2012年 12月 21日
Enoliteca I'Bini(エノリテカ イ・ビーニ) |
2ヶ月ほど前にここの料理についてのツイートと写真を見て心惹かれ、京都に行くときには是非と思っていたイタリアン・レストラン Enoliteca I'Bini。ひと晩に二組しか客をとらないという話なので、クリスマス前のこの時期には無理だろうなと思いながら関西在住の友人に予約を頼んだら、奇跡のようにとれてしまいました。あくる日からクリスマス・メニューになるので、どうせならそちらをと思う人が多かったのかも? 結局、当日の夜に食事をしていたのは私たちだけでした。
民家を利用した店と聞いてはいたのですが、それでも気づかずに通り過ぎてしまうようなひっそり目立たないたたずまい。銀閣寺のほうから哲学の道に沿って歩いてきて、途中で右に入った路地にあります。
通された部屋は元々は和室だったところに絨毯を敷き(各自の足元にふわふわの白い電気カーペットが敷いてある気遣いもうれしい)、低めのテーブルと椅子が置いてあります。床の間のしつらえや坪庭などは元の日本家屋のままで、和洋折衷の落ち着いた雰囲気。坪庭の中央に置かれた大きな壷には赤い実をつけたクリスマスホーリーや山帰来にモミの枝をたっぷりあしらったこれまた和洋折衷のアレンジメント。雨の晩だったのでしっとりと緑と赤が冴えていました。
ご夫婦ふたりだけでやっていらっしゃるようで、きりっとしたスーツ姿のシェフ夫人がサービスをしてくださいました。とても若く見えましたが、シェフの経歴(ピエモンテ、トスカーナなどヨーロッパで12年修業)から想像するに30代かな。
それぞれの前に置かれたガラスのマットの下に本日のメニューが敷かれているので、それを見ながらまず飲み物を決めました。といっても私は体調不良のためノンアルコール。お店でしぼった生姜汁を使ったというジンジャーエールにしました。これ、本当に「生姜!」という味がしておいしかったです。
素敵な入れ物で出てきたグリッシーニも美味。パンは写真を撮り忘れてしまったのですが、ガス穴の大きいもっちりしたタイプで、添えられてきた絞りたてのオリーブ油で食べるとたまらなくおいしい。私はまだ本調子ではなかったので、メニューのボリュームを考えてもパンなど食べてはいけなかったんですが、我慢できませんでした。パンはさすがに近所のお店のものだそうです。でも、こんなパンを売る店が近所にあるとは羨ましい。
メニューは以下の通り。
アシアカエビ、カリフラワーのデクリナツィオーネ(写真左)
Gamberi rossi con declinazione di cavolfiori
ニジマス、ハーブ、ホースラディッシュ風味の乳清(写真右)
Trota con erbe e spuma di siero di latte al rafano
カリフラワーというのはエビの向こうにある薄切りのものと、エビの下に敷いてあるソースの両方で、これがもうなんともたまらない舌触りと味わい。カリフラワー好きの私は悶絶しそうでした。
ニジマスは軽くスモークしてあるので身がしまって弾力があり、それと山葵風味のメレンゲが素晴らしい相性。
アオリイカ、小カブ(写真左)
Seppie scottato e rapa
アマダイ、ナッツ、リンゴ、コールラビ
Pesce amadai con cavolorapa, noci e mele
キタッラ、オマール海老、菜花
Spaghetti alla chitarra con astice e cima di rapa
アニョロッティ・ダル・プリン(写真右)
Agnolotti dal plin
アオリイカのほんのわずかの焼き目が味にアクセントをつけているのも見事だし、煮すぎず噛み応えを残しながらしっかり味のついた小カブのおいしさも忘れられない。緑色のソースはかぶの葉を使ったもの。
写真を忘れてしまったアマダイはカリカリに焼けた皮とナッツがメリハリの利いた食感を演出していました。ほろ苦いコールラビとリンゴの相性も最高。
キタッラというのは細いきしめんのようなパスタで、さくさくとでも形容したくなるような噛みごたえが面白い麺でした。この一品が唯一、私の好みより塩辛く感じましたが、友人ふたりは特に何も言っていなかったので私の体調のせいだったのかも。
