2013年 06月 27日
ジョン・ダイアモンド |
ハーフォードの大きな屋敷で両親、姉二人と何不自由のない暮らしをしてきた十二歳のウィリアムは、厳しい父が死の直前に打ち明けた言葉に衝撃を受けた。かつてダイアモンドなる人物を騙して大金を手に入れたというのだ。葬儀のあとで父の金時計をめぐって大嫌いな叔父と衝突したウィリアムは、家族の誤解をとくためにもロンドンに行ってダイアモンド氏を探し出し、謝罪しなければならないと決心した・・・。1980年度ウィットブレッド賞受賞作。
国内の毛織産業振興のために、死者にはウールの帷子を着せて埋葬すべしなんて法律があった時代(訳者あとがきによると17世紀終わりから19世紀初めまで)の話ですから、先日読んだ『海時計職人ジョン・ハリソン』が生きた18世紀あたりでしょうね。
読んでいてそれほど古臭さは感じませんが、ロンドンのごみごみした下町の様子や、ディケンズの小説にでも出てきそうな浮浪児たちの世界は今の子どもにはちょっと理解できないかもしれない。レオン・ガーフィールドの作品はどれもみんな面白いのですが、たいていはこの点がネックになって日本ではあまり受け入れられていないような気がします。古い時代のイギリスが好きな大人には大いに楽しめるのですけどねえ。
世間知らずな少年が世間に出ていって、さまざまな経験をする中で人間性や世の中のことを学んでいくわけですが、タイトルになっているジョン・ダイアモンドを初め、登場人物たちの誰ひとりとして単純に善か悪かで切り分けられるような人物にしていないのはさすがです。
誰もが心の中にいいところ、悪いところをあわせもっていて、できるものならその良いほうを信じていきたいという、理想主義的な作者の思いがじんじん伝わってきます。最後のほうのショットヘッドのエピソードなんて、ほろっとしてしまいました。
ジョン・ダイアモンド (心の児童文学館シリーズ (3第3巻))
原題:John Diamond
作者:レオン・ガーフィールド
イラスト:アントニイ・メイトランド
訳者:沢登君恵
出版社:ぬぷん児童図書出版
ISBN:4889751335
国内の毛織産業振興のために、死者にはウールの帷子を着せて埋葬すべしなんて法律があった時代(訳者あとがきによると17世紀終わりから19世紀初めまで)の話ですから、先日読んだ『海時計職人ジョン・ハリソン』が生きた18世紀あたりでしょうね。
読んでいてそれほど古臭さは感じませんが、ロンドンのごみごみした下町の様子や、ディケンズの小説にでも出てきそうな浮浪児たちの世界は今の子どもにはちょっと理解できないかもしれない。レオン・ガーフィールドの作品はどれもみんな面白いのですが、たいていはこの点がネックになって日本ではあまり受け入れられていないような気がします。古い時代のイギリスが好きな大人には大いに楽しめるのですけどねえ。
世間知らずな少年が世間に出ていって、さまざまな経験をする中で人間性や世の中のことを学んでいくわけですが、タイトルになっているジョン・ダイアモンドを初め、登場人物たちの誰ひとりとして単純に善か悪かで切り分けられるような人物にしていないのはさすがです。
誰もが心の中にいいところ、悪いところをあわせもっていて、できるものならその良いほうを信じていきたいという、理想主義的な作者の思いがじんじん伝わってきます。最後のほうのショットヘッドのエピソードなんて、ほろっとしてしまいました。
ジョン・ダイアモンド (心の児童文学館シリーズ (3第3巻))
原題:John Diamond
作者:レオン・ガーフィールド
イラスト:アントニイ・メイトランド
訳者:沢登君恵
出版社:ぬぷん児童図書出版
ISBN:4889751335
by timeturner
| 2013-06-27 21:21
| 和書
|
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