2013年 05月 05日
動く指 |
軍のパイロットであるジェリー・バートンは勤務中に怪我をして、田舎で静かに療養するため小さな村の屋敷を借りて妹ジョアナともに腰を落ち着けた。平和で退屈な村で静かに暮らすつもりだったのだが、すぐに悪意と中傷に満ちた匿名の手紙が村の住民たちに届きだし、陰口、噂話、疑心暗鬼が村を覆った。そしてやがて弁護士の夫人が服毒自殺を・・・。
ミス・マープル物のはずなのにいつまでたってもミス・マープルが出てこないので間違えたのかと思っちゃいました。4分の3くらいまでは語り手のジェリーから見た事件のあれこれが語られるのですが、いいとこのお坊っちゃんでお金には不自由していないこのジェリー君、おっとりしすぎていておよそ鋭いところがない。クリスティーの作品によく出てくるタイプの青年ですね。
でも、ヘイスティングス青年に感じるほどのいらいらは感じなかったのは、最後のほうでミス・マープルが言っているように、気づかぬうちに大切なことを察知している感受性を持った人物だからかな。言いたいことを言い合えるジョアナとのやりとりは愉快だし、ふたりがそれぞれにお似合いの相手をみつける様子も楽しめます。
犯人は(私にとっては)思いもかけない人でしたが、説明されてみればなるほどと納得できる。ただ、今回はミス・マープルの推理する部分が少なかったためか、推理小説としての爽快な後味みたいなものはなかった。むしろミステリー風のラブコメといった感じ?
動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
原題:The Moving Finger
作者:アガサ・クリスティー
訳者:高橋 豊
出版社:早川書房
ISBN:4151300376
ミス・マープル物のはずなのにいつまでたってもミス・マープルが出てこないので間違えたのかと思っちゃいました。4分の3くらいまでは語り手のジェリーから見た事件のあれこれが語られるのですが、いいとこのお坊っちゃんでお金には不自由していないこのジェリー君、おっとりしすぎていておよそ鋭いところがない。クリスティーの作品によく出てくるタイプの青年ですね。
でも、ヘイスティングス青年に感じるほどのいらいらは感じなかったのは、最後のほうでミス・マープルが言っているように、気づかぬうちに大切なことを察知している感受性を持った人物だからかな。言いたいことを言い合えるジョアナとのやりとりは愉快だし、ふたりがそれぞれにお似合いの相手をみつける様子も楽しめます。
犯人は(私にとっては)思いもかけない人でしたが、説明されてみればなるほどと納得できる。ただ、今回はミス・マープルの推理する部分が少なかったためか、推理小説としての爽快な後味みたいなものはなかった。むしろミステリー風のラブコメといった感じ?
動く指 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
原題:The Moving Finger
作者:アガサ・クリスティー
訳者:高橋 豊
出版社:早川書房
ISBN:4151300376
by timeturner
| 2013-05-05 22:22
| 和書
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