2013年 03月 15日
列のなかの男―グラント警部最初の事件 |
評判のミュージカルの最終公演を観るための列に並んでいた若い男が何者かに背後から刺されて死んでいた。列の前後にいた人間に聞き込みをしても犯人らしい男の目処はつかず、それどころか死んだ男の身元も判明せず、グラント警部は途方にくれた・・・。
ジョセフィン・テイが1929年にゴードン・ダヴィオッド名義でミステリ小説のコンテストに応募した作品で、彼女の実質的なデビュー作であり、グラント警部のデビュー作でもあります。ジョセフィン・テイとしてのデビュー作は『ロウソクのために一シリングを』。
いやあ若いです、グラント警部。ロンドンで疾走する車の列を縫い、スコットランドの沼地を走り、冷たい川に飛び込むなど、のちに(一時的ではありますが)病院のベッドで安楽椅子探偵になるとは想像もつかない肉体派ぶりを見せてくれます。
コンテスト応募作ということではりきったのか、さまざまな要素を盛り込みすぎた感があり、しかもそれが収束しないまま意外な結末で幕という、ミステリとしてはいささか不満が残る話でしたが、グラント警部の能力と魅力を知らしめるには申し分のない作りでした。テイはこれからグラント警部と長くつきあっていくつもりだったのでしょうね。明らかに1作ごとに使い捨てるキャラクターの扱いではない。
『To Love and Be Wise』(邦題『美の秘密』)では「They(グラントとマルタ) were both tall enough to see over the heads of a normal crowd.」、『時の娘』では「6フィート豊かの偉丈夫」という記述があるのに、この本では細身で中背となっているのはご愛嬌。間が20年あいているので、きっと成長したんですね(^^)。
列のなかの男―グラント警部最初の事件 (論創海外ミステリ)
原題:A Man in The Queue
作者:ジョセフィン・テイ
訳者:中島なすか
出版社:論創社
ISBN:4846006581
ジョセフィン・テイが1929年にゴードン・ダヴィオッド名義でミステリ小説のコンテストに応募した作品で、彼女の実質的なデビュー作であり、グラント警部のデビュー作でもあります。ジョセフィン・テイとしてのデビュー作は『ロウソクのために一シリングを』。
いやあ若いです、グラント警部。ロンドンで疾走する車の列を縫い、スコットランドの沼地を走り、冷たい川に飛び込むなど、のちに(一時的ではありますが)病院のベッドで安楽椅子探偵になるとは想像もつかない肉体派ぶりを見せてくれます。
コンテスト応募作ということではりきったのか、さまざまな要素を盛り込みすぎた感があり、しかもそれが収束しないまま意外な結末で幕という、ミステリとしてはいささか不満が残る話でしたが、グラント警部の能力と魅力を知らしめるには申し分のない作りでした。テイはこれからグラント警部と長くつきあっていくつもりだったのでしょうね。明らかに1作ごとに使い捨てるキャラクターの扱いではない。
『To Love and Be Wise』(邦題『美の秘密』)では「They(グラントとマルタ) were both tall enough to see over the heads of a normal crowd.」、『時の娘』では「6フィート豊かの偉丈夫」という記述があるのに、この本では細身で中背となっているのはご愛嬌。間が20年あいているので、きっと成長したんですね(^^)。
列のなかの男―グラント警部最初の事件 (論創海外ミステリ)
原題:A Man in The Queue
作者:ジョセフィン・テイ
訳者:中島なすか
出版社:論創社
ISBN:4846006581
by timeturner
| 2013-03-15 20:04
| 和書
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