2013年 10月 11日
ライトニングが消える日 |
ロンドンに近い郊外からノーフォークの田舎に引っ越してきたアンドルーは、引越し早々家の上空を低空飛行する戦闘機の爆音に驚かされた。夏休みまであと2週間というときに転校した学校で親しくなったビクターは航空機オタクで、特にライトニングに夢中だ。ビクターに連れられて近くの航空基地まで行ったり、一緒に自由課題で航空機のことを調べたりして夏休みはすぎていく・・・。カーネギー賞受賞作。
『夏・みじかくて長い旅』がトラウマになって、なかなかこれを読む気がおきなかったのですが、読み始めてみたらめっちゃ面白いじゃないか。三辺律子さんは『こわいものなんて何もない』『バスにのらないひとたち』『てのひらに毛がはえるとき』とジャン・マークは何冊も訳しているからよくわかっていて、安心して読めました。
主人公はアンドルーだけど、どちらかというとアンドルーは影が薄く、両親や赤ん坊の弟、ビクターとその家族、町の人々といった周りの人々の姿がアンドルーの目を通してくっきり描き出されていきます。
子どもの視点だから時には理解できないこともあるけれど、そういうときはたまたまそこにいた大人がさりげなく説明するか、あるいはわからないままで終わることもあります。あくまでも自然体で、何かを教えようとか考えさせようといった意図が感じられないのがいい。
ほのかで押しつけがましくないユーモアといい、厭世的にならない程度の諦観といい、ジャン・マークの書く小説にはなんとなくケン・ローチの映画の空気を感じます。イギリスでなくては生れようがない空気。
これ、映画にしたらすごくよさそうだなあ。ハリウッド映画ではなくて、「リトル・ランボーズ」みたいな低予算のイギリス映画でね。
ライトニングが消える日
原題:Thunder and Lightnings
作者:ジャン・マーク
イラスト:塩田雅紀
訳者:三辺律子
出版社:パロル舎
ISBN:4894192543
『夏・みじかくて長い旅』がトラウマになって、なかなかこれを読む気がおきなかったのですが、読み始めてみたらめっちゃ面白いじゃないか。三辺律子さんは『こわいものなんて何もない』『バスにのらないひとたち』『てのひらに毛がはえるとき』とジャン・マークは何冊も訳しているからよくわかっていて、安心して読めました。
主人公はアンドルーだけど、どちらかというとアンドルーは影が薄く、両親や赤ん坊の弟、ビクターとその家族、町の人々といった周りの人々の姿がアンドルーの目を通してくっきり描き出されていきます。
子どもの視点だから時には理解できないこともあるけれど、そういうときはたまたまそこにいた大人がさりげなく説明するか、あるいはわからないままで終わることもあります。あくまでも自然体で、何かを教えようとか考えさせようといった意図が感じられないのがいい。
ほのかで押しつけがましくないユーモアといい、厭世的にならない程度の諦観といい、ジャン・マークの書く小説にはなんとなくケン・ローチの映画の空気を感じます。イギリスでなくては生れようがない空気。
これ、映画にしたらすごくよさそうだなあ。ハリウッド映画ではなくて、「リトル・ランボーズ」みたいな低予算のイギリス映画でね。
ライトニングが消える日
原題:Thunder and Lightnings
作者:ジャン・マーク
イラスト:塩田雅紀
訳者:三辺律子
出版社:パロル舎
ISBN:4894192543
by timeturner
| 2013-10-11 20:34
| 和書
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