2013年 11月 13日
魔少女ビーティー・ボウ |
シドニーの超高層マンションに母親とふたりで暮らす14歳のアビゲールは、気が強く誰にも心を開かない少女だった。父親が若い女性と不倫をして家を出ていったことで傷つき、恨みに思っていたのだ。ある日、遊び場で子どもたちがビーティ・ボウごっこをしているのを見ているときに見慣れないぼうず頭の少女をみかけ、その子を追いかけていくと、なぜかヴィクトリア朝のシドニー、波止場近くのロックス地区にまぎれこんでしまう・・・。
タイム・スリップ物のひとつです。『トムは真夜中の庭で』や『The House of Arden』『Harding's Luck』などと違い、アビゲールは望んで過去に戻ったわけでも、そこでの暮らしを楽しんでもいません。
非衛生、犯罪、貧困、無知がはびこる下町での暮らしに、現代に暮らす私たちが感じるのと同じショックと嫌悪感を抱きます。でも、それと同時に、現代には失われてしまった住民同士の助け合いの精神に心をうたれたり、恋を知ることでそれまでは自分のことしか考えられなかった石のような心に大きな変化が訪れたりします。
児童文学で恋愛が出てくるのはあまり好きではないのですが、ここではそれがとても自然に、かつ人間の成長にとって大切なこととしてきちんと描かれているので好感がもてました。
前にシドニーに行ったとき、ロックスのあたりを一日かけて歩きまわり、ロックスの歴史を展示している博物館にも行ったので、話に出てくる風景を思い浮かべることができ、より楽しめました。アビゲールが住んでいるミッチェルという高層マンションも実際にあるのかな。
しかし、この邦題はなんとかならなかったものか? 魔少女って何って感じです。
魔少女ビーティー・ボウ
原題:Playing Beatie Bow
作者:ルース・パーク
訳者:加島 葵
出版社:新読書社
ISBN:4788090090
タイム・スリップ物のひとつです。『トムは真夜中の庭で』や『The House of Arden』『Harding's Luck』などと違い、アビゲールは望んで過去に戻ったわけでも、そこでの暮らしを楽しんでもいません。
非衛生、犯罪、貧困、無知がはびこる下町での暮らしに、現代に暮らす私たちが感じるのと同じショックと嫌悪感を抱きます。でも、それと同時に、現代には失われてしまった住民同士の助け合いの精神に心をうたれたり、恋を知ることでそれまでは自分のことしか考えられなかった石のような心に大きな変化が訪れたりします。
児童文学で恋愛が出てくるのはあまり好きではないのですが、ここではそれがとても自然に、かつ人間の成長にとって大切なこととしてきちんと描かれているので好感がもてました。
前にシドニーに行ったとき、ロックスのあたりを一日かけて歩きまわり、ロックスの歴史を展示している博物館にも行ったので、話に出てくる風景を思い浮かべることができ、より楽しめました。アビゲールが住んでいるミッチェルという高層マンションも実際にあるのかな。
しかし、この邦題はなんとかならなかったものか? 魔少女って何って感じです。
魔少女ビーティー・ボウ
原題:Playing Beatie Bow
作者:ルース・パーク
訳者:加島 葵
出版社:新読書社
ISBN:4788090090
by timeturner
| 2013-11-13 22:35
| 和書
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