2014年 11月 28日
夜中出あるくものたち |
孤児のケイ・ハーカー少年は、家庭教師、女中のエレン、コックのジェインと一緒にハーカー屋敷で暮らしていた。ケイのひいおじいさんは船長だったが、宝物を積んで出た航海で船を奪われた。だが、村ではひいおじいさんが宝を盗んで隠したのだという噂もあった。ケイは友だちの黒猫ニビンズやキツネのバイテムの力を借り、意地悪な家庭教師の目を盗んで宝を探そうとするのだが・・・。
うわあ、ちょっと盛りすぎ。それでいて説明不足なところがある。これを一度だけ読んで中身を完全に理解できる子どもなんているんだろうか? 私は途中で何度も「この人、だれだったっけ?」と前のほうをめくったりしました。作者は湧きあがるアイディアをすべて投入しなくては気が済まなかったのでしょうね。ファンタジーも動物の話もタイムトラベルも魔法の話も、過去に書かれた児童文学のいいところを全部ぶちこんでみました、という感じ。部分部分を見れば確かに楽しいのですが、全体としてはごちゃまぜになって、わかりにくくなっている。ベンジャミンの宝の話はなくてもよかったんじゃない?
それでいて、よくわからないことや、ちゃんと解決していないことがあるような気もする。あの後見人は宝のことを口にしていたんだし、絶対にバウンサー夫人と何か企んでいたはずなのに、なんの理由もなく消えてしまったし、ケイの母親の友達だったという女性の現れ方も唐突すぎる。ひょっとして、原文はもっと長いのをはしょってあるとか?
『まぼろしの白馬』の訳者あとがきで石井桃子さんが、原作にはもっと細々と当時の田舎の風俗が描かれていたが子供にはわかりにくいと判断して省略したと書いていました。それと同じことをこの本でもしているかもしれない。
ケイが何歳くらいの設定なのかわからないのですが、石井さんの訳によるケイの話しぶりがかなり子どもっぽくて、大人に向けて書かれているような地の文と合わないのが気になったので、続きである『The Box of Delight』は英語で読もうかどうしようか迷っています。
夜中出あるくものたち (評論社の児童図書館・文学の部屋)
原題:The Midnight Folk
作者:ジョン・メイスフィールド
訳者:石井桃子
出版社:評論社
ISBN:4566011208
うわあ、ちょっと盛りすぎ。それでいて説明不足なところがある。これを一度だけ読んで中身を完全に理解できる子どもなんているんだろうか? 私は途中で何度も「この人、だれだったっけ?」と前のほうをめくったりしました。作者は湧きあがるアイディアをすべて投入しなくては気が済まなかったのでしょうね。ファンタジーも動物の話もタイムトラベルも魔法の話も、過去に書かれた児童文学のいいところを全部ぶちこんでみました、という感じ。部分部分を見れば確かに楽しいのですが、全体としてはごちゃまぜになって、わかりにくくなっている。ベンジャミンの宝の話はなくてもよかったんじゃない?
それでいて、よくわからないことや、ちゃんと解決していないことがあるような気もする。あの後見人は宝のことを口にしていたんだし、絶対にバウンサー夫人と何か企んでいたはずなのに、なんの理由もなく消えてしまったし、ケイの母親の友達だったという女性の現れ方も唐突すぎる。ひょっとして、原文はもっと長いのをはしょってあるとか?
『まぼろしの白馬』の訳者あとがきで石井桃子さんが、原作にはもっと細々と当時の田舎の風俗が描かれていたが子供にはわかりにくいと判断して省略したと書いていました。それと同じことをこの本でもしているかもしれない。
ケイが何歳くらいの設定なのかわからないのですが、石井さんの訳によるケイの話しぶりがかなり子どもっぽくて、大人に向けて書かれているような地の文と合わないのが気になったので、続きである『The Box of Delight』は英語で読もうかどうしようか迷っています。
夜中出あるくものたち (評論社の児童図書館・文学の部屋)
原題:The Midnight Folk
作者:ジョン・メイスフィールド
訳者:石井桃子
出版社:評論社
ISBN:4566011208
by timeturner
| 2014-11-28 18:49
| 和書
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