アニョロッティもパスタの種類。まぶされているのはトリュフとパルミジャーノです。香りがよくてすごく贅沢な味わいでした。
蝦夷鹿
Sella di cervo alla brace
吉野葛のパンナコッタ、金柑
Panna cotta al kuzu con purea di mandarini cinesi
丹波栗のクレーマ、メレンゲのジェラート“モンテビアンコ”
"Montebianco" crema di marrone Tamba con gelato alla melinga
メインの蝦夷鹿は初めて食べましたが、牛ヒレ肉のように柔らかく、癖があるんじゃないかと心配していたのですが、癖というよりは濃厚な味わいでおいしくいただけました。赤いソースが何か聞くのを忘れてしまったのですが、フルーツ系の酸味のある味だったような記憶が。
なめらかな舌触りのパンナコッタも、パリッとしたメレンゲがのったジェラートも日本人向きの甘さ控えめの上品な味。おかげで最後の飲み物と一緒に出された小さなお菓子(マシュマロ、マカロン、ガナッシュ、パネトーネ)も入ってしまいました。あ、でも、私はパネトーネの小さな一切れだけが最後にどうしても入らず、残してしまったんだっけ。いまだに悔しい。あそこのパネトーネだから絶対おいしいに決まってるのに・・・。
友人たちは料理に合わせて白ワインと赤ワインを飲んでいましたが、私はジンジャーエールのあとに赤紫蘇ジュース、それからもう一度ジンジャーエール、そしてカモミールティーというヘルシーコースでした。
あまりのおいしさにうっとりしすぎて写真を撮るのを忘れてしまったものもありますが、とにかくどれをとっても繊細かつユニークで夢のようなお料理でした。西洋料理でこれほどおいしいものを食べたのは過去に1、2度しかありません。
ご覧のとおり、盛り付けも素晴らしく、目も舌も大満足。友人が予約を入れたときに、こちらの食べられないもの、アレルギーのあるものなど聞かれたあとで、食べ終わるまでに最低でも3時間はかかると言われたそうですが、なるほどゆったりと時間をとったサービスで、久しぶりに会った友人三人、心ゆくまで語らい、飲み、食べ、笑えました。
民家を利用した店と聞いてはいたのですが、それでも気づかずに通り過ぎてしまうようなひっそり目立たないたたずまい。銀閣寺のほうから哲学の道に沿って歩いてきて、途中で右に入った路地にあります。
通された部屋は元々は和室だったところに絨毯を敷き(各自の足元にふわふわの白い電気カーペットが敷いてある気遣いもうれしい)、低めのテーブルと椅子が置いてあります。床の間のしつらえや坪庭などは元の日本家屋のままで、和洋折衷の落ち着いた雰囲気。坪庭の中央に置かれた大きな壷には赤い実をつけたクリスマスホーリーや山帰来にモミの枝をたっぷりあしらったこれまた和洋折衷のアレンジメント。雨の晩だったのでしっとりと緑と赤が冴えていました。
ご夫婦ふたりだけでやっていらっしゃるようで、きりっとしたスーツ姿のシェフ夫人がサービスをしてくださいました。とても若く見えましたが、シェフの経歴(ピエモンテ、トスカーナなどヨーロッパで12年修業)から想像するに30代かな。
それぞれの前に置かれたガラスのマットの下に本日のメニューが敷かれているので、それを見ながらまず飲み物を決めました。といっても私は体調不良のためノンアルコール。お店でしぼった生姜汁を使ったというジンジャーエールにしました。これ、本当に「生姜!」という味がしておいしかったです。
素敵な入れ物で出てきたグリッシーニも美味。パンは写真を撮り忘れてしまったのですが、ガス穴の大きいもっちりしたタイプで、添えられてきた絞りたてのオリーブ油で食べるとたまらなくおいしい。私はまだ本調子ではなかったので、メニューのボリュームを考えてもパンなど食べてはいけなかったんですが、我慢できませんでした。パンはさすがに近所のお店のものだそうです。でも、こんなパンを売る店が近所にあるとは羨ましい。
メニューは以下の通り。
アシアカエビ、カリフラワーのデクリナツィオーネ(写真左)
