2014年 09月 29日
マダム・イン・ニューヨーク |
インドで暮らす主婦のシャシは料理上手で、なかでもお菓子のラドゥは予約を受けて売るほどの人気だが、家族にとってはそんなことはどうでもよく、良妻賢母として自分たちの世話をしてくれることだけ要求するのだった。おまけに夫や子供たちは英語が話せないシャシをことあるごとに馬鹿にする。そんなシャシが、たったひとりでアメリカへ行くことになった。アメリカにいる姪が結婚することになったので、準備を手伝うため、結婚式までの4週間をニューヨークの姉の家で過ごすことになったのだ。そのニューヨークで英語ができないために惨めな思いをしたシャシは、一念発起して英会話学校に通うことを決意する・・・。
すごく楽しかった。インド映画というと、昔見たサタジット・レイの深刻で重苦しい映画か、登場人物が踊りまくる能天気で泥臭い映画のイメージが強かったのですが、そのどちらでもない、実に軽やかで、なおかつ心にしみる内容でした。(あ、踊るシーン、少しはあります)
女性が妻や母親という名前の存在であるだけでなく、尊敬される価値のあるひとりの人間であることがいかに大切かを教えてくれます。結婚式でのシャシの感動的なスピーチには「equal」という単語が何度も出てきますが、これは男性と女性の平等だけでなく、英語が話せる人間と話せない人間、ゲイとストレート、アメリカ人とメキシコ人、インド人、韓国人といった外国人たちといったいろいろな人同士の関係も指しているのですよね。それまでに出てきた色々なエピソードからそれがわかるように作られています。
シャシが入学したクラスに集う生徒たちが人種も性格も多種多様で、それぞれの性格付けやキャスティングが絶妙。平板な一枚岩になってしまいそうな授業の場面をいきいきと面白くしています。シャシを応援する大学生の姪もキラッと光るものを持っていて、画面を明るくしていました。ああいうオーラがあるとないとでは印象がずいぶん違ってくると思う。
シャシが初めてひとりで入ったカフェで酷い目に遭うシーンは、海外に初めて行った経験のある人ならだれでもが、多かれ少なかれ似たような思いをしたことを思い出すんじゃないかな。もっとも、相手が外国人とわかっていながらあそこまで意地悪くする店員はいないし、周囲のアメリカ人だって全員が冷たいってことはないと思うけど。
それにしても、インドに住んでいても英語が話せないとこんなに馬鹿にされるなんて知りませんでした。元イギリス植民地だからなんでしょうけど、日本でも今みたいに子どもに英会話を教えることが最重要事項みたいな考え方をしていると、やがてはあんな社会になっちゃうかもよ。
シャシ役の人が美人すぎて、若すぎて、ちょっと無理があるんじゃな~い?と思いながら見ていたのですが、バイオを見たらなんと1963年生まれ! えーーーーーーっ! そのシャシの夫を演じたのは「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」に出ていた人(主人公の父親役)でした。そして監督はなんと1974年生まれ、39歳の女性です。なるほどなあ、今を生きる女性だから、こういう映画が作れたんですね。
公式サイトはこちら。
マダム イン ニューヨーク(字幕版)
原題:English Vinglish(2012)
上映時間:134 分
製作国:インド
監督:ガウリ・シンデー
出演:シュリデヴィ、アディル・フセイン、メーディ・ネブー、プリヤ・アーナンド、アミターブ・バッチャンほか。
すごく楽しかった。インド映画というと、昔見たサタジット・レイの深刻で重苦しい映画か、登場人物が踊りまくる能天気で泥臭い映画のイメージが強かったのですが、そのどちらでもない、実に軽やかで、なおかつ心にしみる内容でした。(あ、踊るシーン、少しはあります)
女性が妻や母親という名前の存在であるだけでなく、尊敬される価値のあるひとりの人間であることがいかに大切かを教えてくれます。結婚式でのシャシの感動的なスピーチには「equal」という単語が何度も出てきますが、これは男性と女性の平等だけでなく、英語が話せる人間と話せない人間、ゲイとストレート、アメリカ人とメキシコ人、インド人、韓国人といった外国人たちといったいろいろな人同士の関係も指しているのですよね。それまでに出てきた色々なエピソードからそれがわかるように作られています。
シャシが入学したクラスに集う生徒たちが人種も性格も多種多様で、それぞれの性格付けやキャスティングが絶妙。平板な一枚岩になってしまいそうな授業の場面をいきいきと面白くしています。シャシを応援する大学生の姪もキラッと光るものを持っていて、画面を明るくしていました。ああいうオーラがあるとないとでは印象がずいぶん違ってくると思う。
シャシが初めてひとりで入ったカフェで酷い目に遭うシーンは、海外に初めて行った経験のある人ならだれでもが、多かれ少なかれ似たような思いをしたことを思い出すんじゃないかな。もっとも、相手が外国人とわかっていながらあそこまで意地悪くする店員はいないし、周囲のアメリカ人だって全員が冷たいってことはないと思うけど。
それにしても、インドに住んでいても英語が話せないとこんなに馬鹿にされるなんて知りませんでした。元イギリス植民地だからなんでしょうけど、日本でも今みたいに子どもに英会話を教えることが最重要事項みたいな考え方をしていると、やがてはあんな社会になっちゃうかもよ。
シャシ役の人が美人すぎて、若すぎて、ちょっと無理があるんじゃな~い?と思いながら見ていたのですが、バイオを見たらなんと1963年生まれ! えーーーーーーっ! そのシャシの夫を演じたのは「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」に出ていた人(主人公の父親役)でした。そして監督はなんと1974年生まれ、39歳の女性です。なるほどなあ、今を生きる女性だから、こういう映画が作れたんですね。
公式サイトはこちら。
マダム イン ニューヨーク(字幕版)
原題:English Vinglish(2012)
上映時間:134 分
製作国:インド
監督:ガウリ・シンデー
出演:シュリデヴィ、アディル・フセイン、メーディ・ネブー、プリヤ・アーナンド、アミターブ・バッチャンほか。
by timeturner
| 2014-09-29 18:02
| 映画
|
Comments(5)
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by
ikko
at 2014-09-29 18:21
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私も夏にみましたよ。マダムのせりふの一言、一言に心が洗われる気がしました。たまには、こういうのもいいですね。
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timeturner at 2014-09-29 18:42
ikkoちゃん、コメント早い!
あのスピーチのときは涙が止まりませんでした。どんなに下手で訥々とした英語でも、話に中身があればいいんだとしっかりわからせてくれましたよね。同じくインド映画の「めぐり逢わせのお弁当」はこれよりもっといいという噂なので見なくちゃと思っています。
あのスピーチのときは涙が止まりませんでした。どんなに下手で訥々とした英語でも、話に中身があればいいんだとしっかりわからせてくれましたよね。同じくインド映画の「めぐり逢わせのお弁当」はこれよりもっといいという噂なので見なくちゃと思っています。
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八朔
at 2014-09-29 21:40
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やはり、良かったですか。「マダム・イン。ニューヨーク」私も観たくなっきました。急がないと終わってしまいますね。
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ikko
at 2014-09-29 23:01
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「めぐり遭わせのお弁当」も見たの。こちらは、ちょっと考えさせられました。timeturnerさんの感想が楽しみ。
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timeturner at 2014-09-29 23:43