2014年 01月 28日
幽霊の友だちをすくえ |
お母さんとふたりで暮らすミンティには、幼い頃からほかの人の目に見えないものを感じる能力があった。夏休みにメアリーおばさんの家に預けられたミンティは、近くにある古い館の庭で、昔の世界に住む少年トムと出会った・・・。
いやあ、上手だねえ、クレスウェル。幽霊話とタイムファンタジーをうまくミックスして、とてもリアルでエキサイティングな話に仕立てています。
ミンティが出会う過去の少年は本名はエドワードなのに、なぜかトムだと名乗る。そ、そ、それって、ひょっとして『トムは真夜中の庭で』へのオマージュなのでは?! だって、出会うのは美しい庭園だし、ふたりとも相手が幽霊だと言い張って相手の体に手を通そうとしたりするんですよ。これって、完全にトムとハティの役割を交換させてますよね。そういえば、ミンティとハティというのも似てるじゃないか。
だからといって、決して亜流にはなっていません。クレスウェルの作品で楽しいのは主人公である子供たちが大人の目で描いた子供ではなく、現実の子供そのものであること。だから、ミンティが言うことはこちらの意表をついていて、「そうか、子供だったら確かにこう考えるよな」と納得させられつつ笑ってしまうのです。
ミス・レイブンという薄気味の悪い登場人物を出すことで、ホラー風味をつけているのもうまい。そういえばルーシー・M・ボストンの『グリーン・ノウの魔女』に似た怖さだな。
物語の舞台になっているベルトン・ハウスは実在の場所で、ナショナルトラストの管理下にあるのだそうです。『ポリーの秘密の世界』もそうでしたが、この作品もBBCがTVドラマ化していて、本物のベルトン・ハウスで撮影が行われたのだそうです。
幽霊の友だちをすくえ (ジュニア・ライブラリー)
原題:Moondial
作者:ヘレン・クレスウェル
イラスト:パトリック・J. リンチ
訳者:岡本浜江
出版社:大日本図書
ISBN:4477000642
いやあ、上手だねえ、クレスウェル。幽霊話とタイムファンタジーをうまくミックスして、とてもリアルでエキサイティングな話に仕立てています。
ミンティが出会う過去の少年は本名はエドワードなのに、なぜかトムだと名乗る。そ、そ、それって、ひょっとして『トムは真夜中の庭で』へのオマージュなのでは?! だって、出会うのは美しい庭園だし、ふたりとも相手が幽霊だと言い張って相手の体に手を通そうとしたりするんですよ。これって、完全にトムとハティの役割を交換させてますよね。そういえば、ミンティとハティというのも似てるじゃないか。
だからといって、決して亜流にはなっていません。クレスウェルの作品で楽しいのは主人公である子供たちが大人の目で描いた子供ではなく、現実の子供そのものであること。だから、ミンティが言うことはこちらの意表をついていて、「そうか、子供だったら確かにこう考えるよな」と納得させられつつ笑ってしまうのです。
ミス・レイブンという薄気味の悪い登場人物を出すことで、ホラー風味をつけているのもうまい。そういえばルーシー・M・ボストンの『グリーン・ノウの魔女』に似た怖さだな。
物語の舞台になっているベルトン・ハウスは実在の場所で、ナショナルトラストの管理下にあるのだそうです。『ポリーの秘密の世界』もそうでしたが、この作品もBBCがTVドラマ化していて、本物のベルトン・ハウスで撮影が行われたのだそうです。
幽霊の友だちをすくえ (ジュニア・ライブラリー)
原題:Moondial
作者:ヘレン・クレスウェル
イラスト:パトリック・J. リンチ
訳者:岡本浜江
出版社:大日本図書
ISBN:4477000642
by timeturner
| 2014-01-28 19:00
| 和書
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