2014年 01月 12日
美味しい革命―アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと |
1960年代のカリフォルニア州バークレー。既成の体制を崩そうとする風潮が強まる中、フランス留学でおいしい料理にめざめて帰国したアリス・ウォータースは、レストランをオープンすることを決意した・・・。地元の食材を使ったおいしい料理と気楽な雰囲気の店をめざして開いたシェ・パニースが、全米ナンバーワンに輝く「奇跡のレストラン」となるまでのストーリー。
本を手にしたとき、その厚さ(441ページ)に驚き、たった一軒のレストランの話でどうしてそんなに?と思ったのですが、読んでみると、単なるレストランの話ではなく、ヒッピー・ムーヴメントの頃から現代まで、アメリカの食文化の変遷をも視野に入れた内容でした。
シェ・パニースでは一度だけ食事をしたことがあります。ランチだったので、この本に書かれているような凝った料理ではありませんでしたが、オレンジジュースとサラダ野菜のおいしさに倒れそうになりました。調理ではなく素材を褒めてることになりますが、あれほどの素材はそれまでも、そのあとも口にした記憶はありません。
だから当然、シェ・パニースはそういう路線(素材にこだわり、自家農園で栽培・飼育する)で最初からやってきたのかと思っていたのですが、さまざまな方向性を模索し、いろいろと失敗も重ねながら今の形を築き上げたのですね。
それにしても、店主のアリス・ウォータースのこだわりと頑張りには驚かされます。まわりの人たちは大変だったろうなと思うのですが、みんなそれを受け入れているようなのにも驚く。まあ、結果的に成功したからというのもあるでしょうが、やはりそれだけ魅力のある、カリスマ的な人なんでしょう。味覚が鋭いこと、しっかりした料理哲学をもち、決して妥協しないことが成功の秘訣かな。
それと、ジェイミー・オリヴァーもそうだけど、食の世界を究めた人って最終的には食育に行きつくんですね。まあ、当然の帰結と言えるのでしょうが。
私が行ったときは日本人シェフだったような気がしますが、シェ・パニースのシェフの変遷も凄い。というか、初期の頃なんて素人ばかり雇って、それでうまくいっちゃうというのが信じられない。よけいなお世話ですが、アメリカには調理師免許とか必要じゃないんでしょうか。挿入されている写真で、シェフもその助手(ヒゲぼうぼう)も帽子やマスクなど衛生上必要と思われるものを何も身につけていないのにもちょっと引いた。そういえば、本文で批評家が「ここは本当のレストランじゃない、お金をとってお客に料理をだしている家庭だ」と言っていましたが、まさにそういうスタンスなんですね。
読んでいると次から次へとおいしそうなものが出てくるので、ふだんは料理などほとんどしない私が、妙にまめになって食材を買い込み、あれこれ作ったりしました。レシピもいくつか紹介されていましたが、さすがにそれは無理。
美味しい革命 アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと
原題:Alice Waters and Chez Paniesse
作者:トーマス・マクナミー
訳者:萩原治子
出版社:早川書房
ISBN:4152093803
本を手にしたとき、その厚さ(441ページ)に驚き、たった一軒のレストランの話でどうしてそんなに?と思ったのですが、読んでみると、単なるレストランの話ではなく、ヒッピー・ムーヴメントの頃から現代まで、アメリカの食文化の変遷をも視野に入れた内容でした。
シェ・パニースでは一度だけ食事をしたことがあります。ランチだったので、この本に書かれているような凝った料理ではありませんでしたが、オレンジジュースとサラダ野菜のおいしさに倒れそうになりました。調理ではなく素材を褒めてることになりますが、あれほどの素材はそれまでも、そのあとも口にした記憶はありません。
だから当然、シェ・パニースはそういう路線(素材にこだわり、自家農園で栽培・飼育する)で最初からやってきたのかと思っていたのですが、さまざまな方向性を模索し、いろいろと失敗も重ねながら今の形を築き上げたのですね。
それにしても、店主のアリス・ウォータースのこだわりと頑張りには驚かされます。まわりの人たちは大変だったろうなと思うのですが、みんなそれを受け入れているようなのにも驚く。まあ、結果的に成功したからというのもあるでしょうが、やはりそれだけ魅力のある、カリスマ的な人なんでしょう。味覚が鋭いこと、しっかりした料理哲学をもち、決して妥協しないことが成功の秘訣かな。
それと、ジェイミー・オリヴァーもそうだけど、食の世界を究めた人って最終的には食育に行きつくんですね。まあ、当然の帰結と言えるのでしょうが。
私が行ったときは日本人シェフだったような気がしますが、シェ・パニースのシェフの変遷も凄い。というか、初期の頃なんて素人ばかり雇って、それでうまくいっちゃうというのが信じられない。よけいなお世話ですが、アメリカには調理師免許とか必要じゃないんでしょうか。挿入されている写真で、シェフもその助手(ヒゲぼうぼう)も帽子やマスクなど衛生上必要と思われるものを何も身につけていないのにもちょっと引いた。そういえば、本文で批評家が「ここは本当のレストランじゃない、お金をとってお客に料理をだしている家庭だ」と言っていましたが、まさにそういうスタンスなんですね。
読んでいると次から次へとおいしそうなものが出てくるので、ふだんは料理などほとんどしない私が、妙にまめになって食材を買い込み、あれこれ作ったりしました。レシピもいくつか紹介されていましたが、さすがにそれは無理。
美味しい革命 アリス・ウォータースと〈シェ・パニース〉の人びと
原題:Alice Waters and Chez Paniesse
作者:トーマス・マクナミー
訳者:萩原治子
出版社:早川書房
ISBN:4152093803
by timeturner
| 2014-01-12 19:45
| 和書
|
Comments(0)