2014年 04月 03日
夏の庭 The Friends |
小学六年生の木本、河辺、山下は仲良しコンビ。性格はまったく違うが、なぜか気が合って、いつもつるんでいる。ある日、山下が祖母の葬式に出たことで、三人は死に対して恐怖と好奇心がまじりあった感情をもつ。近所にひとりで暮らしす老人がもうすぐ死にそうだというのを耳にして、見張ることにした。死体の第一発見者になろうというのだ・・・。
よく書けてるなあ。三人の少年の個性、それぞれの家庭の事情、学校での立ち位置など、書きすぎることなく簡潔に、それでいて、ここぞというところには細やかなエピソードが織り込まれていて、ぼんやりした読者が気づかずに通り過ぎないようになっている。ほどよく、おしつけがましくない程度にね。
それにしても、小学校六年生ってこんなに子どもっぽい存在だったんでしょうか。もう、その時代から半世紀以上も過ぎてしまった私にははっきり思い出せません。今どきの子どもは妙にひねこびていたり、気をつかったり、さめていたりするように見えるけど、芯のところはまだ脆くて柔らかくて、簡単に壊れもするし、形を変えもするんですね。そう考えると、大人の責任は重大だと思う。
読み始めのころは、核家族が増えて《死》に直面することのなくなった子どもたちに、死と向かい合う覚悟をつけさせるたぐいの話かなと思っていたのですが、それよりはむしろ生き方を考えさせる内容でした。それと、老いを怖がらない、厭わないということ。今みたいにやたらアンチエイジングが叫ばれる時代には、これもまた大切なことかも。老い=絶対に避けたいもの、みたいな考え方に傾きがちで、それが行き過ぎるとなんらかの形の姥捨て山に発展しそうです。
まあ、そんなお題目は無視しても、子どもから大人へと変わっていく少年時代のひと夏を生き生きと描いたお話として楽しく読むことができます。私も子どもの頃にこういう本を読みたかったなあ。もうちょっとましな大人になれたかも。いや、無理かな。
巻末の解説を読んで思い出したのですが、これって映画化されたんですよね。その映画を観たいと思った記憶がおぼろげにあります。つまり、私の好みの話だってことだ。
夏の庭―The Friends (新潮文庫)
作者:湯本香樹実
出版社:新潮社
ISBN:4101315116
よく書けてるなあ。三人の少年の個性、それぞれの家庭の事情、学校での立ち位置など、書きすぎることなく簡潔に、それでいて、ここぞというところには細やかなエピソードが織り込まれていて、ぼんやりした読者が気づかずに通り過ぎないようになっている。ほどよく、おしつけがましくない程度にね。
それにしても、小学校六年生ってこんなに子どもっぽい存在だったんでしょうか。もう、その時代から半世紀以上も過ぎてしまった私にははっきり思い出せません。今どきの子どもは妙にひねこびていたり、気をつかったり、さめていたりするように見えるけど、芯のところはまだ脆くて柔らかくて、簡単に壊れもするし、形を変えもするんですね。そう考えると、大人の責任は重大だと思う。
読み始めのころは、核家族が増えて《死》に直面することのなくなった子どもたちに、死と向かい合う覚悟をつけさせるたぐいの話かなと思っていたのですが、それよりはむしろ生き方を考えさせる内容でした。それと、老いを怖がらない、厭わないということ。今みたいにやたらアンチエイジングが叫ばれる時代には、これもまた大切なことかも。老い=絶対に避けたいもの、みたいな考え方に傾きがちで、それが行き過ぎるとなんらかの形の姥捨て山に発展しそうです。
まあ、そんなお題目は無視しても、子どもから大人へと変わっていく少年時代のひと夏を生き生きと描いたお話として楽しく読むことができます。私も子どもの頃にこういう本を読みたかったなあ。もうちょっとましな大人になれたかも。いや、無理かな。
巻末の解説を読んで思い出したのですが、これって映画化されたんですよね。その映画を観たいと思った記憶がおぼろげにあります。つまり、私の好みの話だってことだ。
夏の庭―The Friends (新潮文庫)
作者:湯本香樹実
出版社:新潮社
ISBN:4101315116
by timeturner
| 2014-04-03 17:24
| 和書
|
Comments(5)
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八朔
at 2014-04-05 20:10
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私も「夏の庭」好きです。
小学校5~6年生が、夏休みに読書感想文を書く時に、よく選んでいる本だと思います。
この本を読んでから、コスモスが好きになって、いつも夏前には、種をまこう!と思うのですが、忘れてしまい、秋になって思い出します。
小学校5~6年生が、夏休みに読書感想文を書く時に、よく選んでいる本だと思います。
この本を読んでから、コスモスが好きになって、いつも夏前には、種をまこう!と思うのですが、忘れてしまい、秋になって思い出します。
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timeturner at 2014-04-06 20:21
へえ、小学生が読むように学校でも方向づけられているんですね。確かに、子どもにも読みやすいし、感想文も書きやすいかも。子どもが読んだあとに親も読んで、それぞれに考えることもできますね。
コスモスはよく空地にたくさん咲いてますけど、雑草みたいに丈夫で繁殖力が強いってことなのかな。だったら、少し蒔けば、あとは自然に増えてくれそうですね(^^)。
コスモスはよく空地にたくさん咲いてますけど、雑草みたいに丈夫で繁殖力が強いってことなのかな。だったら、少し蒔けば、あとは自然に増えてくれそうですね(^^)。
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八朔
at 2014-04-06 22:41
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書き方を失敗しました。
宿題は、何の本を読んでもOKなことが多くて、夏休みの読書感想文に、「夏の庭」を選ぶ子が結構いますって意味でした。
コスモス、一度撒いてしまったら、ハナニラのように毎年、生えてきてくれるかしら。やってみよう。
宿題は、何の本を読んでもOKなことが多くて、夏休みの読書感想文に、「夏の庭」を選ぶ子が結構いますって意味でした。
コスモス、一度撒いてしまったら、ハナニラのように毎年、生えてきてくれるかしら。やってみよう。
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timeturner at 2014-04-07 07:02
あ、そうだったんですね。でも、学校側である程度の数の本をリスティングして参考に出したりすることもあるんじゃないかな。なんか、そういうリストに載ってることを謳った広告を見たことがあるような気がします。
コスモスにお庭をのっとられないようにね(^^)。
コスモスにお庭をのっとられないようにね(^^)。
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八朔
at 2014-04-07 09:04
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確かに、「〇年生にお勧めの本」というプリントを長い休みの前にもらってくるのですが、その中に入っていたような気がします^^