2013年 01月 22日
スタイルズ荘の怪事件 |
旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズ大尉は、到着早々事件に巻きこまれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。不朽の名探偵の出発点となった著者の記念すべきデビュー作が新訳で登場!
えーっ、これがデビュー作なんですって? 信じられません。説得力のある人物造型といい、なめらかで隙のないストーリー展開といい、ベテラン作家の作品としか思えない。これだからこそミステリーの女王として長年君臨し続けられたんでしょうね。ほんとに天性の才能だったんだな。
これがデビュー作だと気づかなかった理由のひとつは、ヘイスティングスズがポアロと面識があって、過去になんらかの事件をともにしたかのように書かれていたから。そのへんの扱いも巧みです。初めてのキャラクターをまるでシャーロック・ホームズのように誰もが知っている名探偵だと思わせてしまい、期待を高める。おまけにそのキャラクターがイギリス人の常識からは大きくはずれたエキセントリックで愛嬌のあるおじさんというのも新鮮だったのでしょう。ホームズもそうだけど、主人公にはどこかにエキセントリックな部分、常識から外れた部分があったほうが話が面白くなります。それに、犯人探しだけでなく、人間の幸福にもきちんと気を配る人物であるというのも好感度大です。
それにしても、そのポアロの引き立て役であるヘイスティングズのおばかさんぶりには、大笑いしながらもいささか気の毒になりました。シンシアにプロポーズしたところなんかは、ちょっとドタバタ過ぎてやりすぎじゃないのとも思ったけど、面白いからまあいいか。こういう道化がいないとイギリスの田舎を舞台にした話は退屈になりがちですからね。
スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
原題:The Mysterious Affair at Styles
作者:アガサ・クリスティー
訳者:矢沢聖子
出版社:早川書房
ISBN:4151300015
えーっ、これがデビュー作なんですって? 信じられません。説得力のある人物造型といい、なめらかで隙のないストーリー展開といい、ベテラン作家の作品としか思えない。これだからこそミステリーの女王として長年君臨し続けられたんでしょうね。ほんとに天性の才能だったんだな。
これがデビュー作だと気づかなかった理由のひとつは、ヘイスティングスズがポアロと面識があって、過去になんらかの事件をともにしたかのように書かれていたから。そのへんの扱いも巧みです。初めてのキャラクターをまるでシャーロック・ホームズのように誰もが知っている名探偵だと思わせてしまい、期待を高める。おまけにそのキャラクターがイギリス人の常識からは大きくはずれたエキセントリックで愛嬌のあるおじさんというのも新鮮だったのでしょう。ホームズもそうだけど、主人公にはどこかにエキセントリックな部分、常識から外れた部分があったほうが話が面白くなります。それに、犯人探しだけでなく、人間の幸福にもきちんと気を配る人物であるというのも好感度大です。
それにしても、そのポアロの引き立て役であるヘイスティングズのおばかさんぶりには、大笑いしながらもいささか気の毒になりました。シンシアにプロポーズしたところなんかは、ちょっとドタバタ過ぎてやりすぎじゃないのとも思ったけど、面白いからまあいいか。こういう道化がいないとイギリスの田舎を舞台にした話は退屈になりがちですからね。
スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
原題:The Mysterious Affair at Styles
作者:アガサ・クリスティー
訳者:矢沢聖子
出版社:早川書房
ISBN:4151300015
by timeturner
| 2013-01-22 21:33
| 和書
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