面に出すぎていて苦手だったんですが、これは小説仕立てにして作者を後ろにひっこめているせいか、すんなり読めました。
僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫)
作者:梨木香歩
出版社:岩波書店
ISBN:4006022581
by timeturner
| 2015-07-23 21:32
| 和書
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