Gamberi rossi con declinazione di cavolfiori
ニジマス、ハーブ、ホースラディッシュ風味の乳清(写真右)
Trota con erbe e spuma di siero di latte al rafano
カリフラワーというのはエビの向こうにある薄切りのものと、エビの下に敷いてあるソースの両方で、これがもうなんともたまらない舌触りと味わい。カリフラワー好きの私は悶絶しそうでした。
ニジマスは軽くスモークしてあるので身がしまって弾力があり、それと山葵風味のメレンゲが素晴らしい相性。
アオリイカ、小カブ(写真左)
Seppie scottato e rapa
アマダイ、ナッツ、リンゴ、コールラビ
Pesce amadai con cavolorapa, noci e mele
キタッラ、オマール海老、菜花
Spaghetti alla chitarra con astice e cima di rapa
アニョロッティ・ダル・プリン(写真右)
Agnolotti dal plin
アオリイカのほんのわずかの焼き目が味にアクセントをつけているのも見事だし、煮すぎず噛み応えを残しながらしっかり味のついた小カブのおいしさも忘れられない。緑色のソースはかぶの葉を使ったもの。
写真を忘れてしまったアマダイはカリカリに焼けた皮とナッツがメリハリの利いた食感を演出していました。ほろ苦いコールラビとリンゴの相性も最高。
キタッラというのは細いきしめんのようなパスタで、さくさくとでも形容したくなるような噛みごたえが面白い麺でした。この一品が唯一、私の好みより塩辛く感じましたが、友人ふたりは特に何も言っていなかったので私の体調のせいだったのかも。
アニョロッティもパスタの種類。まぶされているのはトリュフとパルミジャーノです。香りがよくてすごく贅沢な味わいでした。
蝦夷鹿
Sella di cervo alla brace
吉野葛のパンナコッタ、金柑
Panna cotta al kuzu con purea di mandarini cinesi
丹波栗のクレーマ、メレンゲのジェラート“モンテビアンコ”
"Montebianco" crema di marrone Tamba con gelato alla melinga
メインの蝦夷鹿は初めて食べましたが、牛ヒレ肉のように柔らかく、癖があるんじゃないかと心配していたのですが、癖というよりは濃厚な味わいでおいしくいただけました。赤いソースが何か聞くのを忘れてしまったのですが、フルーツ系の酸味のある味だったような記憶が。
なめらかな舌触りのパンナコッタも、パリッとしたメレンゲがのったジェラートも日本人向きの甘さ控えめの上品な味。おかげで最後の飲み物と一緒に出された小さなお菓子(マシュマロ、マカロン、ガナッシュ、パネトーネ)も入ってしまいました。あ、でも、私はパネトーネの小さな一切れだけが最後にどうしても入らず、残してしまったんだっけ。いまだに悔しい。あそこのパネトーネだから絶対おいしいに決まってるのに・・・。
友人たちは料理に合わせて白ワインと赤ワインを飲んでいましたが、私はジンジャーエールのあとに赤紫蘇ジュース、それからもう一度ジンジャーエール、そしてカモミールティーというヘルシーコースでした。
あまりのおいしさにうっとりしすぎて写真を撮るのを忘れてしまったものもありますが、とにかくどれをとっても繊細かつユニークで夢のようなお料理でした。西洋料理でこれほどおいしいものを食べたのは過去に1、2度しかありません。
ご覧のとおり、盛り付けも素晴らしく、目も舌も大満足。友人が予約を入れたときに、こちらの食べられないもの、アレルギーのあるものなど聞かれたあとで、食べ終わるまでに最低でも3時間はかかると言われたそうですが、なるほどゆったりと時間をとったサービスで、久しぶりに会った友人三人、心ゆくまで語らい、飲み、食べ、笑えました。
by timeturner
| 2012-12-21 23:08
| 食物
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