2015年 04月 10日
ふたりのエアリエル |
第二次世界大戦中の1942年、イギリス。幼い頃に母親を亡くし、海軍士官である父の帰りを待ちながら祖父の牧師館で過ごしていたソレル、マーク、ホリーの三きょうだいは、父の行方不明、祖父の急死と立て続けに不幸に見舞われ、一度も会ったことがなかった祖母の家に引き取られた。そして、自分たちの母親がイギリスでも有数の由緒正しい演劇一家の出身だったことを知らされ、舞台芸術学院に通うことになる・・・。
『バレエ・シューズ』の姉妹編とも言える作品で、作中にポーリーン、ペトロヴァ、ポージーの名前も大事なところで出てきます。基本的な展開もほぼ同じで、初めは演劇界のことなど何ひとつ知らなかった田舎育ちのきょうだいが、次第にそれぞれの才能と目標を見いだしていく成長物語ですが、この前はバレエ、今回は演劇と全くちがう舞台芸術なので、二番煎じ感はそれほどありません。まあ、私自身、この手のジャンルが好きだからというのもありますが。
それなのに、なんだかすごく書き急いだ感があるんですよねえ。特に後半はまるで本来あった作品をダイジェスト版としてまとめたんじゃないかと思うほどの駆け足で、まるで物足りませんでした。タイトルにもなっている「ふたりのエアリエル」問題はもっともっと突っ込んで書くべきだったんじゃないのかなあ。『バレエ・シューズ』が約400ページだったのに対してこちらは200ページちょっとだったので、大丈夫なのかしらと危惧してはいたのですが。
あとがきによると、『バレエ・シューズ』が大ヒットしたために、アメリカでは『ファミリー・シューズ』『ムービー・シューズ』『サーカス・シューズ』と「シューズ叢書」として次々に続編が出され、この作品もその中のひとつ『シアター・シューズ』だったようです。つまりは粗製濫造? いや、書かれていることは決して粗末ではないのでそこまでひどくはありませんが、読者としてはどうしたってがっかりしてしまう。特に、作者のストレトフィールド自身が演劇学校で学んだのちに俳優となり、1920年代には世界中を巡業して回ったというのですから、その気になればいくらでも書くことはあったはずだと思うと、よけいに残念です。
ふたりのエアリエル
原題:Curtain Up
作者:ノエル・ストレトフィールド
訳者:中村妙子
出版社:教文館
ISBN:4764267128
『バレエ・シューズ』の姉妹編とも言える作品で、作中にポーリーン、ペトロヴァ、ポージーの名前も大事なところで出てきます。基本的な展開もほぼ同じで、初めは演劇界のことなど何ひとつ知らなかった田舎育ちのきょうだいが、次第にそれぞれの才能と目標を見いだしていく成長物語ですが、この前はバレエ、今回は演劇と全くちがう舞台芸術なので、二番煎じ感はそれほどありません。まあ、私自身、この手のジャンルが好きだからというのもありますが。
それなのに、なんだかすごく書き急いだ感があるんですよねえ。特に後半はまるで本来あった作品をダイジェスト版としてまとめたんじゃないかと思うほどの駆け足で、まるで物足りませんでした。タイトルにもなっている「ふたりのエアリエル」問題はもっともっと突っ込んで書くべきだったんじゃないのかなあ。『バレエ・シューズ』が約400ページだったのに対してこちらは200ページちょっとだったので、大丈夫なのかしらと危惧してはいたのですが。
あとがきによると、『バレエ・シューズ』が大ヒットしたために、アメリカでは『ファミリー・シューズ』『ムービー・シューズ』『サーカス・シューズ』と「シューズ叢書」として次々に続編が出され、この作品もその中のひとつ『シアター・シューズ』だったようです。つまりは粗製濫造? いや、書かれていることは決して粗末ではないのでそこまでひどくはありませんが、読者としてはどうしたってがっかりしてしまう。特に、作者のストレトフィールド自身が演劇学校で学んだのちに俳優となり、1920年代には世界中を巡業して回ったというのですから、その気になればいくらでも書くことはあったはずだと思うと、よけいに残念です。
ふたりのエアリエル
原題:Curtain Up
作者:ノエル・ストレトフィールド
訳者:中村妙子
出版社:教文館
ISBN:4764267128
by timeturner
| 2015-04-10 18:24
| 和書
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