2015年 05月 15日
サヴァイヴ |
『サクリファイス』『エデン』の続編かと思っていたら、番外編のような短編集でした。白石がフランスのチームに移ったばかりで、まだミッコとは気心が通じ合っていなかった頃の、あるいはミッコと一緒にポルトガルのチームに移ってからのエピソードとか、石尾と知り合った赤城が彼のアシストをするようになる経緯とその後のエピソードとか、石尾なきあとのオッジのエース伊庭の話とか、前2作を読んだ人にはたまらなくおいしい話が詰まっています。読んでいない人でも、それぞれに自転車ロードレースの面白さを知らしめるような話が詰まっているので楽しめるはず。
3作目にこういうのを持ってきたというのは巧いなあ。『サクリファイス』のあとでは『エデン』も少し物足りなく感じたくらいですから、さらにそこに長編が来ても盛り上がるのは難しい。それよりは前2作に燃えたファンにびっくりプレゼントをさしだしたほうが喜ばれるってものです。このあとに出た自転車小説『キアズマ』では登場人物もまったく異なり、舞台もプロの世界ではなく、大学の自転車部になっているらしい。計算してというより、作者自身の気持ちが同じものばかり書きたくないという方向で動いているんでしょうね。すばらしい。
サヴァイヴ
作者:近藤史恵
出版社:新潮社
ISBN:4103052538
3作目にこういうのを持ってきたというのは巧いなあ。『サクリファイス』のあとでは『エデン』も少し物足りなく感じたくらいですから、さらにそこに長編が来ても盛り上がるのは難しい。それよりは前2作に燃えたファンにびっくりプレゼントをさしだしたほうが喜ばれるってものです。このあとに出た自転車小説『キアズマ』では登場人物もまったく異なり、舞台もプロの世界ではなく、大学の自転車部になっているらしい。計算してというより、作者自身の気持ちが同じものばかり書きたくないという方向で動いているんでしょうね。すばらしい。
サヴァイヴ
作者:近藤史恵
出版社:新潮社
ISBN:4103052538
by timeturner
| 2015-05-15 19:40
| 和書
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