2014年 03月 19日
黒後家蜘蛛の会<2> |
文字が小さいとか文句を言いながら、結局1~5まで全部読んでしまいました。読みたい気持ちが強ければ、文字の小ささなどは克服できるということでしょうか。いやでも、やっぱり大きくしてほしいです。>出版社各位
最後に読んだからというわけではなく、この巻がいちばんミステリーらしいミステリーが多いような気がしました。黒後家物を書きなれてペースがつかめてきた頃の作品だからかな。後期の作品の中にはミステリー専門ではない作家だから書けたもの(書いたもの)がけっこう多いと思うのですが、この巻にあるのはアシモフが何度か言及しているクリスティーやチェスタトンに近いものが多い。つまり、ふつうに生きている人間の知識だけで十分に追っていける謎解きで、ゆったりくつろいで読める。
「追われてもいないのに」のゲスト作家は、こりゃアシモフ自身をモデルにしてるなと思いながら読みましたが、作者あとがきを読んだらやっぱりそうでした。もちろん、大袈裟に受け狙いに書いてありますけど。自分を書いたものだからか、この話のトリックはとても自然でよく書けていました。
「殺しの噂」はねえ、ネタバレになるので書けないのがもどかしいのですが、これは私、途中でわかりましたですよ、ええ。原文で読んだらもっと一目瞭然だったかも。それなのにこの作品は読者になじみがないことを扱っているという理由でEQMの編集長に没にされたのだそうで、いやあ、時代というのは面白いですね。今だったらなじみのない人はまずいないテーマなのに。
時代の移り変わりといえば、1974年に「禁煙」を書いたアシモフは、現代アメリカの禁煙状況について大いに溜飲を下げていることでしょう。
黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)
原題:More Tales of the Black Widowers
作者:アイザック・アシモフ
訳者:池 央耿
出版社:東京創元社
ISBN:4488167020
最後に読んだからというわけではなく、この巻がいちばんミステリーらしいミステリーが多いような気がしました。黒後家物を書きなれてペースがつかめてきた頃の作品だからかな。後期の作品の中にはミステリー専門ではない作家だから書けたもの(書いたもの)がけっこう多いと思うのですが、この巻にあるのはアシモフが何度か言及しているクリスティーやチェスタトンに近いものが多い。つまり、ふつうに生きている人間の知識だけで十分に追っていける謎解きで、ゆったりくつろいで読める。
追われてもいないのに (When No Man Pursueth)とはいえ、最後のほうになると、暦の薀蓄がどっさり出てくる「十三日金曜日」や天文学の知識が満載の「終局的犯罪」といった、門外漢の私は骨を折らないと話を追えないようなものも出てきます。「終局的犯罪」はシャーロック・ホームズおよびシャーロッキアンを中心にすえた話だというので楽しみにしていたんですけど、ちょっと期待はずれでした。アシモフもその一部である《ベイカー・ストリート・イレギュラーズ》のマニアぶりには驚かされましたけど。
電光石火 (Quicker Than the Eye)
鉄の宝玉 (The Iron Gem)
三つの数字 (The Three Numbers)
殺しの噂 (Nothing Like Murder)
禁煙 (No Smoking)
時候の挨拶 (Season's Greetings!)
東は東 (The One and Only East)
地球が沈んで宵の明星が輝く (Earthset and Evening Star)
十三日金曜日 (Friday the Thirteenth)
省略なし (The Unabridged)
終局的犯罪 (The Ultimate Crime)
「追われてもいないのに」のゲスト作家は、こりゃアシモフ自身をモデルにしてるなと思いながら読みましたが、作者あとがきを読んだらやっぱりそうでした。もちろん、大袈裟に受け狙いに書いてありますけど。自分を書いたものだからか、この話のトリックはとても自然でよく書けていました。
「殺しの噂」はねえ、ネタバレになるので書けないのがもどかしいのですが、これは私、途中でわかりましたですよ、ええ。原文で読んだらもっと一目瞭然だったかも。それなのにこの作品は読者になじみがないことを扱っているという理由でEQMの編集長に没にされたのだそうで、いやあ、時代というのは面白いですね。今だったらなじみのない人はまずいないテーマなのに。
時代の移り変わりといえば、1974年に「禁煙」を書いたアシモフは、現代アメリカの禁煙状況について大いに溜飲を下げていることでしょう。
黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)
原題:More Tales of the Black Widowers
作者:アイザック・アシモフ
訳者:池 央耿
出版社:東京創元社
ISBN:4488167020
by timeturner
| 2014-03-19 15:38
| 和書
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