2015年 06月 11日
働く僕ら |
すごく不思議な絵本です。穂村弘さんの『ぼくの宝物絵本』で紹介されていたのを図書館で借りて読み、いいなあ、欲しいなあと思っていたら、先日のサプライズ・ランチの後、先生に連れていっていただいた児童書専門の古書店でみつけました。値段も手ごろだったのですかさずゲット。店主のおじさんに「ずいぶんマニアックなものを選んだね」と言われ、「これ、欲しかったんです、絵がすてきだから」と言ったら、おじさん一瞬黙ってから「ま、人それぞれだからね」と言いました。まあ確かに万人向けではありませんね。
表紙の絵からわかるように昔のソ連や共産主義国家で社会主義革命を正当化し、民意を称揚するために作られたポスターのような、いわゆるプロパガンダ・アートっぽい内容です。絵柄は大昔のキンダーブックにありそうなレトロな雰囲気。
子どもたちが大人の職場でいろいろな仕事をしている風景を描いてあり、文章はドイツ語と日本語で書かれています。翻訳者の名前があるところを見ると、この文章はもともと東ドイツ時代に使われたものなのかもしれません。それぞれの絵につけられているタイトルは以下のごとくで、これを見ただけで「なんか変!」と思うでしょ? 中にはかなりエグイ絵もあります。
プロペラ/ドリル/機関車/風車/防空聴音機/輪転機/紡錘/散水/車夫/トロッコ/秘密警察/動輪/メッセンジャー/ロケット兵器の運搬/被服/速射砲の整備/ダイナモ/自動洗濯機の組立/ストライキ/電話交換手/労災/素材の切断/コルフォース/本を焚く/タイピスト/夜の旋盤/通信技士/タービン/オートメーション/新しい僕ら
書名のドイツ語Dir Junge Pioniereとは「若いピオニール」という意味です。ボーイスカウト運動がソ連に伝わり、それが国策に合うように変えられてピオニール(少年団)と呼ばれるようになったのだそうです。10歳から15歳を対象とした団体で、コムソモール(青年団)の指導下に置かれていました。そういえばスターリン時代末期のソ連に生きる少女たちを描いた『それぞれの少女時代』にもそういう集団が出てきたような気が。・・。
読みようによってはナチス時代末期のドイツととれないこともありません。いずれにしてもかなりブラックな内容ですので、子どもに読ませても喜ばれないでしょう。
働く僕ら (a‐tempo)
作者:太田蛍一
出版社:リブロポート
ISBN:4845705656
表紙の絵からわかるように昔のソ連や共産主義国家で社会主義革命を正当化し、民意を称揚するために作られたポスターのような、いわゆるプロパガンダ・アートっぽい内容です。絵柄は大昔のキンダーブックにありそうなレトロな雰囲気。
子どもたちが大人の職場でいろいろな仕事をしている風景を描いてあり、文章はドイツ語と日本語で書かれています。翻訳者の名前があるところを見ると、この文章はもともと東ドイツ時代に使われたものなのかもしれません。それぞれの絵につけられているタイトルは以下のごとくで、これを見ただけで「なんか変!」と思うでしょ? 中にはかなりエグイ絵もあります。
プロペラ/ドリル/機関車/風車/防空聴音機/輪転機/紡錘/散水/車夫/トロッコ/秘密警察/動輪/メッセンジャー/ロケット兵器の運搬/被服/速射砲の整備/ダイナモ/自動洗濯機の組立/ストライキ/電話交換手/労災/素材の切断/コルフォース/本を焚く/タイピスト/夜の旋盤/通信技士/タービン/オートメーション/新しい僕ら
書名のドイツ語Dir Junge Pioniereとは「若いピオニール」という意味です。ボーイスカウト運動がソ連に伝わり、それが国策に合うように変えられてピオニール(少年団)と呼ばれるようになったのだそうです。10歳から15歳を対象とした団体で、コムソモール(青年団)の指導下に置かれていました。そういえばスターリン時代末期のソ連に生きる少女たちを描いた『それぞれの少女時代』にもそういう集団が出てきたような気が。・・。
読みようによってはナチス時代末期のドイツととれないこともありません。いずれにしてもかなりブラックな内容ですので、子どもに読ませても喜ばれないでしょう。
働く僕ら (a‐tempo)
作者:太田蛍一
出版社:リブロポート
ISBN:4845705656
by timeturner
| 2015-06-11 23:29
| 和書
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